2017.05.12
もし世の中のママが「みんな働くのが当然」になったらどうなる?議論してみた!
「みんな働くお母さんになれば、すべて解決するのよ」フルタイム勤務のママ友のひとりが私につぶやきました。4月最初の保護者会、役員決めが揉めに揉めて、かれこれ3時間は過ぎた時でした。「誰もが働く世の中なら、こんな馬鹿げた役員決めなんかなくなるのに」ウンザリとした様子で口にしたのです。
この言葉がきっかけとなり、たまたま全員ワーママという中で飲み会があったので、「例えば結婚して子どもを産んでも、ほぼ100%の人が働く世の中になったら」どうなんだろうね?と聞いてみました。
みんな「ワーママ」になったらこうなるはず!
PTAがなくなる
とりあえずPTAはなくなる。学校行事で必要な人材はシルバーや大学生のボランティアでまかなえばよい。元気で働きたい高齢者の仕事は増え、大学生が子育てや教育の現場を実際に見る機会が増えて言うことなし。(Kさん/35歳/9歳児・3歳児のママ)
みんな共働きという国もあるのだから出来るはず
何やったって、保育園ひとつなかなか増えないのだから、それくらい劇的に世の中が変われば、待機児童問題だって国は解決せざるを得なくなる。例えば海外では、共働きが当たり前で、乳母やお手伝いさん(と言っていいのかわかりませんが、家事代行?)を雇うのも当たり前、という国もあります。だから出来ない事はないのだと思う。(Yさん/35歳/5歳児のママ)
景気上昇して消費も多くなって国も潤う
景気が良くなるような気がする。子どもの預かりは公立だけでなく、親の要望に合わせてセレブ系や教育・スポーツに強いなど個性も出そう。共働き夫婦ばかりになれば稼ぎは底上げされるはずだから、そうした教育への投資も増え、夕飯の外食も増える。景気は良くなり、使う人も増える、と思う。国としても納税も増えていいのでは?(Iさん/37歳/6歳児・3歳児のママ)
専業主婦がいなくなるのには違和感もある……
産まない・産めない人の立場はどうなるのか
産まない選択、産めない現実の人に対する配慮がなかったら、とてもギスギスした世の中になるような気がする。家事が好きで、家庭にいるのを好む人もいて、それが出来る環境なら他人がとやかく言うものでもない、と思う。子どもがいて働くのが「まっとうな人間のする事」みたいな風潮が強すぎるのはあまり健全な世界とは思えない。実際、私も働くママではありますが。(Sさん/27歳/6ヶ月のママ)
格差が広がるいっぽうだと思う
例えば介護の問題はどうなるのでしょう。介護をしてくれる仕事の人が増えて面倒を見てくれるとしても、「親の介護は自分で見たい」という人もいるはず。企業が育児休暇や介護休暇に対して全く偏見なく、期限なく取れるようになればいいけど、そんなのきっと超大手企業くらいしか実現できない。とすれば、零細企業や飲食店を経営しているとか、そうした制度を利用したくでも出来ない人たちにとっては非常に辛い世の中になる。結局「格差」が広がり、大手に入れようと子どもに教育する受験地獄が激化して、あまり良い世の中になるとは想像できない……(Aさん/40歳/12歳・7歳のママ)
専業主婦になりたい人を排除する必要性を感じない
私も働くママだけど、別に専業主婦やっている人に対して何も文句はありません。ワーママでキャリアや社会性を求めて仕事をしている人、それはそれで素晴らしいとも思う。でも、私の場合は経済的な理由で共働きをしています。専業主婦になれる、なりたい人を無理に排除する必要はないように思う。専業主婦を税収面から優遇するのは反対なので、制度の改革は必要だけど、それでも家庭に入れる人はある意味羨ましい。(Kさん/25歳/1歳児のママ)
選べる世界の方が良い
結婚生活とかライフスタイルというのは、人それぞれの考え方がある。これまでは共働き家庭に対するサポートがなく、周囲からの偏見もあったから、一昔前だったら「世の中みんなワーママがいい!」と賛成したと思う。もちろん今も保育園の問題とか、会社で時短で帰りづらいとか問題は山積みではあるから、まだまだ改善は絶対に必要。でも「私はおうちにいて、子ども5人くらい育てる肝っ玉母さんになりたい!」っていう人がいてもいいし、専業主婦で昼からマダムランチしているグループがあったって、それも別にいいんじゃないの、と思う。ワーママがどうの、ではなく、その人の価値観の問題だと思うから。(Fさん/32歳/4歳児のママ)
極論だけど「だから色々な意見が出てくる」興味深い結果に
極論としての質問をポンと投げかけた私自身、みんなの反応に驚いてしまいました。どのママの意見が正しいとか、この人の言葉はどうだろう、と思ったのではありません。
「もし世の中のママがみんな働くようになったら」と考えた事がある、というママが多かったのです。この質問が突拍子もないものではなく「そういうの、考えた事あるんだよね」という答えがまず返ってきたんですね。
欧米やアジアでも一部では「夫婦共働き」が当然で、それに見合った社会保障や制度が整っている国もあります。今、日本はようやく「待機児童や会社の育休制度、パパの家事分担」が普通に語られるようになり、イクメンなどという言葉も出てきました。まだまだ「共働きしやすい」わけではありません。ワーママを取り巻く環境の変化は一歩ずつ進んではいるのでしょう。
でも、牛の歩みほどの現状を考えると、「もしも」ではなく、それくらい大きな変化を起こさないと、いつまでたっても働くママへの理解は深まらないのかもしれません……。
では、最後に、私個人の意見ですが。
専業主婦としての経験もある私としては、現実的に確かに子どもとの時間を充分に持てるのは良い事が多い、とは思っています。育児にかける時間が「子どもの成績や性格に影響する」とは思っていません。ただ、「ママとしての時間をたっぷり満喫した」自己満足ではあっても、それはそれで母としての幸せのひとつ。選択肢としての「専業主婦」はあってもいいのでは?
こんな事を話しました。様々な意見があるでしょうが、たまにはこんな極論をママ友やパパと語り合ってみるのもいいのではないでしょうか。
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。