2017.03.26
栃木市すべての小中学校でスタート!地域独自の【小中一貫教育】ってどんな内容?
栃木市で始まる独自の「小中一貫教育」とは?
目下、卒園・卒業シーズン。4月からは新入生になるお子さんもいらっしゃるのでは?
さて、3月18日に「栃木市独自の『小中一貫教育』導入 市内の全小中学校対象、新年度から」というニュースが、下野新聞より報じられました。
この記事によると、栃木市にある44校すべての小中学校で、市独自の小中一貫教育をスタートさせるとのことです。
栃木市の小中一貫教育は、6・3制を維持した「施設分離型」としながら、小・中で9年間の系統的な教育に取り組むと、17日の記者会見で発表しました。
特徴としては、現在14に分けられている中学校区ごとに小中学校をブロック化すること。そこで、保護者や地域住民が学校運営に直接携わるコミュニティ・スクールを導入し、学校と地域が一体となった教育を目指していくそう。
ちなみに、コミュニティ・スクールとは、「学校運営協議会制度」と同義。学校だけでなく、保護者や地域の住民が一緒になって知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させていくもの。地域に根差した学校教育が営めるものです。
毎日新聞でも「来年度から全小中が一貫教育 地域が運営に参画 /栃木」というニュースが同日に報じられ、栃木市が2011年から、中学校の校区ごとに小学校と中学校が互いに連携して、地域全体で教育に取り組んできたことを報じていました。
平成18年に教育基本法が改正されたときに、学校・家庭・地域住民などでお互いに連携・協力する規定が盛り込まれました。文部科学省の資料によると、子供を取り巻く環境の変化から地域全体で教育に取り組む体制をつくっていく必要があるとのこと。スクールコーディネーターが中心となって地域と学校をつなぎ、様々な取り組みを行っています。(参考/「学校と地域の連携・協働に関する 参考資料」)
全国的に増えている? 小中一貫教育校
さて、今回新たに小中一貫教育を導入した栃木市では、この試みにあたって「中1ギャップ」を解消することなどが狙いとなっています。
中1ギャップとは、それまでの小学校の生活とは大きく変わる中学校生活で、新しい環境に馴染めないために、不登校やいじめといった問題が様々に出てくることを差します。特に授業に関しては、科目も増え、教科ごとに先生が変わる、定期テストが行われるなど非常に大きな変化があります。
さて、その中1ギャップを解消するために、栃木市の場合はブロック(中学校の学区域)ごとに小中一貫で「目指す子ども像」を設定します。これをベースに、学力の向上をはかったり、児童・生徒の指導の連携を強化したり、ふるさと学習の充実を推進……など、小中で共通した取り組みを行っていけるということです。
小中一貫教育を行うにあたっての学校教育法の改正が施行されたのは、2016年4月から。すでに他の地域でもこの取り組みを導入している学校があります(「義務教育学校」という形の地域もあります)。
少々古い資料ですが、取り組みを紹介しています。
■「小中一貫教育の 現状と課題」(小中一貫教育推進のための学校施設部会 /2013年12月20日)
大阪府八尾市のホームページにメリット・デメリットが分かりやすく掲載されていました。
■小規模特認校及び施設一体型の小中一貫校、学校選択制のメリット、デメリットより
■施設一体型の小中一貫校のメリット・デメリット
<メリット>
・校種の違いから生ずる子どもたちの心理的負担を軽減することができる。特に、中学校入学にあたって安心感をもつことができる。
・学校教育目標やめざす子ども像を統一させるなど、同じ教育観に基づいて教育を行うことができる。
・学習指導生活指導上、一貫した指導方法に基づいて指導することができる。
・教員相互の交流を図りやすく、小学校において教科担任制等を導入しやすい。
・異年齢交流学習を行いやすく、年長者や年少者などと多様な関わり方を学ぶことで、社会性や協調性などを育成しやすい。
<デメリット>
・上級生が下級生を甘やかす、下級生が上級生に甘えるなどの場面が見られやすい。
・小学校高学年にとって、活躍の場が少なくなる。特に6年生にとっては最高学年としての活躍の場が少なくなる。
・施設を新設するため、新たな学校用地や予算が必要となる。
今後、ますます増えていきそうな小中一貫校。我が家の子どもたちが通う学校がどんな教育を取り入れているのか気になるところですね。