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2015.08.20

祝200万部!芥川賞受賞「火花」を読んでみました


本好きライターママが読んでみた

今もっとも話題の一冊

「火花」

又吉直樹著

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シュールなお笑いライブを観ているよう

先日、第153回芥川賞を受賞したピース・又吉直樹さんの「火花」。現役のお笑い芸人がこの賞を受賞するのは初めてということで、とても話題になりました。

本著は過去の芥川賞受賞小説単行本で、最大発行部数の209万部を記録。映像化の期待もあり、まだまだ又吉旋風はとどまるところを知りません。

本好きママたちの間でも話題になっていたものの、誰もまだ読んでないとのこと。私自身、独身時代はライブをみに行くくらいのお笑い好きだったので、早速読んでみました

あらすじは、売れない芸人の僕(徳永)と、僕が心酔する先輩・神谷とが、お笑いとは何か、人間とは何かを見つめていくというもの。

ふたりのやりとりは一見哲学的だけれど、それはくだらなさと紙一重。意味があるようにみえて、実は無意味。その絶妙なズレ加減が、壮大な漫才をみているような錯覚に陥りました

美しい言い回しに、独特のリズム感

あああ

本の内容に引き込まれると時が経つのを忘れてしまうほど

厳しい世界で生きる芸人のふたりは、互いのペースを保ちながら自由に振舞っているようでいて、世の中との関わり方に苦しみ、時代の流れのなかでかすり傷を受けていきます。

人間関係がうまくいかなかったり、同世代の芸人がテレビに出だしたり…。そこには常に「自分は何者なんだろう」という、普遍的な問いが付きまといます

正直なところ、「表現が難しい!」と感じる箇所も多々ありました。言い回しが文学的なので、すんなりと頭に入ってこない部分もあります。でも、全体のリズム感が良いので、中盤から一気に引き込まれてしまいました

惹きつけられたのは、僕の師匠である神谷が、転がり込んでいた恋人の家から荷物をまとめて出て行くシーン。とてもシリアスな状況なのに、そこにどうにか笑いを入れようとするふたり。でもそうすることで、わっと泣いたりジメジメしみったれたりするよりももっと、悲しさとか惨めさが引き立ってしまうのです。

ふふっと笑えるのだけれど、心のどこかがピリッと痛む。まさに火花のように、パチパチっと音を立てて散らばって、すぐ消えていってしまうような。危ういけれど美しい、それが人間の生きている姿なのかなぁと思いました。

常識を超えていくオチにびっくり!

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本に描かれているものと自分を重ねて新たに考えさせれることも…

僕は数年後、神谷と別れてしまった恋人・真樹さんが、子どもを連れているのを見かけます

それを眺める僕の温かな視点は、シンプルな表現で何度も強調されていました。

「真樹さんに手を引かれる、あの少年は世界で最も幸せになる」

「真樹さんの笑顔を一番近くで見続けられるのだから」

「誰が何と言おうと、真樹さんの人生は美しい。あの少年は世界で一番幸せになる」

泥水をすするような世界にありながら、この描写が痛いくらいに眩しく強く描かれていて、そのコントラストにハッとさせられました。

子どもを産んでから、「自分はこれからどう生きていくんだろう」「誰かに必要とされているんだろうか」といった、漠然とした不安や孤独を感じることが少なくなりました。

でも、人間は根底に誰でもこの類の悩みをくすぶらせているんだと再確認しました。

そして、想像し得なかったぶっ飛んだオチにはびっくり!

僕と神谷は幸せになるのだろうか、成功するのだろうか、はたまた死んでしまったりするのだろうか…と想像しながら読み進めていたのですが、最後の数ページで目がまんまるになり、可笑しくて悲しくてニヤけてきてしまいました。

じっくり考えさせられる言葉があり、ふっと笑える間があり。純文学ではあるものの、エンタメ要素がしっかり入っていて面白い作品でした。

 

同時受賞した羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」は、介護老人と孫の、生と死の話。こちらも息詰まる閉塞感のなかに、人間の可笑しみが漂っている不思議な作品らしいので、次はこちらを読んでみます!

 

《お薦めしてくれたワーママ》

本の雑誌「ダ・ヴィンチ」で働いていたこともある、本好きママ。独身時代の年間読書数は100冊以上。

又吉さんの才能には昔から一目置いていて、トークライブやお笑いライブを見に行ったことも。ルミネ座よしもとで生写真を買ったこともある隠れファン。今回の作品は、ひいき目なく面白く読めました!

『火花』

又吉直樹著

2015年3月

文藝春秋刊

1200円+税

ISBN978-4163902302

【記事まとめ】ワーママBook Shelf

浦和ツナ子

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