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2016.01.14

【海外でもベストセラーに!】会話のできない中学生が心の中をつづった話題の本


発達障害児を持つワーママの「読んでよかった!」

「自閉症の僕が跳びはねる理由」
東田直樹 著

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「The Reason I Jump」
Naoki Higashida 著, David Mitchell ,Keiko Yoshida 翻訳

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NHKのドキュメンタリーを見て購入を決意

この本の著者・東田直樹くんは、人と直接会話をすることが難しい重度の自閉症

彼が中学2年生の時に自身の自閉症について書き、2007年に出版されたのが、この「自閉症の僕が跳びはねる理由」です。

私には、軽度のADHD・自閉症スペクトラムの症状を持つ6歳の息子がいます

その息子と一緒に週に一度通っている療育施設で、母親向け勉強会の教材として東田くんのエッセーや対談などを利用したり、著書なども紹介してもらっていたため、彼の存在は知っていました。

でも、自閉症の方が書く自伝は読みにくくて、東田くんの本も読むのは敬遠していたんです。

それまでに、ドナ・ウィリアムズの「自閉症だった私へ」や、有名なテンプル・グランディンの自伝を読み、読解するのにかなり苦労したので「もう自伝はいいや」なんて思っていて。

購入のきっかけとなったのは、NHKで放送された東田くんとイギリス人作家の交流を描いたドキュメンタリーでした。

映像の中で初めて見る東田くんの姿は、落ち着きなくキョロキョロしたり、突然笑い出したり、回るものをじっと眺めたり……と、まさに「自閉症」そのもの。

エッセーや対談等の大人っぽい文章から、これほど自閉症が強い人だと想像ができていなかったので驚いてしまい、即amazonで本を購入したのです。

ベストセラー作家の英訳版も同時に読破

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この本では、「どうして目を見て話さないのですか?」、「手のひらをひらひらさせるのはなぜですか?」等、自閉症の人たちの言葉や対人関係、活動に関するさまざまな質問に、東田くんが答えていくのですが、とても丁寧に分かりやすく表現されていて、通常級に通う中学生でもこんなに自己表現できる子は少ないのではと思ってしまうほど。

巻末の短編小説も含め、彼の言葉はとても純粋で瑞々しく、コミュニケーションがうまくとれない自閉症児の内側に、こんなに豊かな言葉の世界があることに本当に驚きました

なんでもこの本、出版当時はあまり話題にならなかったものの、英訳版が2013年に出版されたのをきっかけに注目を集め、現在はなんと世界20か国以上で翻訳、出版されているのだとか。

その英訳を手掛けたのは、イギリスの有名作家David Mitchellさんと、妻のKeiko Yoshidaさん。ベストセラー作家の英文を読んでみたかったのと、原書との違いは何なのかを知りたくて、実は英訳版も同時購入していました。

読んでみると、原書の優しい雰囲気の日本語を、忠実に、丁寧に、英訳してある感じがして、無理に意訳していないところにとても好感が持てました。

内容はほぼ原書通りですが、プラスしてあるのは、訳者による前書き。

夫妻がこの本に出会ったいきさつが書いてあるのですが、二人には自閉症のお子さんがいて、偶然WEBでこの原書を見つけて読み、感動したことが始まりだったそうです。

「この本で初めて、自分の息子が、頭の中で何を考えているのか(直樹くんの言葉を通して)話してくれるのを聞いたような気がした」……

世界中の自閉症児の親たちが共感する理由が分かる一節でした。

また英訳版は、デザインやイラストもすごく素敵。原書には載っていない、コミュニケーションをとるために利用した手作りのボード等も紹介しているので、簡単な英文が読める人なら、英訳版を読むのも良いかもしれません。

この本が息子の代わりにいろいろ教えてくれた

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今まで、自閉症関連の本は25冊ほど読みましたが、そのほとんどが、精神科の先生や臨床心理士など、教える側から書いた本。

自閉症本人の立場でこれほど分かりやすくまとめた本は他になかったので、とても貴重でした。

中でも印象に残っているところは、23項目目の「何が一番辛いですか」に対する答え

「僕たちのようにいつもいつも人に迷惑をかけてばかりで誰の役にも立てない人間が、どんなにつらくて悲しいのか、みんなは想像もできないと思います」

「僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです」

今まで、息子と暮らす中で色々大変なことがあったけれど、自分に降りかかる大変さばかりに目が向いてしまい、彼自身がどのように感じてきたか、あまり考えてきていなかったので、この言葉は“ずしん”ときました。

その他にも、「何度言っても同じことをする」、「衣服の調整をいくら言ってもしない」、「失敗することを異常に嫌がる」、「こだわりが強い」など、どうして!?となかなか理解しきれなかった点を、息子の代わりに伝えてもらった気がします

そして、それらが理解できると、息子への対応も変わりました。

この本のおかげで、親子ともに助けてもらったことが多いように思います。

この春、息子は小学校の普通級に進学します。

コミュニケーションの面ではまだまだ課題があるのですが、この本から、親子で乗り越えていくための力をもらえました

また、身近にいる発達障害児の心の内を知っていただくため、先生方や他のママさんたちにも、東田くんの本をぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

 

<お薦めしてくれたワーママ>
在宅でWEB関係の仕事に従事するワーママ。6歳の息子さんは、預かり保育のある私立幼稚園に通園。週に1度の療育施設では、情緒をコントロールする方法などの課題に取り組んでいる。

 

<お薦めしてくれた本>
「自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心」
東田直樹
エスコアール
定価:本体1,600円+税
ISBN:978-4900851382

「The Reason I Jump : One Boy's Voice from the Silence of Autism」
Naoki Higashida 著 , David Mitchell , Keiko Yoshida 翻訳

【記事まとめ】ワーママBook Shelf

横山香織

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