2021.08.22
海外の「いじめ対策」!ドイツの幼稚園に通わせていたママがびっくりした対応とは?<体験談>
4歳の息子をドイツの幼稚園に通わせています。ドイツ語が満足にできずアジア人は彼ひとりという環境にもかかわらず、毎日楽そうに通園しています。
ところがある日、「幼稚園に行きたくない!」と泣いて拒否。何事かと思って理由を聞くと、L君という男の子が叩いたりせっかく作ったパズルを壊したりするのが嫌だと涙ながらに訴えてきました。
ドイツの幼稚園でまさかのいじめ?
「もしかしていじめられているのでは……」
心配になって朝一番で先生に相談すると、こんな回答がかえってきました。
「実はL君は他の子にも暴力を振るっていて、クラスでも問題になっています。今度、ご両親を呼んで話し合いをする予定です」
日本だったら、ここまでハッキリ言うでしょうか。
悪意ある表現を使えば「あの子は問題児だから、今度両親を園に呼び出します」と他の保護者に伝えているわけですから。でも現状を説明してもらったことで、色々な意味で安心しました。
まず、息子がいじめの標的になっているわけではないということ。
幼稚園で組織的ないじめはほとんどないでしょうが、人種差別的な扱いがあるのではないかと心配していました。
さらに、息子がいじめる側ではないとわかったこと。先に息子が暴力を振るい、反撃されている可能性もあったからです。言葉が通じない環境のストレスを暴力で解決していたらどうしようかと思っていましたが、杞憂に終わりました。
そしてなにより、園が問題を把握し、解決に向けて動いていると教えてもらったこと。
息子はL君の暴力を先生にたびたび訴えていたようですが、L君は「やっていない」と言い張っていたそうです。誰にもわかってもらえない悔しさも、息子にはストレスになっていたのかもしれません。
だから息子には伝えました。「先生は、L君がみんなを叩いているのを知っているよ。L君がやっていないとウソをついているのもね。だから、もし嫌なことをされたらすぐに先生に言いなさい。先生は、あなたが悪くないとわかっているから!」と。
息子の話を聞く限り、L君の暴力はまだ収まっていないようです。でも安心したのか、登園拒否をすることはなくなりました。
お隣フランスのいじめ対策
先日ちょうど、フランス流「いじめ行為をなくす」方法という記事を目にしました。(参考:social action lab)
フランス在住で現地校にお子さんを通わせているライター・髙崎順子さんによる記事です。お子さんが幼稚園児のときに他の園児に暴力を振るってしまい、園に呼び出されたそう。私のケースに当てはめると、L君のお母さんの立場だったわけです。
園長先生と話し合った結果、なんと小児精神科に通うように言われたとのこと。
その理由は、「子どもが暴力的になるのには、必ず原因がある」。
驚きつつもアドバイス通り医療機関の支援を受けた結果、暴力的な行為は落ち着いたそうです。
小学校に上がってからも問題行動が見られたものの、学校と相談して外部の専門家の力を借り、今は普通に学校に通っているといいます。
日本だったらどうでしょう。
小児精神科なんて言葉を出した瞬間、「うちの子を精神異常者あつかいするのか!」と感情的なクレームに発展するのが目に見えています。
そもそも園や学校に外部の専門家を頼るという発想がなく、「愛情不足だと思うので、お母さんが仕事を辞めたらどうですか」など、根拠のないアドバイスをするのが関の山でしょう。
L君の保護者と園がどんな話をしたのかはわかりません。
でも、問題に正面から向き合う姿勢はフランスと共通点があると感じました。
被害者と加害者の双方にケアを
ドイツでの体験をSNSに投稿したところ、いじめ被害者だった方からコメントをいただきました。
先生、いじめ加害者、いじめ被害者(コメントをくれた方)で話し合ったところ、実はいじめ加害者のひとりは別の生徒にいじめを受けており、そのストレス発散のためにいじめをしていたと告白したそうです。
その他の加害者も、中学受験のストレスや家庭内不和などを抱えていたといいます。
やはりフランスの園長先生が言うように、子どもが暴力的になるのには必ず原因があるのでしょう。
報道を見ている限り、日本ではいじめを軽く捉えていると感じます。
「子どものやることだから仕方がない」「成長過程に必要なこと」などと都合よく解釈せず、学校・園、子ども、保護者の全員が問題に向き合い、根本的な原因を解決する姿勢が必要ではないでしょうか。
※この記事は2018年8月に公開されたものです。
平田けいこ
ライター