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2016.04.15

本当にそれは叱るべきこと? 叱ってばかりのママたちへ贈る、痛快子育てアドバイス


やんちゃ三兄弟ワーママの「読んでよかった!」

『それは「叱る」ことではありません ?どこまで叱るべきか迷うお母さんへ』

柴田愛子・著

それは「叱る」ことではありません

毎日毎日叱ってばかり。本当にこれで良いの…?

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長男が年長、次男が年少、三男がもうすぐ2歳だった昨年末。それぞれの主張が強くなってきたこともあり、3人揃うと必ずケンカで大騒ぎ。子どもたちが園から帰ってくるのが恐怖に感じられるほどでした(笑)。

そして、いちばん大変なのは夕食時。食べるのが遅い長男、途中で席を立ち「手伝って?」と言う次男、見ていないとご飯で遊んでしまう三男。そのたびに叱るのですが、一向に改善されず、毎日同じことの繰り返し……。

そんな叱って(というか怒って?)ばかりの日々が続いていたとき、同じ園のママから教えてもらったのが、今回紹介する『それは「叱る」ことではありません』です。 タイトルに惹かれてさっそく読み始めると、まず前書きに 「叱ってばかりのお母さんに、ちょっと立ち止まって、ひと息ついてほしい」 「『そんなに叱ることはないんですよ』とお話したい」 とあり、まるで私に向けて書かれているみたい! と驚いたのを覚えています

その頃の私は、本のサブタイトルにある通り、「どこまで叱るべきか迷う」状態。本当はこんなにガミガミ叱りたくない、でも小さな弟に手をあげる兄は放っておけないし、ご飯はきちんと座って食べさせなくては……だからやっぱり叱ってしまう。

叱ることで私も疲弊するし、きっと子どもも嫌な気分だろうと思うと、本当にこのままで良いのかな? と悶々とする日々だったのです。 なぜ「叱る」のか。

世間のルールに当てはめているだけでは?

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この本の著者は、二歳から就学前の子どもたちが通う保育施設「りんごの木」の代表である柴田愛子さん。

「子どもの心に寄り添う」ことを大切にし、自由で縛られない保育を実践。そのかたわら、雑誌に寄稿したり、保護者や保育士の研修会で講演したりしている方です。

今までたくさんの子どもたち、お母さんたちと関わる中で、一番多かった相談が「子どものしつけ」「子どもの叱り方」についてなのだそう。それらの経験から、「そんなことまで叱らなくて良いのよ」「もっと気楽に、肩の力を抜いて」など、アドバイスをくれるというのが、この本の内容です。

特に、叱る理由としてよく挙げられる「しつけ」。そのしつけの理由は、「人に迷惑をかけない子どもにするため」という親が多いのですが、著者いわく「人に迷惑や不快感を与えない子どもなんていない」!! 例えば、子どもが感情に合わせて大きな声を出したり、泣いたりするのは自然なことだし当たり前。

それを無理やり矯正するのは教育でもしつけでもなく、単に大人の都合の良い子どもを作ろうとしているだけのこと。社会に迷惑をかけないためという理由で子どもがうるさいと叱るのは間違っているのでは? と投げかけます。

そしてそれは、大人の社会にゆとりがなくなってきて、子どもを温かく見守ろうとしないこと、大人が自分のことで精いっぱいで、快適な暮らしの邪魔になるものを排除しようとすることなど、「大人の未熟さ」の表れである、と続けるのです。 確かに最近、「子どもだからしょうがない」「子どもってそういうもの」という言葉が通用しない世の中だなと感じることが多いですよね。

「しつけで叱る」理由のほとんどが、大人の世界のルールを子どもに押し付けているだけ、それが子どもの居場所をだんだん狭めていっている、という話に思い当たるところが多々ありました

社会のルールではなく、自分の価値観で叱ろう

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例えば、ご飯を残さない、物を大切にする、言葉遣いなど、大切にするポイントは人それぞれ。ちなみに著者は、子どもが人を差別したり侮辱するようなことを言った時は烈火のごとく叱るそうです。

そして、それ以外はだいたい「叱るほどのことでもない」とも。 また、そのことを踏まえた、親からの悩みに答えるQ&Aが25問あるのですが、これがまた面白く、為になるんです。

例えば

Q:公共の場で騒ぐときはどうしたらいい?

A:3歳が他人に配慮するなんてぜ?ったい無理。もうちょっとの辛抱だから、それまでは気兼ねのない場所を選んで出かけて。

なんていう風に、ほかの専門家が言わないようなことをスパッと言ってくれるので気持ちが良くて(笑)。そのほかにもうなずくことが多く、なんだか救われました。

余計なことで叱らないために

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また、その他に叱ってしまう理由として挙げられるのが、「自分がイライラしているとき」。

時間がない、余裕がない、そんな時に子どもが言うことを聞かなかったり、大声で騒いでいたりすると、つい怒鳴ってしまう……という経験は誰にでもあるはず。

でも、そんな時に注意したり、叱ったりする言葉は、親が自分の気持ちをすっきりしたいから言うだけで、子どもにはまったく響いていないもの。言葉だけで子育てはできない、と著者は言います。

だから、ストレスを発散することや、自分の仕事を持つこと、子どもを預けることへの罪悪感を捨てて欲しい

特に、自分を忘れて子育てしている人は、ぜひ“自分を取り戻す時間”を持つことが大事だとアドバイスするそうです。そういえば私も、長男の卒園&入学準備や、大きな仕事を抱えていたせいで、ちょっと余裕をなくしてたな……なんて振り返ることができました。

この本は、叱り方のハウツーや、しつけのテクニックが載っているわけではありません。でも、無意識のうちに縛られていた「いい子に育てなきゃ」、「いい親にならなきゃ」という意識から解放され、ふっと肩の力が抜ける、素敵なアドバイスが詰まっています。ちょっと子育てに疲れたとき、なんとなく心が重いとき、ぜひおすすめです

<お薦めしてくれたワーママ>

小学生?未就園時の三人のわんぱくな子どもたちを育てながら、フリーランスで働くワーママ。自由にのびのび育てたい気持ちと、礼儀正しく良い子になってほしい気持ちの狭間で、日々葛藤中。

<お薦めしてくれた本>


それは「叱る」ことではありません-どこまで叱るべきか迷うお母さんへ

柴田愛子 PHP研究所

定価:本体1,200円(+税)

ISBN:978-4569644110

【記事まとめ】ワーママBook Shelf

横山香織

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