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2018.03.28

アドラー心理学的子育て!「ほめる」「しかる」は子供のコントロールにつながる?<前編>


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その子の良いところを伸ばそうとほめたり、しつけのためにしかったり…。子育てにおいてこの「ほめる」「しかる」を、何の疑問を抱かずに繰り返しています。しかし、それは意識していないかもしれませんが、「子どもをコントロール」することにつながり、結果的に子ども自立を阻害する可能性があるのだとか。
子どものために良かれと思ってしている言動に、警鐘を鳴らしている『アドラー子育て・親育てシリーズ第1巻 育自の教科書〜父母が学べば、子どもは伸びる〜』の著者・熊野英一さん曰く、「ほめたり、しかったりを多用することは、人を操作することにつながるので、子どもが『依存的』になる可能性を高める」とのこと。
テレビドラマ『嫌われる勇気』で大注目された、このアドラー心理学の考えを、熊野さんは子育て時期の親に伝えるべく、子育て講座やカウンセリングなどで全国を飛び回っていらっしゃいます。今回はこの「ほめ」「しかり」を軸に、アドラー的子育てを2回にわたってお伝えします。

ほめて伸ばす!が良いと思っていたけれど「ほめ」の裏には…

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「よくできたね!お利口さんね〜!」「上手ね〜!今度はもっと上手にできるよ!」日常的に口走っているこのセリフ。子どもの良いところを伸ばし、やる気を引き出そうと言う一心で使用していますが、アドラー的にはこの「ほめ」にはいくつかの前提があります。

●親子の上下関係
ほめる方の立場が常に上なので、親子にタテの上下関係を生み出してしまう

●親ができると信じていない、から「ほめ」がでる
「やればできるじゃない!」=「親は自分ができると思っていない?」と受け取ってしまう

●ほめ言葉で相手をコントロールしようとしている
「いい子だから〜してごらん」「〜できたらお利口さんだよ」など、親の下心が満載

●「ほめ」はいつも結果オンリーで判断している
がんばったプロセスを励ますのではなく、結果だけを見て判断している

「もちろん『すごいね!できたね!』など、なにかの達成を喜んだり、成長を共に喜んだりするのは良いのですが、自分のほめ言葉に下心があるかないか…親のセルフチェックが必要です」(熊野さん)

確かに、言われてみれば。そこまで「ほめ」の行為の裏に隠された、これらの関係性に気づかず、無意識に口走っていますね…。成長を喜ぶ「ほめ」は良いとを聞いて安心しましたが、それ以外の「ほめ」に対して自分に下心がないかどうか、自分の言動を見つめ直してみたいと思います。

「ほめ」を多用していると、副作用があらわれはじめる

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ちなみに、先ほどの前提にあるような「ほめ」を常用していると、子どもの行動にこんな副作用が出てきます。

●ほめられないとやらなくなる
目的がすり替わってしまい、ほめられるために行動するようになる

●ご褒美がどんどんエスカレートしていく
「〜買ってあげるから頑張って!」と続けると、条件がどんどんエスカレートして「これ頑張ったら何買ってくれるの?」と条件闘争が繰り広げられる

●ほめすぎると失敗を恐れるようになり、むしろ自信を失う
自分ができそうな事には挑戦するが、ほめられる結果が出せるかどうか、予測できないチャレンジには「これできない、どうせ無理」と、挑戦しなくなる。

●指示待ち人間になる
「これやっていい?」「あれやっちゃだめ?」こう言い出すと親の顔色を伺っている傾向が強まっている

「子どもはもともと『できるんだよ!』と言うところを親にたくさん見て欲しい。そこにほめる必要もなく、上から目線でジャッジする必要はないのです。そのうちご褒美をもらうために、親や先生に褒めてもらうために…と誤った良い子になってしまう子が出てきてしまいます」(熊野さん)

確かに、子どもが「見てみて〜」と来ることに対して、「できた・できなかった」のジャッジではなく「ちゃんとあなたのことを見ているよ」と言う反応だけで良いのですね。

「しかる」時は感情をぶつけるのではなく、伝え方を見直そう

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もちろん子どもが約束を守れなかった時や、嘘をついたり、他者を傷つけたりした時にはしっかりしからないといけない場面もあります。ただ、しかり方はとても重要で「感情的に怒りをぶつける」タイプの叱り方は百害あって一利なし。本来「(叱られる対象であった)不適切な行動を止める」にたどり着かずに終わってしまい、次のような関係性を生み出してしまいます。

感情的に怒りをぶつけると・・・
・親→子どもを支配するための手段として「しかる」手段を利用している
・子ども→感情的にわめけばどうにかなる、と言う間違ったコミュニケーションを学ぶ

「怒りがおきてしまうのは自然な感情なので仕方ないのですが、伝え方が大切なのです。どうして怒る感情が芽生えたか、その前提となる感情(心配、寂しい、悲しい、残念、辛いなど)を冷静に伝える方が有効なのです。」(熊野さん)

「しからない」と言うわけではなく、伝え方を考え直さないといけないのですね。
どうしても、自分に余裕がない時などはつい、感情的になってしまう時があります。すぐに自己嫌悪に陥って、寝顔を見ながら「きつく言い過ぎたね、ごめんね…」と。でもこれが続けば親子関係は支配するもの・されるものになりますし、子どもも真似をして同じように感情的な行動に出てしまうのも無理もありません。怒りに任せてつい言ってしまうのではなく、どうして怒ったのか、をまず自分に問いかけることが必要そうです。

「ほめ」「しかり」が親子関係において「支配される親と、依存する子」という状態になる恐れがあることは理解できました。ただ、単純に「ほめない」「しからない」というのではなく、自由に放任・放置するとも違います。では一体、どう言うコミュニケーションがアドラー心理学的には良いのでしょうか? 明日公開の後編に続きます。

取材協力/熊野英一さん
アドラー心理学に基づく「相互尊敬・相互信頼」のコミュニケーションを伝える〈親と上司の勇気づけ〉のプロフェッショナル。全国での多数の講演や「日経DUAL」「朝日おとうさん新聞」などでのコラム執筆を通して活発な情報発信も行う。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。2012年、日本初の本格的ペアレンティング・サロン「bon voyage 有栖川」をオープン。日本アドラー心理学会 正会員。 HP:株式会社 子育て支援
著書:アドラー 子育て・親育てシリーズ第1巻 育自の教科書 〜父母が学べば、子どもは伸びる〜
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アドラー 子育て・親育てシリーズ第2巻 家族の教科書 〜子どもの人格は、家族がつくる〜
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飯田りえ

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