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2016.03.07

【作家LiLyインタビュー 第2回】働くことはエゴなのか? ワーママの理想と現実


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20代に書いたエッセイの文庫化に際し、母として過ごす日々の中で変わってきたことや、想いなどを語ってもらうこのインタビュー。

後半は、仕事と育児の両立についてです。前半はこちらから。

出産後、子どもにとっての完璧な母親でありたいと願いすぎていた、というLiLyさん。

子どもを保育園に入れて仕事を続けることに対しての罪悪感もあったのだとか。しかし、お子さんの成長とともに考えが変わってきたと言います。

保育園に預けることを生まれて初めて悩んだ

ー出産後、仕事と育児の両立バランスはすぐにとれましたか?

ノーです。特に第一子出産後は、もう本当に、全身で葛藤しました。

私は、迷うという行為が大の苦手で、それ故にいろんなことを即決するタイプなんですね。

レストランに行っても食べるものは一瞬で決めますし、出会ってすぐに価値観の一致を確信して、恋に落ちるがままの勢いで即結婚。

そんな私が生まれて初めて迷いに迷ったのが、子どもを保育園に預けるかどうか、でした。

自分の決断が、人の人生を左右する。それも、この世で最も大切に思っている我が子の人生を!

その決断にのしかかる責任は、体感して初めてビックリするくらい、重くって。生まれて初めて、どうしたらいいのか、分からなかった。

ーそんなに悩むとは・・・。当時はどのように育児と仕事をこなしていたんですか?

自分だって子どもと離れたくないし、子どもはもっと私と離れたくないと思っているに決まっているのに、だけど仕事だってものすごく、ものすごくしたい。

誰かに預ける決断ができないから、泣く0歳児をスリングに入れて、あやすために立ちスクワットしながら原稿を書いていました

打ち合わせにも連れていって、エイベックスの会議室でオムツをかえたり。それが許される恵まれた環境ではありましたが、やはり大変でした。

無我夢中で一日を終えて、寝かしつけてから仕事をしても、赤ちゃんはまたすぐに起きる。

そんな限界越えの生活のイライラはすべて仕事が忙しい夫へと向かい、ケンカになる。そんな中で原稿のクオリティが下がればフリーランスの私は仕事を失う。

ああ、ムリだ、と思いました。こんな生活は限界をこえていて、続けるのはムリだ、と。でも、それでもまだ決断できない・・・! 即決人間の私としたことがどうしちゃったんだ、これは、と思いました。

ー即決の Lilyさんが保育園に預けることをこんなに悩んでしまった背景には何があると思いますか?

自分自身が専業主婦のお母さんに育てられた子どもだった、というのが大きかったと思います。

私はお母さんにたくさんの時間をもらって育ててもらったのに、我が子を私は保育園に預けて働こうとしている。夫の収入で生活することもできるのに、私は仕事がしたい

情熱を持って育ててきたキャリアを、ここでどうしても捨てたくない。もしや、これはエゴなんじゃないか、と思うほど悩みました。

そう悩むことが既に、皮肉でした。

何故なら私は専業主婦の母親に、「これからは女性も自立する時代。子どもを産んでも続けられるような仕事が理想。おすすめは作家か女優よ! 」と言われて育ったのです。

職業の選択肢が少しブッ飛んではいますが(笑)、元小学校教師だった母親は、自分自身が家庭に入った葛藤もあってのことだと思いますが、女性も仕事をすべきだと、それこそが女性が自由になれる道だ、と考える人でした。

ーなるほど・・・。お母さまの影響なんですね。

そう考えると、母親の影響とは、やはり巨大です。今よりももっともっと社会的に弱者だった女性が、果たせなかった夢を叶えたい、時代を変えていきたい、という気持ちが子どもの頃からあって。

我慢してきたおばあちゃんの分も、我慢しているお母さんの分も、私がやるから!! と泣きそうな気持ちで今も思っています。

女の子だから、女だから、といろんな選択肢を消されてきたのであろうお母さんの泣き顔をみるたびに、お母さんを泣かせる世の中に対しての怒りが芽生えて。

子どもながらに、そんな女の執念みたいなものを、勝手に背負っていたところがあると思います。

子どもは、お母さんが大好きです。(お父さんももちろん大好きだけれど、子どもの頃に一番近くにいた存在への愛情というのは、特別です。

そこは、父だから母だからではなく、血の繋がりすらもしかしたら関係なく、過ごした時間の密度に比例するのかなと思いますが)。

子どもの頃に、思ったのです。私はほんとうにお母さんのことが大好きでたまらないな、って。

何をしてくれたから、なんて理由云々を越えたところで、存在そのものが大好きで仕方がない

母親からの愛情も全身で感じてはいましたが、あ、これは子どもが親に向ける愛情のほうがデカいな、と冷静にわかっていた部分があって

自分にそこまで愛される母親がうらやましいと感じた時に、大人になったら自分もお母さんになりたいと思ったくらい。

ー子どもの頃にそんな冷静に感じ取れていることがすごいですね。

でも、それが保育園に入れることを悩んでいた、一番の理由かもしれない。

私は子どもの頃の自分の記憶を、なによりの育児のヒントとしています。

大人は何故、子どもの気持ちが分からないのか。自分だって昔は子どもだったくせに、馬鹿なのか。私は絶対に忘れたくない。

子どもの気持ちをメモしておこう。そんな子どもの頃の親には言えない気持ちが、私が日記帳に文章を書き始めた由来でもあります。

子どもは、お母さんが大好き・・・。そんな子どもが、私と離れたいわけがない。それが分かるから、預けて仕事を続けることに踏み切れなかった。でも、そこで私はまた思い出したのです。大人になって忘れていた自分が子どもの頃の気持ちをーーーーー。

赤ちゃん時代ピンポイントでみれば、確かに親には側にいて欲しい。

でも、そこからもう少し大きくなった自分のことを思い返すと今度は、母親の自分に向けられるエネルギーが重すぎて苦しかった。人にはいろんなタイプがあります。向き不向きもある。私は、コントロールフリークだし、欲望もデカく、野望すらある。そんな巨大なエネルギーが、もし仕事をやめて子どもだけに向かえば・・・彼らに大迷惑をかけかねない。

それに、私は家事が、ほんとうに、とても苦手で・・・。

得意な仕事をしていないと、自分のことをダメな人だとしか思えなくなってしまう。そんな私が仕事を続けたいという気持ちをここで殺すのは、私だけの問題として考えれば、ある意味最悪な決断です。でも、母親としての自分のバランスが崩れることは、子どもにとっても良いわけがない・・・。

そこまで思ったところで、3人のママでもある漫画家のおかざき真里さんに救われました。

仕事を続けることを決めたなら、迷うことは今後一切禁止。その迷うために裂いていたエネルギーをすべて、保活に注いで、自分が思うベストな園に我が子を入れることに使って!!」

ハッとした。大先輩からのこの一言で、やっと決断ができて、シフトチェンジすることができました。

そして、保育園に入るのは大変だと聞いてはいましたが、保活は、想像していた以上に大変だった。というか、産後で子どもにまつわることにとても繊細になっていた心が傷つきました。

ー確かに本当に保活は大変ですよね。

保育園に入れるための書類をつくるイコール何故子どもを自分の手では育てられないのか、を証明していく作業だった。

やっと決断した仕事を続けたいという気持ちを、国から罰されているかのように感じました。でも、自分がどんなに子どもを預けられなくて困っているかを証明しなければ、入れないのです。ううん、それでも落とされる。

自分自身も仕事を続けることに対する罪悪感を持っていたとはいえ、両方を頑張ろうと思っている人材は国からすれば宝なはずです。

それなのに、よくそんな人に対して、ここまで意地悪なことができるもんだな・・・と何度も感じた瞬間があって。

今後、変えていかなくてはならない課題だと思います。

?そして、1歳3ヶ月での保育園入園。いかがでしたか?

たくさんの課題があると言いましたが、一方で、保育園は、ほんとうに素晴らしい場所でした。

大袈裟でもなんでもなく、保育園に私は救われました。母親として、人として。入園してすぐに、担任の先生に子どものうんちの状態を聞かれた時に、一瞬泣きそうになってしまってすぐには返事ができなかった。

子どものうんちって、自分は毎日毎日、大丈夫かな? 元気かな? って気にしてみていたものなわけです。でも、それを人に聞いてもらったのは初めてで、ほんとうに心強く感じたんです。同時に、初めての育児のプレッシャーをひとりで背負い込んでいた、今までの孤独も痛感しました。

今、息子は年長、娘は年少で、保育園にお世話になっていますが、子どもたちが楽しんで通っている様子をみるとほっとします。先生たちやお友達のおかげで、子どもたちはどんどんぐんぐん逞しく成長していく。

預けることが悪いことだと思い込んで泣いていた、過去の自分にみせてあげたいくらいです。

少子化や虐待が問題になっていますが、ママたちの、自分の中にあるいいお母さん像との葛藤を含めた、どうしようもないほどの孤独の闇は深いです。

もちろんママだけじゃなく、育児を担うパパも同じですが、女性が働くこと/母親が働くことの大変さは思っていた以上のものでした。保育園に入ってからも、「まだこんなに小さいのに子どもを預けて・・・」というような、世間の人の目や態度に傷ついたことは一度じゃないし、悲しさと、悔しさと怒りを感じる中で、より良い環境に変えていかなきゃいけない必要性を感じます。

子どもを持ったことで、より良い社会のために、が他人事でもきれいごとでもなくなるというのもすごくあります。

自分の代だけじゃなくて、大切な子どもたちの未来が明るくあってくれなきゃ、困るんですから。

??確かに、子育てしやすい社会を作ることも大事ですが、子どもが生きていく社会をどんな社会にするのか?は、私たち大人の責任でもありますね。

自分にできることは限られていますが、妊娠や子どもにまつわる本を出版するときは印税の一部を寄付することに決めています。

『NINPU TALK』の単行本では、あしなが育英会に、今回の文庫化では、赤ちゃんの虐待死を減らす目的で設立される養子縁組事業立ち上げのクラウドファウンディングに。子どもたちとの時間を削ってまで仕事をする以上、子どもたちに背中をみせたいと思っています。

楽しんで、仕事して、少しでも少しでも人のために役立てるように。そういう意味では、仕事に対するモチベーションも、母親になる前よりずっと高い

今でも毎日が綱渡りで、四月からの小学校スタートにものすごく緊張している状態ですが。これからも手探りで、育児と仕事が互いの相乗効果を出せるように、手抜きしながらハッピーにやっていきたいと思っています。育児は修行だし勉強。意識して、楽しみます

セックストークからのニンプトーク。女の人たちが、自分自身を大切に、時にとてもタイヘンな女としての人生を、少しでも楽しむことができるヒントになれば幸せです。

<LiLyのエッセイ(文庫判)発売中!>

20代で執筆したセックストークエッセイ三部作が、連続文庫化。年齢や価値観の違う女友だちが、「恋愛」「セックス」「妊娠」についてのガールズトークを繰り広げるトークエッセイ。

IN BED with LiLy

『IN BED with LiLy』??

LiLy著

角川書店

2015年9月24日発売

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ISBN 978-4-04-102584-0-C0195

SEX TALK with LiLy

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LiLy著

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2015年11月25日発売

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ISBN 978-4-04-102585-7-C0195

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『NINPU TALK with LiLy』

LiLy著

角川書店

2016年1月23日発売

864円(税込)

ISBN 978-4-04-102586-4-C0195

『Ninpu Talk with Lily』

 

撮影:森田真理  ヘア・メイク:伊藤有香

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