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2019.11.06

吃音(きつおん)とは?子どもへの支援や指導法<ママたちの体験談>



吃音とは、「話すときにどもってしまうこと」をいいます。100人に1人程度、日本では約120万人いるといわれています。吃音があることで、話す自信がなくなってしまったり、友達に指摘されて「自分は変なのかな」と思い込んでしまったりする子どもも少なくありません。吃音のある子どもの保護者が、「ウチの子、学校生活大丈夫かな」と不安になることも。
吃音は、適切な支援や指導を行うことで、改善するケースが多くみられます。今回は、吃音とはどういう状態か、吃音の支援や指導はどんなものがあるのか、実際に吃音のあるお子さんを持つママの体験談を紹介します。

吃音には大きく分けて3パターンある


吃音について、今まで多くの研究が続けられていきました。「吃音は生まれ持った体質的要因と環境要因が複数関わって生じる」という仮説が提唱されましたが、詳しい原因は現時点ではよくわかっていないそうです。
ひとくちに吃音といっても、言語症状は大きく分けて3パターンあります。

・語音を繰り返す
「ぼ、ぼ、ぼくは」のように、語や文の始めの語音を繰り返すことが多いですが、「ぼく、きのう、う、う、」など、文の途中や語尾を繰り返す子もいます。

・語音を引きのばす
「ぼーーーく」のように語音を長く引き伸ばしたり、「ぼぉーぅ…-く」のように力みながら伸ばしたりします。

・語音がつまる
「…ぼく」のように、語音が詰まって出なくなる症状。最後まで語音が出ず、言うのをやめてしまったり、力みながらなんとか声を絞り出そうとする子どももいます。

吃音は治るの?


小さな子どもは、自分の吃音症状に気づかないことが多く、周りの子どもたちも気にしないことがほとんどです。幼児期に吃音がある子どもの7~8割は、特別な治療や指導をしなくても自然治癒するといわれています。
自然治癒しなかった子どもは、頻繁に言葉を繰り返したり、言葉が詰まったりする経験を重ねるうちに、うまく話せないことを不満に感じたりします。それに加え、友達など周りから指摘される場面も出てきます。その結果、話す前に不安を感じたり、話すこと自体が怖くなってしまうケースもあるようです。
しかし、適切な指導や支援、環境づくりなどで吃音の症状を食い止めたり、改善を図ることは十分可能なのです。

吃音の指導・支援はどんなことをするの?


では、吃音の指導や支援はどんなところで受けることができ、どのような指導が行われるのでしょうか。

・ことばの教室
小中学校に設置された、言語障害特別支援学級と言語障害通級指導教室のこと。週に1~2時間ほど、吃音も含め、子どもの言語症状に応じた指導を行います。自校にない場合は、同じ市町村にある別の学校の「ことばの教室」に通うことになります。
その子の症状に合わせてどもりにくい話し方や発しやすい言葉を練習するだけでなく、「どうしてどもるのか」など吃音について知ったり、自分の吃音について「どう思っているか」「どう考えているか」などをほかの子と話し合うことで、心理状態の改善も図ります。保護者へのフィードバック、相談も行っています。

・病院や療育センターなどの医療機関
主治医や言語聴覚士(国家資格を持つ専門職)によって、吃音の言語聴覚療法が実施されます。とてもゆっくり話すところから、だんだんスピードアップしていく「リズム法」や緊張状態を解いて、なるべく吃音を気にしないで話せる環境づくりをする「環境調整法」などを行います。

・スクールカウンセラー

小中高等学校に配属されている心理の専門職が、じっくり話を聞きながら、主に心理面のサポートを行います。臨床心理に関する専門知識を生かしながら、児童だけでなく、保護者もサポートしていきます。

パパやママ、担任の先生ができること


普段接する時間が多いのは、やはり保護者や担任の先生。吃音のある子どもに対して、日常生活の中でパパやママができること、学級の担任ができる対応や支援とは?

・パパやママができること、心がけること
子どもの「話し方」ではなく、「話の内容」にしっかり耳を傾けることが大切です。何を言いたいのか、何を伝えたいのか、焦らせず、促さず、とにかくじっくりゆっくり聞くこと。忙しい毎日、やることも多くなかなか難しいかもしれませんが、お風呂に入っているとき、寝かしつけのときなど、耳を傾ける時間を作ってあげたいですね。
また、吃音のことで子どもが困っていたら、子どもの味方になって、しっかり相談に乗ります。必要に応じて、ことばの教室の先生や、担任の先生に伝えておくのもいいかもしれません。
なによりも、パパやママ自身が「吃音が出たのは自分の育て方のせいなのではないか」と自分を責めないことが大切です。

・担任の先生ができること、心がけること
学校では、手を挙げて発言する、日直当番などのほかに、学習発表会や学芸会など、多くの人の前で発言しなくてはいけない場面も出てきます。吃音のある子にとって、不安が大きくなる場面でもあります。
手を挙げて答えを言う場面では、「答えがわかるけど、吃音が出そう」のときは4本指で挙手するなど、サインを決めておくといいかもしれません。順番で必ず何か言わなければいけない場面では、言いやすいセリフに変える、順番を変えるなど、実施ルールを変更・緩和することも有効になってきます。また、クラス全体に「頑張って話しているのをからかうのはとても失礼なこと」「話し方でなく内容が大切だ」と伝えたり、吃音を許容する雰囲気を作ることも大切です。

参考になる! 吃音のある子どものママたちの体験談


家庭よりも長い時間を過ごす園や学校。ママたちが見ていないところで子どもが辛い思いをしないよう、対応を考えたいもの。吃音のあるお子さんを持つ、2人のママにお話を聞いてみました。

【本人が吃音をまったく気にしていない〔Iさん、子ども14歳、10歳〕】
■吃音に気づいたのは?
発語も遅く、単語が出始めたのが2歳近く、4歳くらいになってやっと文章を話せるようになった長男。やっといろいろ言えるようになったな~と喜んでいたのですが、年長になって少し経った頃から「きょ、きょ、今日ね、保育園でね、」という感じで、吃音が出始めました。その頃は吃音のことを知らなかったので、早く話したくて焦ってるのかな、くらいにしか思っていませんでした。
保育園の個人面談で先生に相談したところ、「私たちも少し気になっていました。今までにも何人か同じようなお子さんを見てきましたが、吃音かもしれません。区の発達相談センターに相談してみるといいかも」とアドバイスをいただきました。

■吃音の症状は?
聞いていると、「お行」の言葉で詰まりやすいようでした。「ボク」「今日」などでは、必ず出だしが詰まる感じ。あと、たくさん話そうとすると、気持ちも焦るのか吃音が出やすくなっていましたね。幸いといっていいのか分かりませんが、本人もあまり気にする様子もなく、周りの友達から指摘されたこともないようです。その分キャラが勝っていたというか(苦笑)。

■どのような指導や支援を受けましたか?
保育士さんに紹介してもらった、区の発達センターで週1回、言語指導を受けました。出にくい言葉を言いやすい言葉で言い換えたり、最近あった出来事を焦らずゆっくり話したりなど、指導というより楽しく話しながら過ごす、という感じでした。
小学校に上がって、隣の学区の「ことばの教室」に週1で通うようになりました。1年生の1学期の間は午前半休を取って私が付き添いましたが、2学期からは1人で行けるように。数人のグループで行うため、人前で話すときに出る吃音も徐々に治り、なにより「吃音は自分だけじゃない」という安心感も持てたようです。

■学校での支援や配慮は?
とにかく本人があまり気にしていなく、おちゃらけキャラだったので、クラスで指摘したりからかう子はいなかったようです。ただ、担任の先生だけでなく、音楽や図工などほかの教科の先生ともしっかり吃音の情報を共有してくれました。学芸会や発表会などで、吃音が出にくいセリフを考えたりしてくれましたね。

■現在の様子は?
指導や支援のおかげで、小学校3年生くらいから吃音はほとんど出なくなりました。ただ、久々に会う人と話すときに少し緊張するというか構えてしまうようで、最初だけ吃音が出てしまうことがあります。でも、本人もそれを自覚して、そういう時はゆっくり心を落ち着けて話すよう心がけることができているようです。

【からかう友達への指導を徹底してくれた先生〔Uさん、子ども8歳〕】

■吃音に気づいたのは?
娘が吃音かもしれない…と思ったのは、小学校1年生のときです。ちょっとしたどもりがあったのですが、小さい子特有の可愛さだと思ってしまって…初めての授業参観で、国語の時間に発表があったのですが、そのときに言葉が詰まって出なくなってしまったんです。

■吃音の症状は?
授業で言葉が出なくなったのをきっかけに、初めて会う人と話すときや、人前で話すときは必ず吃音が出るようになってしまいました。しかもそれを真似したりからかったりする子がいたので、娘はどんどん話す自信をなくしてしまいました。このまま不登校になったら可哀そうと、とにかく心配でした。
担任の先生に相談して、学校の中にある通級(週に何時間か、通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受ける)で言葉の指導を受けることになりました。ほかの学校から来る吃音のある子たちとグループ指導を受けることで、少しずつ自信を取り戻していきました。

■学校での支援や配慮は?
担任の先生が、「吃音へのからかいを許さない」雰囲気づくりをしてくれました。担任の先生と相談しながら、娘が通級に行っている間、クラスの子どもに吃音についての理解を深めたり、からかったり真似をされたらどんな気持ちになるかなど、時間をかけてしっかり伝えてくれたようです。からかう子もいなくなり、娘の話にじっくり耳を傾けてくれる子も増えていきました。まだ小学校1年生の子どもたちには酷かな~と私も罪悪感を抱きつつ、先生の対応はとてもありがたく思っています。

■現在の様子は?
今小学校3年生ですが、やはり緊張すると最初の言葉が詰まってしまいます。でも、「クラス替えのタイミングで、同じクラスの子に吃音について知ってもらう」「最初の言葉が出なかったら、深呼吸してほかの言葉を探す、次の人に順番を譲る」などの対応で、自信を失くすことなく、楽しく過ごせているようです。今も週1で言葉の指導を受けているので、少しずつ吃音が減っていくといいな、と願っています。

吃音があると、苦手意識が強くなり、話すことが辛くなったり怖くなったりしてしまうケースも多くあるようです。パパやママはどうしても心配や不安が先立ってしまいますが、「流ちょうに話すこと」を促すだけでなく、吃音があっても元気で明るく、自ら人と関わっていける人になるよう見守ることが大切です。専門機関でさまざまな指導を受けながら、一番多くかかわる保護者や先生が、子どもの良さを理解し、それを認め、褒め、それを伝え続けること。これが子どもの糧となり力となって、吃音を克服したい、立ち向かいたい、という前向きな気持ちが生まれると思うのです。

【参考】
『イラストでわかる 子どもの吃音サポートガイド』(小林宏明著、合同出版)

国立障害者リハビリテーションセンター研究所ホームページ

田崎美穂子

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