2017.07.27
日本と違う?それとも同じ?ドイツで目撃した【現地の子育て事情】
今、夫の仕事の都合でドイツに住んでいます。3歳の息子がいるため、つい目が行くのは現地の子育て事情。ビールよりもソーセージよりもドイツママの一挙一動が気になります。
そんな私のアンテナに引っかかった、ドイツの子育てエピソードを2つお届けします!
スーパーで感動! 優しすぎるレジ係とお客さん
スーパーに買い物に行ったときのことです。3歳くらいの女の子が泣き叫び、となりでママがあの手この手でなだめていました。
「日本でもよくある光景だな」
こう思い、心の中でママを応援しながら商品を手にとりレジに並びました。
でもよく見ると、レジ係がいない!私の前に3人もお客さんが待っているというのに。もうひとつのレジは休止中だったので、会計が一切できない状態です。
何が起きたんだろうとあたりを見回すと……。レジ係のおばちゃんが、さっきの女の子の相手をしている!子育て経験者なのか、ベテランの風格すら感じられます。
少しすると女の子も落ち着いたのか、ママと一緒に店を出ていきました。
それを見届け、何事もなかったようにレジを打ち始めるおばちゃん。おばちゃん、優しすぎ。ピリピリすることなく待っていたお客さんたちも素敵。
これが日本だったらどうなるでしょうか。
「お客様を待たせて子どもの相手をするとはけしからん! 社員教育はどうなっているんだ!」とクレームが殺到するのは間違いありません。レジ係はあとで、店長にこっぴどく叱られるはずです。
ドイツのスーパーは、日本ほどサービスがよくありません。レジでは待たされるし、品切れもしょっちゅう。品出し用のラックが通路をふさぎ、通れないこともあります。でも泣いている子どもと困ったママを放置して黙々とレジを打ち続けるのが、本当によいサービスなのでしょうか。
ドイツでは、レジ係とお客さんが談笑を始めることも珍しくありません。その心と時間のゆとりが、今回のような対応を生んだのだと思います。
「ママ、買って!」は9000キロ離れた地にも存在した
さきほどちょっといい話を紹介しましたが、常にドイツのママが楽しくラクラク子育てしているわけではありません。
アイスクリーム店の前を通りかかっとき、男の子(4歳くらい)とママとの会話が日本と同じ過ぎて笑いそうになりました。
男の子:Eis!
ママ:Nein.
日本語にすると……。
男の子「アイス(買って)!」
ママ「ダメよ」
その後、男の子が1ユーロショップにふらふらと吸い込まれていくのを、腕をつかんで阻止。ママの表情、それはそれはうんざりしていましたよ。
なんだか、ドイツじゃなくて埼玉あたりの100円ショップの前にいるような感覚になりました。
「日本は子育てをしにくい社会」とよく言われますが、ママが自由奔放な子どもに振り回されるのはドイツでも同じ。誰もが見えないところで苦労をしています。
良妻賢母が服を着て歩いているような専業主婦だって、雑誌から飛び出してきたような完璧に見えるワーママだって、朝起きない子どもにイライラしたり、素手でウンチをさわったりしたことがあるはずです。
「大変なのは私だけじゃない」
こう気づくだけで、少し心が軽くのではないでしょうか。
平田けいこ
ライター