2015.09.02
泣き虫ママを支えた言薬「いつもありがとう」
折れそうになっても大丈夫!ワーママを支え癒した「言薬」Vol.5
泣き虫ママを支えた言薬 「いつもありがとう」 真実井綾さん
「りょうちゃん(娘さんの名前)に『お仕事しててごめんね』っていうのは違う。『いつもありがとう』って言ってあげてね。」
真実井さんは6歳の女の子と、1歳の男の子のママ。
「長女が3歳くらいまでは、長女が可愛すぎて『2人目はいらない!』と思っていたんです」とぶっちゃけたお話から取材スタート。
2人目問題は、BRAVAママの間でも大きなトピックなので、次の機会に送るとして・・・。
周囲に2人目ができ始めると、可愛い長女にも兄弟がいたほうがいいのかな?と思うようになり、息子さん誕生となったそうです。
今回の言薬は、そんな可愛い長女を通わせていた保育園の先生から言われた言葉です。
イメージがついていなかった「子育てと仕事の両立」

自分の出産後のキャリアをイメージすることはなかなか難しいですよね。
1年間は育休をとっていたので、娘さんとの時間を存分に楽しまれていました。
そもそも、最初の職場が超ハードな職場で、それが嫌で結婚を機に会社をやめたという真実井さん。
「子どもをもちながらバリバリ働くというイメージは自分でもついていなかったんです。主人とも妊娠するまで、出産後の仕事について話をしたこともありませんでしたし」
しかし、ご主人のほうは「(仕事に)当然戻るよね?」という考えだったそうで、4月生まれの娘さんを、ほぼ1歳のときに保育園に預け、真実井さんは復職することとなりました。
「1歳にもなると、『置いていかれる!』と思うのか、泣いて泣いて。それが辛くて朝の送りは主人にお願いしました」
現在でも、朝の送り担当はご主人なのだとか。

明るい表情から「ボロボロ泣く」は想像できませんが・・・。
帰り道で罪悪感にスイッチオン
「育休中に感じたことなのですが、子どもと2人きりでずっと向き合っていたり、公園や児童館とかでママ友を作ったり、私には無理だな〜って。それだったら、保育園に行ったほうが子どもにとってもいいんじゃないかなって。でも私が子どもと離れるのが辛かったんですね」
とはいえ、「会社に着くと、パチッとスイッチが切り替わるというか、子どものことはすっかり忘れちゃうんです(笑)」といいます。
仕事スイッチがオフになっての帰り道、「10時間以上も一人にして、私と一緒にいる時間はなんて短いんだろう!」と申し訳なさが毎日こみ上げてきました。
「(1歳で)こんなにちっちゃいのに、ママと一緒にいたいときに一緒にいてあげられなくて、子どもときちんと向き合えていないといつも思っていました。保育園の面談でも毎回ボロボロ泣いて・・・」

保育園が近づくにつれ、申し訳なさがこみ上げます
「おせっかい」は「みていてくれる」ということ
そんなとき、保育園で娘さんの担任だったベテラン保育士さんに言われたのが、
「りょうちゃん(娘さんの名前)にお仕事しててごめんねっていうのは違う。いつもありがとうって言ってあげてね。」
「いつもお迎えが遅いので、担任の先生はもう交代して帰られていて、ほとんどお会いできず、連絡帳のやりとりだけでした。連絡帳で何か1つ質問すると100くらい返ってくる。正直、最初は『おせっかいだな〜、面倒!』と思っていたんです。でも、だんだん『娘をちゃんと見ててくれているんだ』とわかってきていました。
そんなタイミングで、帰り道にばったり担任の先生に会い、いつもの保護者面談のように『子どもと向き合えてない』と泣いてしまったら、上の言葉を言われたそうです。
以来、真実井さんを支える大事な「言薬」となりました。
「でも、簡単にはふっきれません。現に、これを言われたのは保育園に預けて数カ月経ったときだったんですが、娘が3歳くらいになるまで、変わらず保護者面談ではボロボロ泣いていましたから(笑)」

スイッチの切り替えがキチンとできるのも良し悪し?
意味なし!とわっかっちゃいるけど比べてしまう・・・
4月生まれなので、クラスメイトの中でも一番お姉ちゃんだった娘さんは、「かわいそうなくらいしっかりしている」といいます。
他の子に比べてなんでもできて常に一番。周囲に「すごいね!」と言われ続けることで、より「頑張っちゃう子」になっていき、泣くことも我慢するようになったそうです。
ママが働いていることは理解していて、「寂しい」など一切言わないけれど、小学校に行って、専業主婦のママを持つ友達ができた時、どう反応するのかを真実井さんは少し不安に感じています。

確かに「おかえりなさい」は言ってあげられないけれど・・・。
他と比べても仕方がないと思っていても、真実井さん自身いつも専業主婦と自分を比べてしまうといいます。
「住んでいるマンションが大規模マンションで、専業主婦の方も大勢いらっしゃるんです。たまに遅く出社したり、家にいたりすると『いってらっしゃい』や『おかえり』といったやりとりを聞いたり、見たりします。すると私は『いってきます』しか言ったことがない。『いってらっしゃい』を言ってあげたことがないと、申し訳なくて泣けてくるんです。子ども産むとすぐ泣いちゃいません(笑)?」
そこで思い出すのが、先生からいただいた言薬です。
「『ごめんね』という気持ちはゼロにはなりませんよね。仕事する=自分の好きなことを選んでいるとどこかで思っているので、どうしても罪悪感は残ります」
モチベーションは子どもに見せる働く姿

懸命に働く姿が子どもたちにも良い影響となるはず!
ご自身の意思というより、周囲に背中を押されるようにワーママになった真実井さん。そこまで辛いのであれば、仕事を辞めるという選択肢もあります。
なぜその選択をしないのでしょうか。
「今は子どもたちも『ママがいないと死んじゃう!』状態ですし、私も仕事より子どもと一緒にいたいと思いますけど、成長して離れていった時、私は何をモチベーションに専業主婦を続けていけばいいのか?がわからないんです。」
そういう背景にはママの再就職に立ちはだかる高い壁があると言います。
「通勤時間が長いので、パートや派遣でも家の近所の仕事を探そうと思ったこともありますが、以前、私が派遣で働いていた時代を知っている主人から『性格上、物足りなくなるだろうから、絶対にやめたほうがいい』と言われていて。かといって、年齢のこともあるので、正社員での再就職はかなり難しいですし」
バリバリ働くのはちょっと・・・と言いながらも、責任感が強くのめり込むタイプの真実井さん。
派遣社員時代、職場で気になることがあっても「これは派遣が口を挟むことではない」「依頼されている仕事の領域を超えている」といった周囲の雰囲気や自らの遠慮などから、相当ストレスフルだったことがあったそうです。
そんな状態に戻るなら、今の正社員としての仕事を続けることを選び、今もこれからも子どもたちにママの働く姿をみせてあげることをモチベーションに頑張っています。
週に1日は残業デー

パパがぜ〜んぶやってくれる日があるなんて、「うらやましい!」というママもきっと多いですよね。
幸い、復職を薦めたご主人は家事育児に協力的。保育園の送り以外にも
「朝の掃除機かけ、朝食の片付け、下の子の朝食と保育園への支度は主人の担当です。下の子はまだ朝起きるのが早くて。デフォルトで5時なんですよ!主人に一緒に起きてもらってます。私も5:30には起きますけど」
朝の(しかも早朝)30分はでかい!
「私は本来、気づいてやってほしいタイプなんですが、主人は気づかないんですよ〜。でも気づかないことは自覚していて『言ってくれればやるから』と、話し合いで分担を決めました」
今では、ご主人の勤務先の“育児フレックス”を利用して、週に1日、真実井さんが残業してもいい日を作ってくれているそうです。
「『その日1日は俺が全部やる!』と自分から言いだしてくれて。仕事をなあなあで終わらせたくないと思うと、残業もしたくなりますから、非常に助かっています。残業後、飲み会に流れることも多くなってきましたけどね(笑)」
共有、共感することでストレス発散に
そんな飲み会や、同僚とのランチ、保育園ママとの家飲みなどを通じて、息抜きもできているそうです。
「不満とか秘められていないタイプなんですね。思ったことを吐き出して、解決しているところがありますから。同じ状況のママに悩みとか怒りとかを吐き出しています!」
同じ状況だから共有、共感できることって多いですよね。
真実井さんを支えている言薬を伝えてあげた人もいるそうです。その人も、真実井さんと同じように泣いていたとか。
たまに発狂することが家庭円満の秘訣?
家庭でも、感情を爆発させることで関係を保っているようです。
「基本的に共働きって“公平”であるべきだと思っているんですが、結局私が全部やってるじゃん!ということが起きます。『昨日、あなたの帰りは確かに遅かったですが、朝起きなくてもいい理由にはなりませんよね!』と(笑)。まあ、ひとつひとつは些細なことなんですが、それが溜まってくると発狂しちゃう。4月に2人目の育休から復職してから2度ほどありますね」
とっても“しっかり者”の娘さんが「パパ!謝ったほうがいいよ。一緒に謝ってあげるから!」と、ご主人と並んで「ごめんなさい」をしてくれるそうです。
微笑ましい。

仕事への関わり方も変化がでてくる?
体重24kgもなんのその!“ギュ”は愛情の源
娘さんはもう6歳、年長さんです。今年の4月からは同じ園に弟さんも通い始めました。
クラスが別で直接触れ合う機会は少なくとも、娘さんは弟の入園をとても喜んでいるそう。
周囲から「すごいね、エライね」と言われ続け、常に頑張る娘さんにとっては「強い味方」を得たと感じているのでは?と真実井さんは見ています。
「2人目が生まれる前は、娘が幼児返りするんじゃないかと少し心配もしてたんですが、歳が離れているせいかそれほどないです。もともと『ママー、ママー』はひどくて、常にベタベタなんですけど(笑)」
反面、お友達と遊ぶことが楽しくなってきたり、一人でお風呂に入りたがったり、髪を自分で結べるようになったり「できることが増えてきて嬉しい反面、寂しい」んだとか。
「子どもが離れていくのにママも準備をしないといけないですね」
今は限られた時間のなかで「あなたたちが一番大事」と伝えるため、目を見て話すこと、日に2〜3回はぎゅっと抱きしめることを日々実行。
体重24kgの娘さんをベッドから抱っこしてリビングまで運び呪文を唱える“目覚めの儀式”も毎朝頑張っています。
幸せには「ありがとう」がふさわしい
真実井さんが幸せを感じる瞬間は、ご主人とお子さんたちが一緒に遊んでいるところを台所など少し離れたところから見ている時。
幸せな家族の姿が目に浮かぶようです。
ごくごくありふれた光景かもしれません。でも、ありふれたものに幸せを感じ、感謝する。
先生にもらった言薬もそのことに通じている気がします。
“ママのはたらく”を支えてくれる家族がいる幸せ。そこにある気持ちは「ごめんね」ではなく確かに「ありがとう」なんですよね。
真実井綾さんProfile
1) 年齢:40歳
2) 家族構成:主人・長女(6歳)・長男(1歳)
3) ご結婚した年齢:32歳
4) 出産された年齢:35歳
5) お仕事のキャリア:ブライダルコーディネーター(国内レストラン・ハワイ)
結婚後に派遣社員→正社員→産休・育休
2人目出産・育休、今年の4月に復職 現在に至る
6) 今のお仕事: (株)T-MEDIAホールディングス 管理本部人事 労務系のお仕事を中心に、「何でも屋」として人事業務全般に携わる
7) 産休、育休取得の有無:有り(2回)