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2016.06.15

「1人でいられない」「夜が近づくと怖がる」娘。臨床心理士にアドバイスに救われた【熊本地震、母と娘のリアルストーリー<後編>】


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前回もお伝えしました、引っ越し二週間で熊本大震災にあった一家のこの2ヶ月のインタビュー。小2になる長女と幼稚園年中の次女二人姉妹で、それぞれ転校したばかり。やっと新生活にも少し慣れ始めた矢先のことでした。彼女たちの様子はその後、どうだったのでしょうか?

登下校に付き添いが必要な状態

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「地震直後は二人とも大泣きでした。その後、年中の次女は様子も変わらずいつも通り元気なのですが、小2のお姉ちゃんが少し心配一人でトイレに行けなくなり、夜が近づくにつれてどんどん暗く気持ちが沈んでしまうのが一週間ほど続きました。今でもトイレとお風呂は誰か付き添っています。小学校も1ヶ月経って再開されたのですが、登下校もお迎えが必要な状態。一人になるのをとても怖がります。」

小学校のアンケート結果でもトイレに行けなくなった、という児童が多いといいます。昼間はいつもと変わらず明るく元気でも、一人になった時や夜が近づくと非常に怖がる傾向があるのだそう。また彼女の場合、転校して二週間、まだそこまで仲良しなお友達が大勢いるわけでもなく、心細さももちろんあったでしょうね。

そんな中、気持ちが沈んだ長女を励まそうと、長女の東京時代のお友達が毎日夕方になると動画電話に付き合ってくれたそうです。また、家でもなるべく地震のことを考えなくて済むようにお友達をお家に呼んでみんなで遊んだり、おかし作りを一緒にしたり、自転車でご近所探検に出かけたり…。日常を取り戻せるよう、できる限り支えているそうです。

子どもたちへは何よりも共感とスキンシップが大切

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「地震直後の頃、子どもたちが友達同士で『地震だ!逃げろー!』と追いかけっこする『地震ごっこ』をしていたんです不謹慎だから止めるように言い聞かせていたけれど、幼稚園の先生より『今回の地震を客観的に捉えられない子どもが、気持ちを落ち着かせるためにしている大切な遊びなので、やらせてあげてください』とお手紙を頂きました。どう接してあげたらいいのかわからなかったので、教えていただいてとても助かりました。」

ほかにも余震が続いている中「こんな揺れ、お母さん全然怖くないよ!」とあえて強がって安心させようとしていると『自分だけ怖がっているのがおかしい』と子どもは気持ちを塞いでしまうので『怖いね、でも大丈夫よ』と共感してあげてくださいと教えられたそう。

「学校が再開後は仲の良いお友達もでき、毎日楽しく通えるようにはなりました。でも時々急に意地悪なことを言うようになって仲良しの子とケンカするように…。今までそういったことはなかったのでびっくりして。震災の影響で攻撃的になる子どもが増えるって話は聞いたことはあるけど、近々スクールカウンセラーに相談してみようかな、と。」

ここでも幼稚園の先生からのお手紙に『震災後の子どもたちの行動が普通と変わることはよくあることなので、とりあえずは親が話をよく聞いて、共感してあげること。あとはスキンシップの時間をたくさん作ることが大切です』とあったそう。

また『震災後、2〜3ヶ月を過ぎても元の性格に戻らないようであれば、専門家に相談するように』と。そして彼女もつい先日、スクールカウンセリングを受けてみたそうです。

 臨床心理士からの具体的なアドバイス

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お姉ちゃんの様子を中心に相談すると、以下のアドバイス受けたそうです。

●トイレに一人で行けない件(今はドアを閉められない状態)は、本人の意思で閉めるまで開けたままにさせてあげること。その時「閉めれるようになったらいいね」と気持ちを誘導してあげる必要があるとか。一人でお風呂や二階に行けないも同様。

●お友達に意地悪なことをするのは、もともと誰しもが心の隅に持っている感情で、それが彼女自身(地震の影響でいろんな許容範囲が狭くなって)感情が受け止めきれずに溢れ出てしまっている状況なのだとか。明らかに子どもが間違っていても頭ごなしに否定するのでなく、注意しつつも、お友達と別れた後「どんな気持ちであんなこと、言っちゃったの?一緒に考えてみようか」と共感して話を終わらせること。

●地震という自分ではコントロールできない事態に直面して自信を失っている子が多いので、どんなことでも震災前のようにできたことは「よくできたね!」と丁寧に褒めて自信を取り戻してあげることが大切。

●震災後のナイーブな状況の中、兄妹がいるとどうしても母親を独占したい、自分の見方をしてほしい、という感情が出るもので、もし可能であればお姉ちゃんと二人だけの時間を1時間でもいいから取ってあげて。そうすることで心が満たされて安定してきます。

やはり共感してあげることが大事なのですね。そして何よりも臨床心理士さんとお話ができて、母親として気持ちの整理ができ、彼女自身が晴れ晴れとした様子でした。

そして最後に「あと、お母さんが気持ちがいっぱいいっぱいになっているようです。誰か見つけて、感情をぶちまける場所を作ってください」と一言。彼女自身もびっくりしたそう。

意識はしていなくとも、彼女も許容範囲を超えていたのでしょう。早速、旦那さんにその話をしたら「びっくりして少し身構えてたわ」と笑って話してくれました。

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とにかく姉妹の元気な様子を知っているだけに、心配です。

1ヶ月ほど前、実家の関西に戻っていた時は毎日明るく過ごしていたそうなので、やはり熊本にいると思い出してしまうのでしょうか。
「幸い家も住めているし、学校も始まったから日常に戻ってはいるけれど、やっぱり子どもメンタルが心配。もう一度大きな地震が来たら、私も正直心が折れそうだよ…
最後に言った彼女の言葉が胸に刺さります。

2ヶ月経ったとはいえ、まだまだ大きな余震もありますし、生活が戻ってきているとはいえ、子どもたちの見えない心のケアはまだまだ時間が必要な状況です。

この中、私たちが何か手助けできることがあれば…!と思いますが、せめて彼女の話を聞くとか、こうして現状を伝えることしかできません。(そこにもどかしさを感じますが)彼女が体験したことを次に活かせるよう、多くのお母さんにこの現状を知ってほしいと思います。

次は実際に「母親として家族を守るために役立った防災グッズ・備蓄リスト」を作ってくれたので、そちらをご紹介します。

 

飯田りえ

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