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2020.09.23

<親の死>片親が亡くなった後、遺された親はどうしている?子育て中のママに聞いた!



「「親の死」を迎えるまえにやっておけばよかったこと!親の死に直面したママたちの思い」でも触れましたが、親の死はなかなか受け入れられず、乗り越えるには時間がかかることも。遺された片親、すなわち亡くなった伴侶にとっては、想像もできない辛さだと思います。そして、遺された片親のお世話をどうしているのかも気になるところ。特に、まだまだ子育て中のママはわが子の世話もあるので、プラス親の世話は大変だと思います。
今回は、親が亡くなった後、遺された片親のケアや距離の取り方をどうしているのか、子育て中の4人のママにお話を聞いてみました。

近所に住んでいる、あるいは同居の場合


数駅先、徒歩ですぐのところに住んでいる、あるいはそもそも同居している親。片方の親が亡くなった後、どのようなケアをしているのでしょうか。

・2日に1回、夕飯を作って持っていく
Tさん、子ども14歳、10歳…両親は徒歩5分のところに住んでいる。2年前にお母さんが他界。
〔亡くなったときの状況は〕
母は2年前に、1年間の闘病の末亡くなりました。まだ仕事をしていた父は、仕事の後や休みの日の病院に行くという生活。母はもちろん、父の身体も心配でしたね。私は休日しか行けず、今でも「もっと行っておけばよかった」と悔やまれます。

〔ママの普段の生活、その中での配慮など〕
2~3日に1回程度夕飯を作って持って行き、週末はウチで一緒に食べています(コロナの自粛生活中は控えていましたが)。
母が元気なころから、父は一通りの家事をこなしていたので、今も料理や洗濯、掃除は普通にこなし、「ママが生きている頃とあんまり変わらないなあ」なんて言っています。「なにかやることがあれば、遠慮なく声かけてね」と伝えています。

〔亡くなる前と今での付き合い方に変化はありましたか?〕
両親とも元気だったときは、今より会ったり気にかけたりしていなかったですね。自分の生活でいっぱいいっぱいで、「今日行ってもいい?」と言われても断ってしまったりして。今は朝晩LINEで父と連絡を取ったりして(父曰く、「生存確認」だそう)、たくさん話すようになりました。

・同居の母が過干渉に…!?
Hさん、子ども11歳、7歳…ママの両親と2世帯住宅で同居。1階に両親、2階にパパ、ママ、子どもが住む。

〔亡くなったときの状況は〕
父が昨年癌で亡くなりました。母はすっかり気落ちしてしまい、母の分の家事全般も私がやり、ご飯を一緒に食べたり(それまではほとんど一緒に食べなかった)、私だけ母の部屋で寝たり。とにかく心配でしたが、半年ほどかけて徐々にいつもの生活を取り戻していきました。半年ほど仕事をセーブし、できるだけ母に寄り添いました。

〔ママの普段の生活、その中での配慮など〕
仕事帰りに「何か必要なものはないか、やることはないか」必ず母に連絡を入れるようにしています。帰宅後も、30分ほど母と話す時間を作って、その中で困りごとなども聞いています。子どもたちが一通り自分のことは自分でやれるようになったからこそ(もちろんまだ手はかかりますが)、なんとかできているのだと思います。

〔亡くなる前と今での付き合い方に変化はありましたか?〕
父が亡くなって、「母まで亡くなってしまったらどうしよう」と急に恐ろしくなってしまって…母と過ごす時間を大切にしようと、一緒にいる時間や会話も増えた分、「(娘たちの)受験はどうするの?中学受験させたら?」「習い事も、お金出すから増やせば?」など、ちょっと過干渉になってきたかな…その会話が始まったら、受け流しつつ「そろそろ帰るね」モードにしています。

遠方に住んでいる場合


遠方に住んでいる親にはなかなか頻繁に会いに行くこともできず、しかもこのコロナ禍では、普段帰れていた時期にも会いに行けず…ママたちはどのようなケアをしているのでしょうか。

・1日数回連絡を入れる
Kさん、子ども10歳、8歳…ご両親は九州、Kさんは東京で年末年始や夏休みくらいしか会えず。今年はコロナ禍でほとんど会えていない。
〔亡くなったときの状況は〕
私が高校の時、父がくも膜下で急死しました。母は気丈に兄と私を育ててくれましたが、その母も70歳半ば。ひとり暮らしが心配で心配で…
〔ママの普段の生活、その中での配慮など〕
1日朝昼晩と3回メール、夜1回電話をしています(バタバタで電話できない日もありますが)。体調を細かく聞いたり、たわいもない話をしたり、近況を聞いたり、孫の声を聞かせたり。兄(東京にいる)にも「お母さんに電話してあげてよ!」と言っているのですが、1週間に1回くらいしか電話していないようで…
〔亡くなる前と今での付き合い方に変化はありましたか?〕
父が亡くなってすぐのときは、まだ母と同居していたし、東京に出たときもまだ母は若かった。「元気で当たり前」という感覚だったし、連絡なんてほとんどしなかったし、仕事や育児が忙しくて帰れない年もあったりして…
母が70代になってから、何となく心配になって、今のように連絡をマメに取り合うようになりましたね。

・高齢者見守りサービスを利用
Sさん、子ども4歳…親は同じ都内でも、片道2時間以上かかる。子どもがまだ小さいためなかなか行けないので、「見守りサービス」を利用している。

〔亡くなったときの状況は〕
私が妊娠中に母の癌が発覚。進行が早く、生まれる前に亡くなってしまいました。(私の)姉の子が全員男の子なので、女の子の孫を見せてあげたかったですね。母に頼りきりだった父は、すっかり元気を失くしてしまって…しばらく姉が父の世話をすることになりました(姉の子はもう大きかった)。

〔ママの普段の生活、その中での配慮など〕
母が高齢出産だったので(ちなみに私も高齢出産)、父はすでに80歳近く。子どもが小さくてあまり動けないし、姉もさすがにずっとは無理、父は「老人ホームはまだ嫌だ!」と言う…ということで、今は民間の「高齢者見守りサービス」を利用しています。一定の時間人の動きが確認できない場合は異常と判断してくれるセンサー、火災発生ブザーや空き巣対策、握るだけで救急通報できるペンダントなど、ほかにも安心できるサービスがたくさん。
姉がいた間に洗濯機、食洗器なども買い替え、父が1人でもできるように教えたそうです。掃除もなんとか自分で頑張っている様子。
数か月に1回の通院は、姉と交代で付き添うようにしています。

〔亡くなる前と今の付き合い方に変化はありましたか?〕
仕事でほとんど家にいなかった父とは「ちゃんと話した」記憶がなかったし、思春期はずっと父を毛嫌いしていました(苦笑)。母が亡くなってから、父と2人だけでゆっくり話す時間が増えましたね(電話ですが)。自分の生活もあるので、ずっと気にかけることは難しいですが、父との会話を大切にしていこうと思っています。

子育て中でもできること、近くに住んでいるからこそできること、遠方に住んでいるケアの形。ママたちの経験や思い、リアルな声は、とても参考になるのではないでしょうか。
両親が健在で自分の生活も手一杯だと、どうしても「親を気にかける」ことはなかなかできないと思います。どちらかが亡くなって、初めて親ときちんと向き合うようになった、という人も少なくありません。「もっとこうしていれば…」という後悔が大きくなってしまいますが、「もっと大切にしよう」「私ができることをしよう」という気持ちを持てるといいですね。

田崎美穂子

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