2024.09.03
妊活の第一歩は、定期的な現状把握!
戸田さと美の Woman Life ”Care” Planning Vol.2
妊娠を考える女性にとって気になるのは「いつまで妊娠できるのか?」
その目安となる「AMH検査」(卵巣年齢検査)について浜松町ハマサイトクリニック院長吉形玲美先生にお話を伺いました。
今回は検査の概要に続き、検査をうける重要性についてです。
減ることは止められない。だから現状把握が大事!
- 資料なども使って、わかりやすく説明をしてくださいました。
戸田さと美(以下・戸田):AMHの数値を高める方法はあるのでしょうか?
吉形先生:病気ではないので、数値を高くする手立てはありません。
AMHの数値は先天的なもので、減ることはあっても増えることはないんです。
しかし、勘違いしてしまうところではあるのですが、AMHが低いからといって、妊娠力が低いというわけでもなく、作られる卵子は年齢によって質が低下していくので、数値が高くても低くても、年齢の方が妊娠力には大きく影響しているということがいえます。
戸田:ピルを飲んだら数値を維持できるというわけではないのですか?
吉形先生:それは違います。ピルは排卵をお休みさせることができますが、排卵されなくても、卵巣の中で卵子は、減っていくものなのです。
戸田:初潮が早かった人はAMHの数値が早く減るということはありますか?
吉形先生:データがないのでわかりませんが、初潮の時期とは関係はないと思われます。
ただ、閉経が家系的に早いということは遺伝していることもありますので、おばあさんやお母さんの閉経の時期が早かった方は、気にかけておいた方がよいのかもしれません。
戸田:うちの母は更年期の症状が重い傾向にあるのですが、そういうのも遺伝しますか?
吉形先生:更年期もわりと遺伝していることが多いです。AMHが遺伝的に影響されるかどうかはデータがないのでわからないのですが、閉経時期同様、家系的に卵巣の性質が似るということはあるかもしれませんね。
ライフプランの参考や日々の健康管理にも
戸田:この検査はどれくらいの頻度で受けるとよいでしょうか?一度受ければ必要ないものですか?
吉形先生:基本的には一度受ければ何度も受ける必要はない検査です。
ただし、妊娠のタイミングがだいぶ先(現在20代の方など)で、受けた場合は、節目(30歳や40歳になったタイミング)で受けていくのもおすすめです。
また、卵巣の病気などで卵巣を摘出している方などは、定期的に検査をすることで、卵巣年齢が高くなっているなど早期発見に繋がることもあるかと思います。
戸田:節目で定期的に受けることで、自分のライフプランの参考にもなるのですね。
吉形先生:そうですね。検査の数値が低めだったりしても、普段の生理周期を整えようとか、ほかのことに気をつけて体調管理ができますので、結果的に妊娠しやすい体づくりができるかもしれませんね。
戸田:女性は毎月の月経のよって心も身体も変化しますね、日々変化をするから、毎日の積み重ねのケアが必要ということですね。
吉形先生:そうなんです。検査結果がよかったからと言って、生活習慣が乱れたままの状態だったりすると、それはそれで健康にはよくないですからね。
戸田:どのような状態のときに検査を受けるのがベストですか?ピルを飲んでいても大丈夫ですか?
吉形先生:採血による検査なので、生理中でも検査は可能です。そういう意味では、いつでも受けられる検査になっています。
ただし、ピルなどのお薬を服用されている方は、医師に相談してから受けられることをおすすめします。
1年に1度はトータルでチェック!
戸田:他に、女性特有の病気が気になる30代におすすめの検診はありますか?
吉形先生:当院では「Around30ドック」という検診メニューがあります。
子宮頸がんの早期発見に役立つ検査や、不妊の原因にもなるクラミジア感染、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などのチェックができる充実した検診内容になっていますので、年に一度は行っておくとよいと思います。
エコーでは子宮と卵巣を見ます。
基本の検診に乳腺検査やAMH 検査をプラスされる方も多いです。
血液検査と内診台の診察で全てチェックできますので、とても簡単ですぐに終わります」
戸田:妊娠を希望している人は受けるべきですか?
吉形先生:必ず一度は受けた方がよいでしょう。自覚症状のない病気もありますから、妊娠するしないに関わらず年に一度は受け、感染症や性病のチェックは節目などに受けておくことをおすすめします。
戸田:検診全体でわかることはどんなことですか?
吉形先生:子宮や卵巣の病気、性感染症が発見できます。妊娠を希望されている方であれば、パートナーへの感染や、出産時の母子感染予防につながります。
戸田:検査を受けるにあたり、気をつけておくことはありますか?
吉形先生:これらは生理中には受けられません。必ず、生理前後に受けてください。
それから、ご自分の月経周期、妊娠歴、卵巣などの手術経験があれば、術後の経過についてや、腫瘍の中身などについても、あらかじめ手術や検査を行った医師に確認しておいてください。治療や検査、手術の結果をきちんと把握しておくことはご自身の健康維持にもつながりますので、忘れないようにしておくとよいと思います。
ドキドキ、検査結果!
後日、検査結果を伺いに再びクリニックへ。
結果は 6.68! なんと20代の卵巣年齢だとか。
戸田:正直、結果を聞きにいくのは怖かったです。けど、早めに知れた事で、この先の仕事とキャリアのバランスも考えれるし、何よりも自分の身体と向き合うきっかけになりました。まだまだ産める!
卵子の数の現象だけでなく、身体の変化が現れる30代、そして著しくなる40代。節目節目で自分の身体の声に耳をかたむける機会を持ちたいですね。
そこから「どう生きていくか」というと大げさですが、「どう日々の暮らしを過ごすか?」を考えてみたいものです。
吉形玲美先生 プロフィール
東京都出身・1997 年東京女子医科大学医学部卒業。同大学産婦人科の 臨床の現場で婦人科腫瘍手術をはじめ、産婦人科一般診療を手掛ける 傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究に携わる。東京女子医 科大学准講師を経て 2010 年より同大学非常勤講師。女性予防医療を広 めたいという思いから、同年 7 月より浜松町ハマサイトクリニック院 長に就任。 更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意 とする。40 代以降の女性の健康の鍵を握る成分として注目される「エクオール」において は、世の中に広く認知される以前からその臨床研究をリードしており、エクオール検査を 日本の医療機関として初めて導入するなど、更年期医療に注力している。2015年10月に行われた学会で「エクオール」に関しての研究が学会賞を受賞。
戸田さと美 プロフィール
PETAGO(株)代表取締役。Woman Life Planning代表。
シングルマザーとして、そして女性として、従来の枠にとらわれない自身の価値観を独自の視点で発信し続ける。自身の経験も含め、女性の素敵な生活提案を行っており、ライフワークとして始めたセルフプロデュースが口コミで広まり、講演も多数行っている。
また、女性特有のココロとカラダのバランスを見つめなおし、より良いライフプランの設計・行動に移すための第一歩を見つけるプロジェクトとして「Woman Life Planning」を立ち上げ、代表を務めている。
【記事まとめ】Woman Life ”Care” Planning
鬼石 有紀
美容ライター、妊活コンサルタント