2015.10.08
【現職の保育士に聞いた!】こども園で働いて感じたこととは?
そもそもこども園ってなに?
幼稚園と保育園の良いところ(たとえば、幼稚園=小学校入学に向けた教育をしてくれる、保育園=長時間預かってくれる)を活かし、子どもたちの「教育」「保育」「子育て」を総合的にサポートできるようにする園で、保護者が働いている、いないに関わらず入ることができます。(認定こども園トップページ)
そしてこども園は下記4つのタイプに分かれていることも知っておくべき情報です。
(内閣府 子ども・子育て本部HPより)
こども園の中で児童みんな一緒に生活し、同じ保育や教育を受けますが、短い保育時間は「幼稚園コース」、長い保育時間は「保育園コース」に分かれるようです。
そしてそれぞれのコースで定員が決まっています。
こども園と保育園の大きな違いはここ!
保育園と子ども園のおおまかな違いは、下記の表のようにまとめられます。
保育園
・厚生労働省が定めた「保育所保育指針」を踏まえて、保育を実施している。
・家庭において十分に子どもを保育できない場合に、家庭に替わって子ども(0~5歳の乳児および幼児)を保育するため、児童福祉法に位置付けられた「児童福祉施設」。
・保育料は、認可は各自治体が世帯収入によって決定、認証は世帯収入にかかわらず独自で決定する(認可と認証の違いは10/5掲載の「【わかりやすく説明】保育園の「認可」と「認証」何がどう違う?」を参照してください)。
(保育園を知ってくださいより)
こども園
・内閣府・文部科学省・厚生労働省が定めた「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」を踏まえて、教育・保育を実施している(幼稚園型は幼稚園教育要領、保育所型は保育所保育指針に基づくことが前提)。
・小学校における教育との円滑な接続を目指している。
・保育料は、保護者の所得に応じて、また国の基準を上限として、市町村が設定する。ただし、園によっては、実費分を別途徴収することや、通常より手厚い教育体制を整えているために必要となる経費を「特定負担額」として別途徴収することもあるそう。
(内閣府 子ども・子育て本部HPより)
なるほど、これでも違いはよく分かりますが、保育内容など具体的にどういう違いがあるのかも知りたいですよね。
そこで、保育園からこども園に異動になった保育士さんに直撃インタビュー! 違いがよくわかるように、「保育園とこども園の違い」を比較! 気になることを聞いてみました。
聞いた方
〔保育士さん〕…保育園に20年以上勤め、数年前にこども園(幼稚園がこども園になった園)に異動。
保育園と子ども園、保育の仕方もこんなに違う!
保育園:教室が狭いことが多いので、落ち着いた環境で過ごせるようにするにはどうすればいいか、一人一人がじっくり遊べるにはどうしたらいいかを考えていましたね。周りが見えてしまって気が散らないように衝立とかをしたり。
ハサミにしろセロテープや折り紙にしろ、限られた少ない消耗品をどう節約して使うか頭を悩ませていました(笑)。
こども園:大事にしていることは、「好きに遊んでいい時間に自分で考えて遊ぶ力をつけていくための援助をどうしていくか」なんです。この「好きな遊びの環境の作り方」がこれまたびっくり!
子ども園は1クラス30人ちょっといて、部屋もとても広い。
同じ部屋の中で、大型の積み木で大きな家などを作る子どももいれば、カセットを自分でかけたりお面を作ってヒーローごっこをする子もいれば、(園が特に力を入れている)製作コーナーでいろんなものを作っている子もいる。
同じ空間の中で友達の遊んでいる姿を見て刺激を受け、私もやってみようと思って真似したりすることで、育っていくという考えです。
保育園では考えられないくらいのいろんな素材の紙やら、豊富な折り紙、たくさんのセロテープ…さまざまな教材がそろっていて、思いっ切り使わせてあげられるんです。
園児の違いは?
保育園:ほぼ0歳児から集団生活に入っている子が多く、小さい時からの積み重ねがあるから、生活力や社会性があるなぁと、思います。
こども園:まず感じたのは、幼稚園コースとして4歳から入ってきた子は、集団生活に慣れていないのでとても幼い、でもとても素直な子どもだということです。
スレてないというか。それは、4歳になるまで1日中ママと一緒で満たされているからなのかなぁ? と、私も我が子を保育園に預けて働いていたので、ある意味ガーン! という感じでしたが。
同じこども園でも施設によって違う
◆お昼ご飯
私が働いているこども園は全員お弁当なんですが、子ども園によっては園内の調理室で作ってくれる全員給食のところもあります。
実は、この、お弁当と給食の違いはとても大きいんです。保育園はみんな給食で同じメニューを食べるので、「隣の子が食べてるし、苦手なものもちょっと食べてみようかな?」と、子ども同士の相乗効果もある。
しかし、お弁当はその子の好きなものしか入ってなかったり、量だってバラバラ。食育の指導とか、本当に難しいですね。
◆お昼寝
子ども園によっては、お昼寝をするところ、しないところとあります。私の勤めている子ども園ではお昼寝はほとんどしません。なので、長時間(保育園コース)の子は、夕方になると疲れちゃうんですよね。
もちろん寝たらそのまま寝かせてあげますが、本当に体を休めるというくらい。がっつりお昼寝の時間はありません。
子ども園によっては、給食が終わると帰りの会があって、幼稚園コースの子はそのまま帰り、保育園コースの子はそのまま2時間ほどお昼寝というところもあるそうです。
働いている・働いてないの差は大きい!?
いかがでしたか? 毎日親子を見ている保育士さんも、大きな違いを感じているのですね。
ママが「働いている・働いていない」でお迎え時間も全然違うし、そうなると子どもが園にいる時間も違ってくる。
先に一斉に帰ってしまう子たちと、夕方遅くまでいる子どもたち。もしかしたら子ども同士でも「先に帰れていいなぁ(保育園コース」」「長く遊べていいなあ(幼稚園コース)」など、気持ちに温度差って出てきてしまうのかもしれません。
それに、保育園は基本的に両親が働いていることが大前提。ママたち全員同じような環境や立場、温度差もほとんどない。
その一方で、こども園という同じ園内で働くママと働いていないママがいれば、どうしても園への関わり方などに差が出てきてしまうようです。
でも、その差をあまり気にしすぎず、振り回されすぎず、ある程度割り切って親子とも卒園まで楽しく過ごせればいいですね。
次回は、こども園内の幼稚園コースママと保育園コースママの違いを掲載予定。さあ、どんなその違いはどんなものなのか、乞うご期待です!
田崎美穂子
mamaライター