2015.12.08
重い生理痛がサインだった 妊娠をきっかけに見つかった重い病気とは?
Woman Life Care Planning Vol.3
毎月生理痛がひどくても、月に1度のことだし今は仕事が忙しい、自分が痛みに弱いだけかも・・・なんて自分に言い聞かせて病院にもいかずに放置してませんか。
重い生理痛が重大な病気のサインであることもあるようです。
今回は妊娠をきっかけに思わぬ病気がみつかったというR・Gさんにお話を伺いました。
BRAVAで同時公開した記事「酷い生理痛がある人は、病気を疑った方がいい?」
広尾レディース宗田聡院長にお話を伺う元になった体験談です。
初潮のころから生理痛がひどい
<お話を伺ったかた>
R・Gさん・36歳(54年8月生まれ)
初潮中学2年生(14歳)、26歳で結婚、31歳で出産。
戸田さと美(以下・戸田):初潮が来た時はどんなお気持ちでしたか?
R:姉の初潮がとても遅くて、周囲にすごく祝われていたんです。(自分も)周囲から祝ってもらえるものだと、嬉しかったです。
戸田:周囲からお祝いって面白いですね(笑)、そのあとの月経はどうでした?
R:周期はちゃんとして、毎月、毎月規則正しく来ていました。
戸田:何歳くらいから痛みが?
R:痛いのは、最初からですね。母の生理痛が重くて、(生理痛とは)そんなものなんだなと思っていました。でも、姉は全然生理痛がなくて、眠くなるくらいですけど。体質的に同じ姉妹でもこうも違うのかと思いますね。
戸田:生理痛がきついことで困ったことがたくさんあったと思いますが。
R:だいたい生理の2日目になると眠れないくらい痛かったり、痛すぎて起きちゃったりとか。痛みを感じる前に薬を飲んでいました。偏頭痛も持っていたので、それも予兆を感じたら薬を飲むようにしていました。飲み忘れると、もう何にもできなくて。
戸田:それが毎月ですからね。生理のくるのが恐怖になりますよね。私がこれまでに取材した人の中でも、生理痛がきつくていつ倒れるかもわからないという恐怖から、電車にのるとパニック症候群になっちゃったって人もいました。
R:一度、本当に痛くて辛くて「もうだめだ」ってトイレでしゃがみこんじゃって、入ってくる人くる人に「どうした?」「大丈夫?」って。
戸田:やっぱり人よりも辛いんだろうなと自覚はしていました?
R:自覚はあったんですが。でも、そういうものだと思っていて。本当はもっと早く疑問を持たないといけなかったですね。
戸田:知らなかったというか、当たり前だという先入観が大きかったんですね。
R:そうですね。
出産と同時に卵巣嚢腫摘出
戸田:働き始めたのはいつ頃ですか?
R:大学卒業して初めは、地元で法律事務所へ。働いていたというよりは見習いという感じで。26歳で結婚するまでそこにいまして、結婚してから東京に出てきました。
戸田:ご結婚若いですね! そこから妊娠は?
R:妊娠は遅かったんですよ。31歳の時です。2010年の12月です。
戸田:妊娠された時が大変だったとお聞きしました、それはいったい?
R:近くの産婦人科に通っていたら、ある時急にエコーで何か影があると言われまして。そこそこ大きなものなので、大学病院に行ったほうがいいといわれて。
その後大学病院でみてもらったら結果は卵巣嚢腫でした。左卵巣に嚢腫があって、大きさ的にも子どもの週数的にも取るのであれば早めに決断して手術しないといけない状況でした。子どもに影響のないよう安全に手術できる週数が迫ってきているけどどうしますか?と。
そのまま出産まで持てばいいけど、子どもが大きくなると同時に嚢腫も大きくなる可能性があるし、開けてみないとどんなものかわからないし、悪いものだったとしたら若いから危険だし、途中で破裂する可能性もあるし・・・といろいろ一気に言われて、そこから悩みましたね。手術とか突然言われても・・・。
戸田:今なの?って感じですよね。
R:そうなんです。父の知り合いの医師の方にセカンドオピニオンを聞いたりしたのですが、その方にも「取るなら今」と言われて。
戸田:何周目でした?
R:正確には覚えていないのですが、5回くらいは地元の産婦人科に検診へいっていました。
手術となると子宮を傷つけてしまう可能性もあるので、やっぱり踏み切れなくて。主人とも相談して悩みましたね。先生に手術して子どもに何かある可能性と、手術せずにそのまま育てて破裂したりする可能性とどちらが大きいですか?ということもお伺いしました。
そしたら、セカンドオピニオンを聞いた先生が、「ギリギリ大丈夫な時期までお腹で育てて、未熟児で産みましょう。最近は医療も発達していて、未熟児でも大丈夫」と言ってくださって。
戸田:ちょうど折衷案ですね。
R:そうですね。でも子どもと一緒に腫瘍も大きくなっちゃうし、本当にギリギリの選択ですね。結局、安静にして生産期までお腹で育て、出産と同時に腫瘍を取ることにしました。その間にも血液検査で腫瘍マーカーなどは調べていたので、信じるしかないというか・・・。
そして出産と同時に、帝王切開して腫瘍もとりました。
戸田:嚢腫だと言われた時とか、お腹の中で育ててる途中とか、誰に対してどんな気持ちでしたか?
R:不安しかなかったですね。今また妊娠したら、もっと楽しい妊婦生活を送れると思うんですよ。お腹張るのと同時にちょっと痛かったりしたんですけど、どこが痛いかわからず、それも不安で、怖くて。
結構引きこもったり、恐ろしい殺人事件の小説が読みたくなったり。推理小説で、しかも殺人ものしか読んでいませんでした。病気のように読んでいましたね。
戸田:不安ばかりのなかで、自分のなかでの解決策がそれだったってことですよね。
R:なんだったんでしょうね(笑)。今は全然読みたくないんですけど。
戸田:腫瘍が当初見つからなかったということに対して、何か思いましたか。
R:大学病院の先生にも、クリニックで見つからなかったのはおかしいと言われましたけど、その時は「これからどうしたらいいのか」を考えるので必死で。周囲は結構怒っていたんですけど、私は自分のことで精一杯で、不安しかなかったです。
戸田:無事出産してからなんですが、いつごろ生理が再開しましたか。
R:ずっと母乳で育てていて、1歳3か月くらいで断乳したので、1年半後くらいですかね。
ただ、腫瘍をその後調べたら、あまりタチのいい腫瘍ではなくて、それこそ抗がん剤を投与した方がいいとかも言われました。
でも抗がん剤をうつと母乳もあげられないし。髪の毛も・・・。それがすごくショックで思わず結果を聞いたその場で泣いてしまって。主人も一緒だったんですが、泣いた私に主人も先生もびっくりしていました。
戸田:それはショックですよね。泣きますよ。
R:結局、抗がん剤は様子を見てからということで、定期的に検査に行っています。2〜3年大丈夫だともう大丈夫だといわれているんですけど。
出産後、生理痛が軽くなった
戸田:その後の生理痛はどうですか?
R:それがなぜか楽になりまして。ちょっと頭が痛いことはありますが、眠れるようになりましたし。薬もたまには飲むんですけど、全然出産前とは違います。
戸田:雲泥の差ですか?
R:雲泥の差ですね。
戸田:やっぱり腫瘍がなんらか関係があったんでしょうね。
R:拳大くらい大きかったですし、あったんでしょうね。
戸田:若いころからだんだん大きくなっていっていたんでしょうね。
妊娠すると大きくなるんですか?
R:それはずっと言われていましたね。腫瘍は赤ちゃんと一緒に大きくなると。腫瘍の性質にもよるかもしれませんけど。
戸田:大きさから逆算していつぐらいから腫瘍があったかとかわかっているんですか
R:ずっとあったはずだとはいわれたんですけど・・・。私も婦人科に行く習慣がなくて、全然行っていなかったので。1回だけ、あまりに生理痛がひどくて、子どもができないかも?と思って行ったことがありますが、その時も腫瘍に関しては何も言われなかったです。
戸田:検診に行かれたんですか?
R:検診というより「生理痛相談」でした。その相談のなかで「妊娠しないんですよね」というと「基礎体温をつけてみましょうか」と言われて。それでつけ始めたんです。その後、基礎体温はつけ続けていたんですけど、婦人科へは足が遠のいちゃいましたね。
戸田:足が遠のいたのはどういう気持ちだったんでしょう?
R:なぜでしょうね。今となってはなんてこともないんですけど。最初に行った時は、かなり緊張したのを覚えいています。そんなに生理痛がひどいのに、婦人科に行くっていうことを想像したことがなくて。最初に行ったきっかけも、会社の人からその病院の先生は話しやすいよと聞いて。「そんなに酷いなら1回相談してもいいかもよ」とも言われて。でも、行ったのも嫌いやというか・・・。
なので、1回きりになってしまって・・・。
戸田:嫌なのって、やっぱりフィジカル的に足を開くとか、そういうことですよね。
R:それが一番大きいですね。子どもができて初めて妊娠の陽性反応が出た時ですら、それが嫌だったのを覚えています。
戸田:卵巣嚢腫って卵巣の中にできるのですか?
R:卵巣が肥大するイメージですかね。それが育ってきた子宮とあたって痛いとか、子宮に圧迫されて、中に水が入っていたりすると破裂したりとか。
CTも撮ってみたんですけど、わからなくて。「グレーだね〜」と。詰まっていれば良性なんだそうです。空洞があるとか水がはいっていると悪性だとか。レントゲン撮るのも放射線なので、1回だけで。でも撮ったのにわからなかったんです。
戸田:今のところは?
R:今のところは大丈夫です。
出産後の生活は100点満点!?
戸田:仕事はいつごろまで続けていたんですか
R:妊娠5〜6ヶ月で辞めました。お腹もそんなに大きくなる前に。
戸田:復帰は?
R:1年3ヶ月で。マンションの1階に保育所があって、そこに入れることになって。
前の会社を辞めた時、仕事がすごく楽しい時期で、本当辞めたくなくて。なので、できれば戻りたかったんですけど・・・。
でも、それは無理かなと、とりあえず保育所に預けて、ひとまず時短でと思って、お母さんのための派遣みたいなところに登録して働き始めました。1年ほど働いたら、派遣会社から、偶然前職の会社の求人があると聞いて。それも派遣なんですけど、時短ではなくて。時短で働いていて物足りなさも感じていたし、なにより大好きな前の会社に戻りました。
戸田さん:子育てと仕事とってどうですか?忙しいですよね。
R:私の性格も悪いんですけど、頼まれると嫌と言えなくて。どんどん任されるようになって、そしたらまた頼まれるようになって、どんどん仕事が増えていって、忙しくなるという(笑)
戸田:責任感が強いんですね
R:責任感というか、仕事が好きなんですね。以前は、任されることもなかったので。だから今は辞められないんでしょうね。
戸田:頼まれたり、頼られたりすると嬉しいですよね。
R:今まで姉に頼って生きてきて、逆に誰かに頼られるのが楽しいのかもしれません。
戸田:自分の生活の満足点を妊娠前と出産後でつけると何点ですか?
R:妊娠前は辛いすぎたので・・・出産後は100点というといいすぎなんですけど、満足度は高いですね。
戸田:逆に困っていることは?
R:あまり家のことに手をかけていないですね。日々の生活にいっぱいいっぱいで。もっときちんと日々を過ごさないといけないと思うんですけど。なかなか・・・。時間に追われて。
戸田:睡眠はとれていますか
R:まぁまぁ眠れています。
戸田:体の不調とかは?肩こりとか。
R:不調はないですけど。お酒を飲みすぎてしまうので、それは気をつけようと。あればあるほど飲んじゃう(笑)
ありがとうございました!
辛い妊娠期を超えて、今は可愛い息子さんや旦那さんに囲まれ、美味しいお酒も飲めているRさん。でも、若い時から婦人科へ行っていたら、もっと楽しい妊婦生活を送れたのでは?との後悔もあります。
みなさんや、みなさんの周りに生理痛で苦しんでいる方がいらっしゃったら、ぜひ一度婦人科を受診してみてください。
酷い生理痛から疑われる病気については、こちらの記事を読んでみてくださいね。
PETAGO(株)代表取締役。Woman Life Planning代表。
シングルマザーとして、そして女性として、従来の枠にとらわれない自身の価値観を独自の視点で発信し続ける。自身の経験も含め、女性の素敵な生活提案を行っており、ライフワークとして始めたセルフプロデュースが口コミで広まり、講演も多数行っている。
また、女性特有のココロとカラダのバランスを見つめなおし、より良いライフプランの設計・行動に移すための第一歩を見つけるプロジェクトとして「Woman Life Planning」を立ち上げ、代表を務めている。
【記事まとめ】Woman Life ”Care” Planning
鬼石 有紀
美容ライター、妊活コンサルタント