2017.01.06
【子どもの言葉をママが先取りしていた結果・・・】担任の先生から受けた思わぬ指摘とは?
無意識のうちに、子どもが言いかけた言葉を先取りしていませんか? 母親って、子どもが何を言わんとしているか、おおよそ予想がつきます。小さいうちから、ついつい「ああ、わかったよ」と子どもの言葉を先取りしていたわが家の次男、小学校入学後に先生から思わぬ指摘を受けたのです。
「あのね」と子どもが話しかけてきたのに・・・
「あのね」
子どもがこう母親に話しかける時って多いですよね。
「あのね、ママ」
「うんうん」
子どもが指さしたテーブルの上には昨日出したままの折り紙が。
「あのね、ママ、あのね」
「ああ、折り紙やるの? いいわよ」
「そんでね、ママ、そんでね」
「うんうん、ママさ、今忙しいんだよね。自分でやってみてよ。あ、そうだ、手裏剣の作り方わかるでしょ」
台所からさっと眺めて、そのままシンクで洗い物をしながら答えていたのは数年前。子どもが4歳位の頃でしょうか。
「あのね、ママ」
「うん、だからいいよ。折り紙でしょ」
やがて、子どもは私に背中を向けて、折り紙を折り始めました。思えば、3歳ぐらいから、こんな光景は繰り返されていましたっけ。
小1担任の先生から思わぬ指摘を受けた
それから入学当初です。こんな場面に遭遇します。
「すごい音でね、キーッって、そんでバカンバカンってさ。見ちゃったの。倒れちゃったんだよ!すごいでしょ。それでね、学校で居残りだったから遅かったんだ。そのバイクがね、ママ、あのね、それでね」
「あー、そうなんだ。バイク事故って怖いよね~。ちゃんと信号が青になっても車やバイクがこないか見るんだよ、わかった?それで、なんで学校は居残りだったの?」
……と、こんな風に私は答えていました。浮かんだままの言葉で次男は話すのですが、母親たる私はすっかり慣れてしまっており、何を言いたいのかわかってしまいます。
だいたい男の子は、擬音が好きです。「キ~」で「ガッシャーン」で「パッカ~ン」なんてことを、独り言で口にしていますが、あれはなんなんでしょうね。何か妄想しながら、効果音を自ら発しているのでしょうか。
小さいときは、これも可愛い。微笑ましく、思わずこちらもクスっと笑ってしまいます。ですが、やがて小学校に入学し、夏休みを前にした面談で担任の先生から、こんな事を言われました。
「発言もよくするし、明るくて元気なムードメーカーなんですよ。ただ、ちょっとお母さんが気をつけて、話し言葉を直してあげるといいと思います」
私はびっくり仰天です。直す?何を?
「何を言っているか、わかりづらいんです。誰が、何を、どうした、という風に話せないんですね。てにをはもおかしいけれど、それはこの年齢ではみんなそうです。ただ、それにしても、もう小学生になったので、きちんと相手に伝わるように話すのは大事です。クラスでもそういう子が多いので、指導はしていますが、ご家庭でも少し気をつけてみて下さいね」
ベテランの先生でした。そこでハッとして、いろいろな場面を思い出したのです。確かに、うちの子のお話はいつも「あちこちに飛んで」「擬音ばかりで」よく長男が「何言ってるか、わっかんねーぞ」とツッコミを入れてました。私は長男に「ちっちゃいんだから、しょうがないわよ」と返していましたっけ。
話す力・聞く力はすべての基本
冷静に我が子を観察してみると、うちの子は言葉が遅かった上に、6歳になっても「朝起きて、顔を洗って、ご飯を食べました」という1文が言えませんでした。どうなるかというと「朝だね~、で、さ、シャカシャカして、チンでポンッして、バターにはちみつだ!」……シャカシャカ、は、子どもがもっとずっと小さい時に「お顔、シャカシャカしようね~」と言っていたのがそのまんまです。チンでポンは飛び出すトースターを、4歳ぐらいの次男がそう呼んでから、わが家だけの「共通語」になっていました。
夫も私も「チンでポン」です。トースターは。
思い返すと、次男が何か話し出すと、長男や夫に「だから、誰がどうしたか、ちゃんと話してごらん」と言われていたようですが、なにしろ一番多く話しかけるのも聞いてあげるのも母親です。私に言いたい事が通じれば、次男坊にとっては「事足りる」状況でした。
この事から、少し考え方を変えました。正直、働くママにとって時間は貴重です。子どものしっちゃかめっちゃかな話し方に、つい先回りして「それは○○でしょ」と答えてしまいます。
職場にいませんか?
話している最中に、自分の話をかぶせてくるイラっとくる上司。話し方、というのは幼少時から段階を経て学び、一度身に付いてしまうとなかなか修正できません。だからこそ、幼児期の「ママやパパと話す時間」は大切なんです。
・物事をわかりやすく相手に説明できる
・自分の気持ちをアピールできる
そして話し方と同時に「聞く」態度を覚えさせる。子どもが上手にコミュニケーションがとれるかどうか、は、まず「きちんと相手の話を聞き、きちんと伝えたいことを話せる」力を身につけなくてはなりません。
楽しいおしゃべりの時間から「言葉」は増えていく
先生の指摘があったおかげで、誰より反省したのは私です。それからずいぶんと気をつけるようにしてきましたが、小学校3年生になり日記が宿題になると、思わず頭を抱えました。まず文章に主語が入っていない。てにをはがきちんと使えていない。文の前後も時系列もおかしい。もちろん、国語の授業を受け、塾で読解力と表現力の技術を教わるうちに、これは修正されていきました。が、正直なところ、今でも時々文章がおかしい。
それもこれも、言葉を覚えかけて、話すのが楽しくてならなかった小さい時に、私が次男に「話す時間を与えてあげなかった」せいです。あるいは、私は子どもの先回りをして「何を言いたいか察してしまう」=子どもは「言わなくてもわかってもらえる」の構図が出来上がってしまった。次男は気持ちを伝えようと努力する時間を持たないまま育ってしまったのですね。
急いでる時や、どうしたって子どもをかまっていられない時はあります。でも、毎日は無理でも、座ってゆっくり子どもの話に耳を傾け、おかしな言い回しのときは正しい言葉遣いに直してあげて下さい。最後まで聞いてから、うなずき、あいづちをいれ、「それで、どうなったの?」と結論に導いてあげて下さい。その結論がわかっていたとしても、子どもの口からきちんとママに伝わるように話す順番を、なにげなく誘導してあげて下さい。
先生の指摘があった後、しみじみと考えました。
言葉を先取りして答えてあげているのは、子どもを理解しているからだと勝手に思っていました。でも実は「親が早く家事や自分の事に集中したくて、子どものおしゃべりを遮っていただけ」「ダラダラ話す子どもを待ち切れずに、ムダな時間を過ごしたくなくて推測して決めつけていただけ」。
先回りして子どもをラクにさせてあげていたなんて、親の勝手な都合でした。結局、私は子どもを後回しにしていたのです。
私の失敗談からぜひ学んで頂きたいのです。今なら間に合うはずです。子どもに「それで?どうなったの?」一方通行ではない「おしゃべり」を親子で楽しみながら、たくさんの「言葉の花束」をお子さんにプレゼントしてあげましょう。
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。