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2020.06.08

子どもを「保育園に預けること」に罪悪感を持たなくていい!その根拠とは?【児童教育の専門家に聞いた!】


子どもと離れて働くことで、愛情不足になってしまっているのではないか…そんな不安や罪悪感を持っているワーママたちが多くいます。とくに初めて保育園に連れていくときには、たくさん泣かれて自分も泣いてしまった、後ろ髪を引かれる思いだったというかたもいらっしゃるんじゃないでしょうか。
そこでBRAVAでは、“母親が子どもを預けて働く”ことで子どもに与える影響をうかがうべく、武蔵野大学 教育学部 児童教育学科講師の齋藤慈子先生にお話を聞くことにしました!

子どもを預けることに罪悪感をもつ必要はない!

ご自身も、3歳と0歳のお子さんを持つワーママである齋藤先生。
開口一番、「お母さんがたは、保育園に預けて働くことに罪悪感を感じる必要はまったくありません!」とキッパリ。

「どういうふうな点で子どもが愛情を感じるか、というところをお聞きになりたいんだと思うんですけれども、そもそもが違うんだよってわたしは言いたくて。子どもと一緒にいる時間が少ないから愛情不足になってしまうのでは、という考えは根本から違うんです」

な、なんと、わたしたちがクヨクヨ悩んでいたことは、根本から違っていた…と?ものすごく気になりますね!では、そう先生が言い切るその理由には、いったいどんな背景があるのか?今回から詳しくお聞きしていきます!

生物として“ヒト”の子どもってどういう存在?

発達心理学が専門の齋藤先生。同じワーママです!

発達心理学が専門の齋藤先生。先生もワーママです!

齋藤先生のお話は、まずは人間が生物としてどんな子育てをしてきたか、というところからスタート。

「人間はほかの霊長類に比べて、とても未熟な状態で生まれてきます。また、ヒトは見通しの悪い森林から開けたサバンナに進出しました。そういったことから捕食される可能性が高くなった、要するに死んじゃう確率が高くなったのだと思います。おそらく、そうした事象に対抗する戦略として人間が編み出したのが、出産間隔を短くするということです」

なるほど、言い方は悪いですけど、数撃ちゃ当たる…というか、子孫を絶やさないための戦略として出産頻度を高くしているということなんですね。

「人間の出産間隔はだいたい3~4年くらいと言われています。チンパンジーだとだいたい5年くらい。通常であれば、動物は体が大きくなると出産の間隔は長くなるのが普通なんですけど、人間はチンパンジーにくらべ逆に短いんです。
つまり、人間は、未熟な子どもが数年のうちに高頻度で生まれてくるということになります」

フムフム、まだひとりで何もできない状態の子どもがいるうちに、新しく子どもが生まれてきてしまう…そうすると、人間の子育てはそもそもがかなりハードなものであるといえますね。

「はい、そこで出てくるのが“アロマザリング”という考え方です」

キーワードは“アロマザリング”

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人間は母親以外も育児に参加することが大切な生物

アロマザリング…なかなか聞きなれない言葉ですけど、どんなものなのでしょうか?

アロは“異なる”マザリングは“母親のような行動をする”という意味です。母親以外の存在が子育てに関わることを指す言葉が“アロマザリング”なんです。人間以外でこのアロマザリングが見られるのは霊長類ではマーモセットやタマリンなどの仲間で、お母さん以外に、それこそお父さんも、兄姉も子育てに参加します」

なんと、お猿さんの世界にもイクメンがいるんですね。

「ヒト以外の霊長類は、生まれてすぐにお母さんに自分でしがみつけたり、ある程度、発達した状態で生まれてきます。でも前述したとおり、人間はそうではない。しかも離乳してもすぐにひとり立ちできるわけじゃなくて、子ども期がとても長いんです。出産間隔が短くて、手のかかる子どもが複数いる状態が長いとなると、母親がひとりで育てることって生物として無理があるんです。だから人間は、生物的にこのアロマザリングがとても進化してきていると言われています」

お母さんがひとりで子育てをする必要はないんです

あああ

母親ひとりで子育てをしなくていいという、根拠がわかり気が少し楽になりましたね

とかく、わたしたち母親は、育児についてのすべてを抱え込もうとしがち。誰かに任せるのではなく、母である自分が、いつも子どものそばにいて見ていてあげないといけないのではないか。そんな感情が、子どもを預けて働くことに対して抱く罪悪感の根源にあるもののひとつだと思います。

「生物史的な背景から考えても、お母さんがひとりで子育てする必要はまったくなくて。むしろさまざまな人に子育てに参加してもらうことが大切なんです」

人間は生物としてそもそも母親ひとりで子育てをするようにはできていない、というお話に、なんだか目からウロコが落ちたような…!

次回はここからさらに発展して、ワーママが陥りがちな「これって愛情不足?」の幻想を、子育ての歴史的な価値観からひもときます

※この記事は2015年7月に公開された記事です。

PROFILE


齋藤慈子(さいとうあつこ)武蔵野大学教育学部児童教育学科、講師。専門は比較認知科学、発達心理学。ヒトを対象とした研究のほか、マーモセットの養育行動や、ネコの社会的認知などの研究などを行っており、著書には「心理学研究法 4 発達」(分担執筆)、「飼い猫のココロがわかる 猫の心理」などがある。


 

本宮丈子

本宮丈子

ライター/エディター

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