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2015.05.30

赤ちゃんポストに救われた子どもは112人!?


赤ちゃんポストに預けられた理由の1位は「生活困窮」「未婚」

「赤ちゃんポスト、14年度は11人=遺棄事件受け防犯カメラ―熊本」というニュースが5月20日時事通信から報道されました。熊本市の慈恵病院に設置が開始された時期から現在まで、「赤ちゃんポスト」については賛否両論あります。しかし、2007年5月の運用開始から8年間で、このポストに預けられた赤ちゃんの数はすでに112人に上りました。

賛否両論ありますが、ポストがなければ失われていた命かもしれません。

賛否両論ありますが、ポストがなければ失われていた命かもしれません。

 

2014年度に預けられた赤ちゃん11人のうち、8人は親や祖父母の住所が判明しています。それによると、預けた理由は「生活困窮」「未婚」が各4人、「親などの反対」「世間体・戸籍」「パートナーの問題」が各3人、「養育拒否」「育児不安・負担感」が各2人、「不倫」が1人です。また、赤ちゃんは生後1カ月未満の新生児が10人で、生後1年未満の乳児が1人でした。

『「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命』(光文社新書)によると、児童虐待によって死に至る場合、「0歳0ヶ月0日の赤ちゃん」が1番多いということです。

つまり、「育てられるだろうか?」「やっぱり育てられない」「ここまできてしまったけどどうしよう」と悩み、追いつめられたお母さんが、生んだ直後に自分の子供を殺めてしまうというケースだと考えられます。

このポストは、新生児が入れられるとアラームが鳴り、医療従事者が駆けつけます。

そして、このポストは一度閉めたら鍵がかかり、再び開けることはできない仕組みになっています。

赤ちゃんを入れて、扉を閉める瞬間を思い浮かべると、なんとも胸が痛くなります。

半年以上に渡る長い妊娠期を一緒に過ごし、苦しい思いをして生んだ赤ちゃんを手放すのは、何度も何度も迷って苦しんだ結果だと思います。

赤ちゃんポストの設置は、そういったお母さんを全員ではないでしょうが、救っていると言えるでしょう。

 

日本だけではない「赤ちゃんポスト」がある国

世界を見渡してみると、オーストリアやドイツ、ハンガリーなど様々な国で似たような取り組みが行われています。

世界で初めて「赤ちゃんポスト」を設置したのはドイツだとか。

世界で初めて「赤ちゃんポスト」を設置したのはドイツだとか。

 

「妊娠してしまったけど、どうしよう?」と望まない妊娠で追いつめられるのは、日本に限らず起こります。

このようなポストがなくても、どんな赤ちゃんも望まれて愛されて育つことができれば理想でしょう。理想と現実の間に、命の問題が関わってくる場合、まずは目の前の事実に対応し、ひとりでも多くの命を救っていこうと考えるのは、医療従事者としての責任感からだと感じます。

同病院では、望まない妊娠により悩みを抱えている人のために、24時間フリーダイヤルによる無料相談やメール相談の「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」も行っています。

ただ、思うのです。赤ちゃんができる場合、責任はお母さんだけにあるものではありません。「赤ちゃんポスト」や「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」がある意味を、男性にこそ、真剣に考えてほしいなと思いました。

【記事まとめ】ママニュー7Days

中山美里

中山美里

ライター、編集


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