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2018.05.13

どういう状態を不妊症というの?まずは不妊症の状態についてを知っておきたい


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不妊症について関心が高まっていることを、感じたことはありませんか?電車内のつり広告や、コンビニに並ぶ雑誌の特集、ネットニュース……また、新聞やテレビで不妊に関する情報がピックアップされることもあり、多くの人が、不妊症についての情報を求めていることがわかります。

こうしたニュースを見た時や、周囲の人が話題にしていた時に「もしかして私も不妊症なのかな?」と感じる女性もいるでしょう。結婚したときから赤ちゃんが欲しいと思い授かるように生活をしていた女性なら、毎月の月経を迎えるたびに「まさか私、不妊症?」と不安を覚えるかもしれません。また、結婚していない女性も「生理不順だけど、将来、赤ちゃんを授かれるかな?」と心配になるかもしれませんね。

では、「不妊症」とは一体どんな状態を言うのでしょう。基礎的な知識を知らなければ、不妊症への対処も妊活もできません。今回は、女性に知っておいてほしい不妊症の基礎知識につてまとめました。

赤ちゃんが欲しいのにできない…私って不妊症?

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みなさんはどんな状態を「不妊症」と呼んでいますか?不妊症という言葉は世の中に浸透していますが、どんな病気か知っているという方は多くないかもしれませんね。「赤ちゃんが欲しいと思っているのに、何年も授からない病気」という認識がある方もいると思います。

妊娠を望んで性交を行っている男女であっても、赤ちゃんができるまでの期間はカップルによってまちまちです。すぐに妊娠することもありますし、何か月経ってもなかなか妊娠しないということもあります。避妊をしていないにも関わらず、赤ちゃんができない期間の長さは不妊症に大きく関係してきます。

妊娠には男女のタイミングも重要です。受精は女性の卵子と男性の精子が出会うことで成立します。いつでも妊娠が成立するわけではなく、女性側のバイオリズムに合わせる必要があります。

また男性の精子がどれくらい女性の子宮内で生きていることができるか、どこまでまっすぐに泳いでいく力を持っているかなども重要なポイントです。一度の性交で排出される精子は数億個ですが、子宮に至る前に99%は死んでしまいます。また寿命も36時間から48時間程度と短いのです。

女性のバイオリズムと男性のタイミングがずれれば、たとえ夫婦で望んでいても赤ちゃんはできません。だからといって、「赤ちゃんが欲しいのにできない」と思った人すべてが不妊症というわけではありませんし、すぐに体外受精などが必要になるわけでもないのです。

不妊症ってどんな状態のことなの?

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それでは、不妊症についてくわしく見ていきましょう。まず知っておいてほしいことは、「不妊症という病気が存在しているわけではない」ということです。日本産科婦人科学会では不妊症ではなく「不妊」と定義しています。不妊は、赤ちゃんができない状態が続く期間のことを指しています。

では不妊症と不妊は何か違いがあるのかというと、ほとんど違いはありません。なんらかの原因がひそんでいるため、赤ちゃんができない状態すべてを一般に「不妊症」と呼んでいます。正確に分けるのであれば、こうなります。

・不妊は、赤ちゃんを望んでいるのにできない期間
・不妊症は、赤ちゃんを望んでいるのにできない状態

なぜこのような呼び方の違いができたのか定かではありませんが、「不妊症」とはひとつの病気の名前ではなく、赤ちゃんができない状態すべてを指す広義の名称ということは覚えておきたいですね。

では、不妊症とは具体的にどんな状態をいうのでしょうか。日本産科婦人科学会では、「妊娠を望んでいて、性交も行っている健康な男女が1年以上妊娠しないこと」と定義しています。

実は平成27年の夏まで「2年以上」とされていました。しかしWHOなどの諸機関が不妊と定義する期間を1年としていることに加え、近年日本人女性の社会進出が目覚ましいことが注目され、1年に変更されました。

女性の社会進出がごく当たり前のこととなり、それに比例するように晩婚化も進んでいます。晩婚化が進むということは、妊娠する年齢も高くなるということです。不妊への対処は早ければ早いほど良いため、不妊に対する関心を高めるためにも不妊の定義を1年縮小したのです。

不妊症、不妊という状態を引き起こしている原因はいろいろあります。次は、その原因についてくわしく調べてみましょう。

不妊症はひとつの病気じゃない!知っておきたい女性の不妊原因

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先ほど不妊症はひとつの病気のことではなく、さまざまな原因によって赤ちゃんができない状態のことを指すとご紹介しました。つまり不妊症を改善するためには、その状態を引き起こしている原因を探る必要があるのです。

女性に不妊の原因がある場合、こういった要因が考えられます。

・排卵がない
・女性ホルモンの異常
・甲状腺(女性ホルモンに関わる)の異常
・ホルモンバランスの異常
・炎症や感染症・その他の病気で卵管が詰まっている
・子宮頚管の粘液(精子が通りやすくなるためのもの)の異常
・精子に対する抗体があり、精子が体内で攻撃される
・子宮筋腫
・子宮内膜症
・極端な体重減少や極端な肥満
・その他の病気
・年齢

ここに挙げただけでも、こんなにたくさんの要因があります。専門的な検査を受けると、もっと細かな異常が見つかることも少なくありません。

こうした異常が分かった場合は、まずその治療を受ける必要があります。たとえば不妊の原因がホルモンバランスの異常だとわかっても、ホルモンバランスの異常を引き起こしている原因が分からなければ、根本的な治療にはなりません。また原因がわかっても、治療が難しいケースだと妊娠までは長い時間がかかることもあります。

そのため、自分が不妊かどうかを早めに知っておくことは大切なことなのです。まだ結婚をしていなくても、既婚者で赤ちゃんを特に望んでいない場合でも、いつか「欲しい」と思った時に治療をスタートしたのでは、間に合わないこともあります。

なぜなら、「年齢」も、不妊の大きな原因のひとつだからです。女性は加齢とともに卵子も年齢を重ねていき、女性ホルモンの分泌も少なくなるため、妊娠しにくくなっていきます。30歳を超えると妊娠しにくくなり始め、35歳を超えるとそれは顕著になります。

また加齢が関与しているとされる卵子の染色体異常の確率も高くなり、流産のリスクも年齢とともに上がっていきます。こうした要因が重なり、40歳を超えると、自然妊娠できる確率はぐっと低くなってしまいます。

また、原因がわからないというケースも少なくありません。上に挙げたような原因が見当たらないのに妊娠しないという場合もあれば、「ホルモンバランスの異常」といった原因がわかっても、その異常を引き起こしている原因がわからないということもあります。

たとえば、検査には表れにくい体調不良が起きている場合です。現代はストレス社会と呼ばれて久しいですね。仕事が忙しいと肉体的にも精神的にも疲労し、自律神経が乱れてしまうこともあります。また知らないうちに生活習慣が乱れ、睡眠の質の低下や冷えによる血行不良などがホルモンバランスの異常の原因であることも。

そのため、「妊活」といって妊娠しやすい身体づくり・環境づくりを早めにスタートする女性も増えてきました。お酒やタバコなどをやめたり、冷えやすい体質改善のためにヨガや漢方をためしてみたり、軽い運動を取り入れて体調を整える方もいます。さらに葉酸などサプリメントを試してみる方も多いですね。

それでも妊娠の兆候がない場合、「理由がわからない」という原因のほかに、もうひとつ原因が考えられます。それが近年注目されている「男性不妊」です。男性側に不妊因子がある場合、女性の身体が妊娠に向けて整っていても、妊娠が難しい状態になってしまうのです。

彼に原因がある場合も?男性不妊についての知識

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男性側に原因がある不妊のカップルは、どれくらいの割合で存在していると思いますか?実は男性にのみ原因があるケースが24%、男性にも女性にも原因があるケースが24%、合わせておよそ50%ものカップルに、男性側にも不妊の原因があるとされているのです。男性が原因の不妊症は、決して珍しいケースではありません。

女性が生理のトラブルなどで産婦人科を訪れることは、よくあることです。激しい生理痛で受診し子宮内膜症と診断されたり、生理前のイライラが重くPMS(月経前症候群)と診断されたりする方もいます。また子宮頸がんなど若い女性でも発症する病気もあるため健診を受ける方も多く、産婦人科は未婚の女性にとってもそんなに遠い存在ではありません。

また産婦人科でもブライダルチェックなどを勧めているので、妊娠についてまだ不安や疑問を抱く前から、不妊症につながる病気や不調を早期に発見できることもあります。

その一方で、「自分には妊娠させられる能力があるのかな」と不安に感じ、男性がみずから検査を受けに行くという方は非常にまれでしょう。そもそも、どこで検査を受けることができるのか、知らない方も多いと思います。男性の場合は女性同様産婦人科か、泌尿器科、また不妊外来で検査を受けることができます。

では、どんな原因があるのでしょうか。

・造精機能障害
・無精子症
・乏精子症
・精子無力症
・勃起不全
・精索静脈瘤
・精管(精子が排出される管)の詰まり・途切れ
・糖尿病など生活習慣病
・年齢

男性の不妊症の多くは造精機能障害、精子をうまく作り出せないことが原因です。その機能障害があるため、精子が精液中に存在しない無精子症などが起こります。精巣に病気があったり、ホルモン分泌に異常があると造精機能障害が起きてしまうのです。

また、男性にとっても「加齢」は大きな要因です。男性の場合は35歳を過ぎると精子の質が落ちていき、奇形率・染色体異常率のアップや運動率の低下・遺伝子異常などが見られるようになります。そして40代に入ると、女性が自然に妊娠する力を失っていくように、男性も自然に妊娠させる力が大きく奪われていくのです。

男性の場合も過労や睡眠の質の低下・ストレスなどは不妊症の原因になります。特に精神的な疲れやプレッシャー・生活習慣病は勃起不全の原因となることが知られています。また女性よりも飲酒・喫煙をたしなむ人の割合が多いこともポイントといえるでしょう。さらに環境ホルモンは精子を減少させるとされ、不妊に影響していると言われています。

そして女性同様、理由がわからないという方も一定数存在しています。男女合わせて全体の10%は、原因不明の不妊です。理由がわからないという中には、生活リズムの崩れから身体が衰えを見せているという方も少なくありません。そのため、女性同様早めに「妊活」を始め、体調を整え体質を妊娠に向けて改善していくことはとても大切なのです。

不妊症かも、と思ったらまずやるべきこと

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不妊症かもしれない……そんな疑問がふっと湧いたとき、大きな不安に包まれてしまうかもしれません。不妊治療にかかるお金のこと、時間のこと、仕事と治療の両立のこと、夫とどう話し合うかということなど、頭を悩ませる種は無数に現れるでしょう。でも、慌てたり焦ったりするストレスも、不妊の原因になってしまいますので、
まずは、落ち着いてパートナーと休みを合わせ、一度産婦人科か不妊外来を受診して不妊検査を受けてみましょう。産婦人科は、できれば不妊治療に熱心なところがおすすめです。不妊外来なら、妊婦さんや赤ちゃんの健診と待合室で一緒になることもなく、つらい思いをすることも少ないかもしれませんね。

基本の不妊検査は、多くの病院で女性が5種類、男性が1種類受けることになっています。女性は排卵や生理のリズム・性交のタイミングに合わせて通院するため、検査だけでも何度か通わなければなりません。男性の場合は、最初は精子検査になります。その後互いに異常が見つかれば、精密な検査を受けて原因をつきとめたり、治療をスタートすることになります。

いずれは休みが合わなくなり、女性だけが産婦人科に通う時が来るかもしれません。でも、最初は必ず二人で一緒に受診し、検査を受けましょう。また結果も二人で受け止めましょう。どちらに原因がある場合も、赤ちゃんが欲しいという気持ちが一緒であれば、二人で乗り越えるべき壁です。

どちらかを責めたり、不妊治療を押し付けるのではなく、一緒に取り組む気持ちを持ちましょう。そして妊活をスタートさせ、食生活や生活習慣の改善を一緒に始めて体調を整えましょう。ふたりでこれからについて、よく話し合うことも大切です。お互いに不安や疑問を話し合い理解し合うことで、ふたりで乗り切ろうという気持ちになることができます。

また、女性はバイオリズムの変化をある程度自分で感じることができます。生理が来て、生理が終わり、人によっては排卵痛があって排卵が分かることもあります。また生理前の1週間前くらいから、頭痛やイライラのような症状を感じる人もいます。

でも、本当に自分の妊娠にまつわるリズムを知りたいのであれば、基礎体温をつけることをおすすめします。基礎体温をつけることで、ある程度正確な排卵のタイミングを知り、いつが妊娠しやすいタイミングなのかも把握できるようになります。不妊治療がスタートする前に、排卵のタイミングに合わせて性交をするよう心掛けるだけで妊娠するカップルもいます。

不妊症ではない場合、避妊をしなければ1年で9割、2年で10割のカップルが妊娠する計算になります。しかし、実際には3組に1組のカップルが不妊症に不安を抱いたことがあり、不妊症と診断されるカップルは10組に1組と言われています。決して他人事ではありません。

まずは二人で不妊の原因をさぐりながら、妊娠しやすい身体づくりに向けての努力をスタートしましょう。それは二人の健康向上のためにも、きずなを深めるためにもきっと役立ちます。二人の心をひとつにし、互いを労わりあいながら、赤ちゃんが訪れる日を待ちましょう。

 

 

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どういう状態を不妊症というの?(1)
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河野まちこ

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