結婚前はあんなに好きだったのに…気づけばいつしかセックスレス。でも、よく話すし、ケンカだってそれほどしないし、仲はいいから特に問題ないよね!?　なんて、夫婦いませんか？

でも、そのセックスレス、本当に問題ないのでしょうか？　心の底から「これで大丈夫」って言えますか？というワケで、今回はセックスレスなどセックス問題に詳しいカウンセラーの潮英子先生にお話を聞いてみました。

セックスレスでも仲良しは“今だけ”かも!?

「実は結構多いんです。『セックスレスだけど、仲がいいから別に問題ないですよね。無理して解消しなくていいかな、って思ってるんです』という感覚のご夫婦。本当に両方がまったく必要ないと思っていればいいのですが、他人の気持ちって分からないもの。夫婦であっても以心伝心はありません」（潮先生）

「私たち、特にしなくても幸せだもんね」「お互いにしたいって気持ちがないんだもんね」などという雰囲気があったとしても、本当は心の中では満足していないかもしれません。どちらかが「本当はしたいんだけどな」と思っているかもしれません。

もし、そうだとしたら…？　ずっと“仲良し”でいられるでしょうか？

【A子さん（45歳）の場合】

A子さんが悩み相談にきた理由は「夫の浮気」でした。28歳の時に結婚したのは、2歳年上のA夫さん。結婚前から新婚時代は人並みにセックスがありましたが、1人目の子供を出産後、セックスの回数が激減。2人目を産んだ後からは一切なくなりました。

「私は育児が忙しく、夫は仕事が忙しく、なんとなくするタイミングがないまま月日が過ぎていってしまいました。でも、特にそれが問題だと思っていなかったんですよね。夫も積極的に求めてくることもなかったし…。『俺、性欲ないんだよね』なんて言っていましたから、お互いに『夫婦なんて月日が経てばそんなもんだよね』と思っていたんじゃないかな」

お互いに仲はよく、子供が寝た後にお酒を飲んだりすることもありましたが、セックスがないことを話し合う機会はなかったそうです。

ところが、今年に入ってから、どうも夫の様子がおかしい。夜遅くなる日が増えたり、休日にフラッと出かける時間ができたりしました。妻は浮気を疑い、夫のスマホをこっそりチェックしたところ、LINEでのやりとりを発見してしまいました。

「口で言うだけじゃなく、本当に夫って性欲がなかったんです。なのに、どうして…？」

とA子さんは訴えてきました。

いつまでも同じ関係が続くとは限らない…

「今は幸せでも10年後は分からない…それが夫婦の関係です。特に男性はどこかにチャンスがあれば、と心の底では思っていることが少なからずあります。中年以降になって、朝勃ちしない、マスターベーション時に射精に勢いがなくなってきたなど男としての衰えを感じたときに、若い女性と知り合って『一花咲かせるぞ』と一念発起する人もいます。そういう人って、『もう10年以上レスだから…』と奥さんに対して諦めているんですよね。その一方で、奥さんの方は、『ウチのダンナは真面目だし、浮気するような度胸はないわ』と高をくくっているんです」（潮先生）

ドキッ！　とした方いるのでは？

夫が浮気を考えてしまうような女性と出会った時、やはり夫婦間にセックスがあるのとないのとでは、浮気に一歩足を踏み出すハードルは大きく異なることでしょう。

また、セックスがないために、夫も妻も自分自身を“男として”“女として”の手入れが怠りがちに。ファッションもラクが１番と、相手からどう見られたいかという視点を失ってしまいます。

「いざというときにどうしても不安になるもの。『もしかして…？』と疑いの気持ちが出てくるのは、セックスがない夫婦にどうしても多いのが現実です」（潮先生）

セックスが健康のバロメータにもなる!?

また、セックスは病気の早期発見に繋がることもあるそう。

「50〜60代になってくると健康のバロメータとしてセックスが役立つ事もあります。これまで普通にできていた人が、突然EDになり、みるみる悪化したので健康診断を受けてみたら糖尿病の前兆だった…なんてことがあります。また、愛撫で乳房にしこりを発見し、検査したら乳がんだったなんてことも。やはり、ずっとし続けている夫婦は、相手のことをよく知っています」（潮先生）

自分よりも相手のほうがじっくりと身体を見たり、触ったりしている分、異変に気づきやすい面もあるのでしょう。

「それに、ずっとスキンシップもなく、セックスがない夫婦が、老後おむつになったときに、何十年も身体に触れていない相手のを変えてあげることできますか？　ちょっと厳しいですよね」（潮先生）

やはりセックスがあることで培われる関係性はあるもの。「ウチはしなくても仲がいいから大丈夫！」と油断しないほうがいいかも!?

次回は、「なぜセックスレスになってしまうのか？」といったことを書いていきたいと思います。

【専門家PROFILE】
潮英子（うしお・えいこ）●精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、セクシュアリティ・カウンセラー。早稲田大学政治経済学部卒業後、住友商事、台湾中華語文研習所にて日本語教師、中華航空勤務を経て、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科発達社会科学専攻で夫婦問題を研究。カップル間のセクシュアリティをテーマに相談活動を行っている。最近はカウンセラー研修や講演会、メディアを通してセクシュアリティについて発信している。

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