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2020.10.14

子どもに辛くあたってしまう!その行動の裏側にあるママが抱える問題とは?<専門家に聞いた!>


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子どもに対して突き放すような言葉を言ってしまう…。実は子どものこと以外に不満を感じたりイライラしたりしていることを、仕事面や夫婦の関係の中で抱えていませんか?子どもとのコミュニケーションについて考える場合に切っても切り離せない、夫婦のコミュニケーションや協力体制
良好な夫婦関係を築いていくために手軽にできることや心構えを、東京家政大学 子ども学部の岩立京子教授に伺いました

どうして子どもにあんなにきつく言ってしまったんだろう…

普段大丈夫なことに異常に腹が立ったりします。

普段大丈夫なことに異常に腹が立ったりします。

子育てをしていると、イライラしたり泣きたくなることもあるものです。
大抵は感情を抑えて冷静に振る舞おうとするものの、ふとした拍子に頭の中で何かがブチッと切れる音がして、「何度言ったらわかるの!」「いい加減にしてよ!」「もう知らない!」などの言葉が口から飛び出してしまうことはありませんか?
岩立先生は、「こんなふうに必要以上に子どもにきつい言葉を発してしまったり、わざとじゃないことに対しても子どもを責めて追い込むような言葉をかけてしまうとき、ママ自身の仕事の悩みや、夫への不満などが背景にありませんか?」と問いかけます。

「『夫との家事育児分担がうまくいかずどうしても自分の負担の方が大きくなっている』『夫はいい人だけれど自分の苦労をいまひとつわかってもらえない』などの不満やストレスを抱えていると、子どもの同じような行為でも2倍ぐらいの勢いで怒ってしまうこともある」と岩立先生。
「何で私はあんなに感情的に怒鳴ってしまったんだろうと、少し時間を置いてから冷静に自分自身を振り返ることが大事です」。

「忙しい!」一点張りの夫との歩み寄りの秘訣は?

あああ

何度相談しても、夫が忙しく子育てに協力してもらえないことも。

子育て中、特に子どもが小さい頃は、パパも働き盛りの年頃の真っただ中で、どうしても「一緒に子育てをする」という状況が作れないことも。

岩立先生は「できない夫に言葉でやってよ!と言っても無理。また、何となくあうんの呼吸で理解しあっていると思っていながら、お互いが求めていることにずれが生じていることも。具体的に、やれることとやれないことを話し合い、調整していく作業(コ・ペアレンティング=共同育児)をしましょう」と提案します。「その作業を積み重ねることで、実際に夫が分担をできているかどうかよりも、『一緒に子育てしている』という実感が持てるようになります。それによってパパの存在感が家庭の中で大きくなることが、親子関係にも夫婦関係にもよい効果をもたらしてくれますよ」。

パパの子育てはいいとこ取り?

あああ

休日だけに出現する優しさに溢れたレアキャラのパパはまさにいいとこ取りですね。

よく、パパの子育ては「いいとこ取り」と表現されることがあります。
オムツ替えでも「大」のほうは嫌がったりできなかったり、子どもの喜ぶことや楽しい部分だけを積極的にやって「イクメン」になった気分になってしまったり……。岩立先生は「そんな様子にはママも不満に思うことも色々あると思います。でも、子どもと関われる時間よりも何よりも、子どもがなついてくれるということが、父親の子育てへの意欲をひき出すんです。ここはママが主体となってパパをコントロールするぐらいの方がうまくいくことも多いんですよ」とママたちを応援します。

現実には、時間が全くないわけではないのに家事育児分担をしない、大きな子どものようなパパも。「そんなパパでも、簡単なことだったらできるはず」と岩立先生。

「ママが出かけている時に炊飯器のセットだけしてもらう、帰りが遅くなるときにはメールを入れてもらうなど、少しずつ交渉してみましょう。パパからのメールがあると子どもがすごく喜ぶことを伝えるなど、『パパにこれをやってほしい』という子どもの思いを、ママがメッセンジャーとなってパパに伝えるのもいいですね」。

パパの存在感をみんなで作りだそう

あああ

ママ自身のためにも諦めずにパパに話し合いや提案を。

「うちは夫が忙しいから……、どうせ言っても無理だから……と、歩み寄る工夫をすることなく『私だけがどうしてこんなに大変なの』と気持ちになってしまうことは避けたいですね」と岩立先生。

「互いを尊重し、『できるほうができることをやる』というスタイルを、修復しながら少しずつ築いていけるといいですね。家にいる時間が少ないパパでも、単身赴任のパパでも、家庭の中に大きな存在感を作り出すことはできるんです。それにはお互いの努力が必要です」。

子育ても、夫婦の協力体制も、誰だって最初からうまくはいかず、頑張り屋のママほど「これぐらい私ができるからやらなきゃ」と、無意識のうちにためこんでいる場合も多いのかもしれません。しかし「私ができるからやってしまう」のではなく、あえて夫婦で向き合って話し合い、提案、交渉をしていくことで、より楽しく幸せな家族関に近づいていけるという視点を、岩立先生にいただきました。

<専門家プロフィール>
岩立京子●東京家政大学 子ども学部教授、東京学芸大学、教育学部、名誉教授。専門は発達心理学と幼児教育。Eテレ「すくすく子育て」に出演経験があるなど、子どもの心の発達としつけのエキスパート。

※この記事は2015年11月に公開されたものです。

千葉美奈子

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