2015.10.22
読書の秋に読み聞かせたい、自然と命を考えるとっておきの「絵本3選」
幼稚園教諭ママが薦める
友達、自然、命を学ぶ
秋に読みたい
とっておきの絵本3冊
秋の夜長に、子どもと絵本を
読書の秋です。毎日忙しいワーママさんたちも、寝かしつけ前に一冊、絵本の読み聞かせをしてみてはいかがでしょう?
お布団に入って体が温まるまでの間、ほんの数ページめくるだけでもいい。子どもと過ごす読書時間は心が安らぎます。今回は、現役幼稚園教諭ママが薦める、秋の絵本を3冊ご紹介したいと思います。
比べない、争わない。個性を考える
「どんぐりと山猫」宮沢賢治
誰もが知っている宮沢賢治の名作。
ある秋の日、面倒な裁判を頼まれた一郎少年が、どんぐりたちの「誰がいちばんえらいのか」という喧嘩の決着をつけるお話です。
幼稚園でこのお話の紙芝居を読み聞かせたときに、子どもたちの表情がくるくると変わっていくのがとても印象的でした。
独特な語り口調がリズムよく、抑揚をつけて読み聞かせると、はじめは大笑いしながら喜びます。
物語が進み、
「まるいのがえらい」「とがっているのがえらい」
と、誰がいちばんえらいのか競い合うどんぐり。
園児たちはそれぞれの個性を思い、どんなどんぐりがいちばんなのか考えます。
そして、言い争いの決着は「いちばんバカで、めちゃめちゃで、頭のつぶれたようなのがいちばんえらい!」という一郎の判断に、目をまんまるくして驚くのです。
この絵本には、子どもたちにとって、外の世界で生きていくのに大切な教訓がたくさん詰まっています。
どこからきて、どこへいくの?
「くさる」なかのひろたか
大きなスイカと、それに群がるハエたちがインパクトのある表紙です。
台所の生ゴミの臭いではじまるお話。
「食べ物が腐ってしまうと、どうなるの?」
というお母さんと子どもの話から、自然のサイクルを学べる壮大な絵本です。
腐った食べ物を庭に埋めると、それを虫たちが食べてうんこをして、
それが草や木の栄養となり、その植物を動物たちが食べ…。
食物連鎖が子どもにもわかりやすく説明されており、
「すべての生き物たちはつながっている」という大切なことに気づけます。
ゴミはゴミ収集車に持っていってもらうのが当たり前な現代。
自分の手から離れたものがどうなっていくのかを想像する力が乏しくなっているような気がします。
いろいろな生き物がうまれて、しんで、くさって、土にかえっていく。
このお話を読んだあとの子どもたちは、虫や草木、食べ物に対する見方が少し変わっているようにも思えました。
自然のサイクルと、自分たちもそのなかの一部なのだという認識をもたせてくれる良書です。
銀河系誕生からはじまる、命のリレー
「せいめいのれきし」バージニア・リー・バートン
こちらも壮大な、地球がうまれてから今までをたどる、命のリレーの物語です。
この絵本は我が子たちもお気に入りで、3歳ころから小学生に上がっても、何度も何度も開いては、じっくり眺めていたもの。
まずは銀河系の誕生に地球のこと、恐竜の時代に、マンモスの登場。
人間が出てくるのなんて、やっとお話が半分を過ぎたころです。
劇場仕立ての絵がとてもユニークで、絵を眺めているだけでも十分楽しめます。
とても長い絵本なので、1日1ページずつ、ゆっくり読み進めてもいいかもしれません。
読み終えたときには、自分が「せいめいの主人公」になっている、とっても素敵なお話です。
植物が実る秋は、自然や命についてじっくり考えることのできる季節。
お子さんと一緒に、絵本を楽しむ時間を作ってほしいと思います。
《お薦めしてくれたワーママ》
小学生の長女と、保育園の息子を育てるワーママ。最近では弟チョイスの絵本をお姉ちゃんが読み聞かせることができるようになり、子どもが読み合うのもいいなぁと思いました。大人の読み聞かせは物語を進めがちですが、ページごとになにか発見したり、逸脱してほかの話をしてみたり、自由に楽しめるのは子ども同士の読み聞かせならではです。
宮沢賢治著
三起商行刊
ISBN:978-4895881135
「くさる」
なかのひろたか著
福音館書店
ISBN:978-4834006728
「せいめいのれきし 改訂版」
バージニア・リー・バートン著
岩波書店
ISBN:978-4001112504
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浦和ツナ子
ライター/編集