2016.07.06
地域のいろいろな人が足を運べる場所に!「ダイコンこども食堂」代表の思いとは?
毎月、第1・第3月曜日に東京・練馬区の春日町南地区区民会館で活動している『ダイコンこども食堂』。地域の子どもとの共食から広がる「希望あふれる明るく楽しい居場所づくり」を目指して活動しています。
第2月曜には『別邸ダイコンこども食堂』(16:30〜20:30)でも活動しており、こちらでは入浴や洗濯もできるそう。
前回のルポに続き、今回はダイコンこども食堂の代表である只野公朋さんのインタビューをお送りします!
地場野菜を子どもたちにいっぱい食べさせたい!
「実は練馬って23区で最も畑が多いんですよ」のっけから、笑顔で嬉しそうに話してくれる只野さん。もしかして、『ダイコンこども食堂』の“ダイコン”って……。
「そう、“練馬ダイコン”からきているんです。地場野菜が多く採れるこの土地で、農家の方々から寄付していただいたメニューを中心に献立を組み立てた『こども食堂』を運営したいと思い、こう名付けました」
実際、野菜や米はほぼ寄付で賄っており、特に野菜はその多くが練馬で畑を持っている方からのものが多いそうです。また、“地域で採れた野菜を子ども達に”というコンセプトに惹かれ、参加しているボランティアの方もいました。
「米は全国から寄付が届いており、果物やお菓子は『おてらおやつクラブ』に届いた“おさがり”をおすそわけしていただいています。肉や魚は購入していることが多いですね」
さて、この『こども食堂』。子どもの貧困が問題となり、貧困状態にある17歳以下の割合が6人に1人に上ったことから注目を集め始めました。多くがボランティアスタッフによって運営され、子どもは無料〜200円程度、大人は200〜500円程度で、バランスの良いボリュームたっぷりの食事を摂ることができます。しかし……。
「1番気にしていたのが、『お前、こども食堂行っての? じゃあ、お前んち、ビンボーなんだな』と子どもがイジメられてしまうこと。これは絶対に防ぎたかったですね」
そこで、只野さんがひとつの目標にしたのは、“孤食から共食へ”ということ。
「ダイコンこども食堂は、地域の居場所づくりを活動テーマとしています。『みんなでごはんをいただきましょう』というコンセプトだと、いろいろな方が参加しやすいと思うんです。実際活動してみると、様々な人が参加してくれました」
料理を手伝ってみたいという子ども、話を聞いてなんとなく興味があったか来たお母さん、テレビを見て活動を知ったというボランティアスタッフ……。「友達がいて一緒に遊べるから、できるだけいつも行きたい」と話してくれた女の子もいました。
いろいろな人が参加しやすい「こども食堂」に
取材に訪れた日も、シングルマザーや貧困家庭の子どもがやってきているというよりは、「核家族で一人奮闘しているお母さんが、大変な毎日を抜け出して、ホッと一息つく場所」という雰囲気が漂っていました。東京都で子育てをしている家族は、身近に祖父母がいて日常的に手伝ってもらえるケースは少数派。夕食を手抜きしようと思ってできるのはファーストフードのテイクアウト程度で、「ああ、こんなジャンクなものを子ども達の夕食にしてしまった…」と自己嫌悪になり、せっかく楽をしてもプラマイゼロなんてこともなきにしもあらず。
騒がしい子どもを抱えて外食しても、逆にどっと疲れてしまった…という経験を持つかたも、きっといるはず!
毎日心身ともにフル回転で頑張っているお母さんが、周囲に気兼ねすることなく、“様々な大人と会話を楽しみながら食事できる場所”としても機能しているようです。
「ここは楽しい居場所だよと、敷居を下げすぎてしまうと本来の目的とずれてしまい、悩みを掬い上げるのが難しくなる。けれども、『こども食堂』=『貧困』という図式を見せすぎてしまうと足を運びにくい。これはジレンマでしたね。でも、ご飯を一緒に食べると、すごく打ち解けやすくなるでしょう? ボランティアスタッフのなかには、先輩ママも多いので、ママ同士相談しあうこともできます。そのため今後、ママのためのサロンのような活動も取り入れていく予定です。こうして、いろいろな家庭の子どもや保護者が来るなかに、深刻な悩みを抱えている家庭が1組でも2組でも訪れてくれればいいなと思います。一緒に食事をする回数を積み重ね、信頼関係ができてきたら、ふと悩みをもらしてくれるようになるんじゃないかなと。そして、必要があれば、本格的な支援を行っている他の組織などに繋げていく……。こういう環境ができてくれば、活動した意義があるのかなと思っています」
まだ、取り組みとして歴史の浅い“こども食堂”。今後、長きに渡って続けていくことが課題だと只野さんは言います。
「地域とのつながりを持てない人が多いので、地域で孤立しないよう、つながりの輪を作って支援を広げる。そして、親世代だけでなく、高齢者や学生などいろいろな方が一緒になって、地域で子育てを考える仕組みを作りたいですね」
行政も関心を寄せており、見学に訪れたこともありました。そして、今年度練馬区は、ひとり親家庭の支援を強化していくことになったそう。活動を支えていくために行政などが、予算をつけたり、議会に上げたりと実際に目に見える形が出てくると、一層根強い取り組みができるようになっていきます。また、今年1月には第2回目の「こども食堂サミット」が行われ、昨年からは全国のこども食堂をまとめる「こども食堂ネットワーク」というサイトもできました。
メディアでも良く取り上げられているため、こども食堂が全国規模の活動になっていくのは間違いないでしょう。この活動が一過性のもので終わらずに、参加していたママ達が「お世話になったから、今度はおかえしする番ね」と子育てを終えた時にボランティアスタッフとして関わっていく…そんな持続性のあるものになっていくと、核家族の多い現代社会に、新しいコミュニティができあがりそうです。
【食材など寄付の送り先】
176-0012
東京都練馬区豊玉北5-19-8 森田ビル2F
03-6914-7980
ダイコンこども食堂 事務局
【寄付金の送金先】
- ゆうちょ銀行
記号 10140
番号 75236751
- ジャパンネット銀行
すずめ支店
普通口座 3453673
口座名義 ダイコンコドモショクドウ
- 郵便振替口座
※郵便局の払込取扱票(青色)で払い込みができます。
口座記号番号 00160-5-420099
加入者名 ダイコンこども食堂(ダイコンコドモショクドウ)
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