2018.09.04
「完全母乳・完全ミルク」育児で悩む必要ありません!その理由とは?
いきなりですが、私はふたりの子どもを「ミルク」で育てました。理由は母乳がなかなか出にくく、結果的にミルクへと移行したというところでしょうか。
うちは年の差兄弟を育てています。15歳差ですから、当然ながら「長男と次男」では、取り巻く環境が違いました。その最たるものが「母乳育児」です。ここのところ、少し落ち着いてきたようですが母乳神話は依然として強く、時には産院・病院によって、あるいは周囲の考えが「母乳で育てるべし」の「べし」にかなり傾いていることもあるようです。
さて、私の個人的な感想ですが。母乳がすんなり出るならもちろん母乳育児は素晴らしい、でもミルクで育てたからといって大問題というわけでもない、ということ! 私の経験談や考えが、もし今「母乳が出なくて悩んでいる」あるいは「早めの仕事復帰をする予定だけどミルクにするのはダメだろうか」と迷っている人にとって、ひとつの参考になればと思います。
完全母乳の神話と出会った驚き
男の子ふたりですが、どちらもいわゆる「初乳」をあげた程度で私はミルクに切り替えています。ですが冒頭に述べた通り、長男と次男では周囲の反応があまりに違うので正直かなり驚きました。
実のところ、長男を産んだ時は「ミルクも母乳も」どちらかを強く勧めるという雰囲気ではなかったんですね。私の場合、なかなか母乳が出なくて辛く、当時の助産師さんや看護師さんに「母乳が出るようになるマッサージとかもあるけど、ミルクでもいいし」くらいの感じでしたから、若かった私は何も考えずに「ミルクにしよーっと!」でしたよ。
ところが次男を産んだ頃は「母乳神話」が強く、どのプレママ雑誌を見ても、育児書を見ても「お母さん、頑張って母乳育児しましょう!」オーラがスゴかった。私はマッサージや食事制限などをしながら母乳を頑張って出す、24時間つききりでも赤ちゃんに出ないおっぱいを吸わせる、という行動になじめず、小さくなりながら「えーと、長男もミルクだったけど、別にフツーだし・・・キレやすい子とかになってないし・・・」とブツブツとつぶやき、退院後は自然と母乳が出なくなって、3週間目には完全にミルクになっていました。
その時「完母」(完全母乳)という言葉を初めて知ったんですね。そして私は「完ミ」というわけで、3ヶ月くらいになってちょっと外に出るようになると、見知らぬ人に「ミルク?あなた病気なの?」と聞かれたりして、本当に驚きました。そして粉ミルクを使うことに罪悪感を持ったり、悩んだりしているママが多いことにもっと驚きました。私が
「ミルクだよ。母乳出にくかったし、別に完全母乳にこだわってないし」
と口にすると、チラと「そうだよね」の同意はしているけど声に出してはうなずけないの的な視線、また同時に「母乳をあげられない理由があるなら仕方ないけど、出にくいからってだけで諦めちゃったの?」みたいな、けっこうキツイ視線にも何度も出会いました。
ミルクだから愛情不足なんてなりません
赤ちゃんを育てるのに授乳は欠かせません。赤ちゃんを腕に抱き、おっぱいをあげることで母性がより強くなるというのは一理あるのかもしれません。また栄養面でも、母乳ほど完璧なものはないのかもしれません。
でも、粉ミルクも、それこそ長男の頃よりさらに進化していたし、ほ乳瓶であげるからといって、おっぱいに触れることがないから「愛情不足」になるわけでもありません。
私は産んだ病院での検診しか行かなかったのですが、自治体の検診に言った友人のひとりがため息ついていましたよ。保健師さんからは「母乳出ないの? 出ないならマッサージや母乳スクールがあるから通えば?」みたいに言われ、見渡せば母乳をあげるマリア様のような母子像のポスターやパンフレットばかり。生後2ヶ月からミルクにした彼女は、いたたまれない思いがした、と言うではありませんか。
完全母乳で育てられる人は素敵なことだし、大変な思いや努力をしてでも完母で育てる!というポリシーの人がいたっていいと思います。が、同時に「ミルクで育てる」選択肢をとったからといって、身を小さくする必要もありませんよね。だんだんと小さくなっている自分が嫌になったので、私は途中からは「ウチはミルクよ」さら〜っと言い放つようになりました。
ストレスになるほど「母乳」にこだわらなくていい
私たちは、それぞれ人柄とか性格とか性質というものがあります。例えば私の場合、赤ちゃんのお世話をする中で一番遠ざけたいもの、それが「ストレス」でした。そのストレスは、何が原因で「重荷になり、ストレスとなるのか」も人それぞれです。
もともと母乳にすっと入れた人はもちろんですが、苦労しながらも、完全母乳で頑張るんだ!という努力家のママたちが「私はこれだけ頑張ってるぞ」と自分に自信が持てたり、子育てをしている充実感を持てるのなら、私はその努力がとても良い形で子育てのパワーになると思います。
でも、ヘタレ母である私なんぞは「出ないし〜、マッサージ痛くて死ぬ〜!」「母乳じゃないと病気しやすいとか〜、母乳をあげる努力をしないのは母親失格とか〜、そんなコト言われてもなー」と、思いつつ、いつの間にか何か重圧がかかってくるような感じで「こりゃイカン」と思ったのです。
モノは考えようです。ミルクにして、ゴクゴク飲んでくれて、私も辛い時間から解放されて、赤ちゃんを抱きながら「久しぶりだな〜、ちっちゃい頃ってホント無条件に可愛いなー」と幸せ一杯の時間を持てることのほうが、精神衛生上良い、と思いました。
それでも、まぁかなり周囲からはアレコレ言われましたが、ありがたいことに長男の育児経験があるので揺れたり迷ったりはしませんでした。ただ、これが初めての子だったらどうだろう、とは思いました。まるで母乳包囲網にハマったかのように過剰に反応し、怯えたり、焦ったりするママだっていることでしょう。
母乳かミルクかではなく「どっちだっていい」んです!
ともかく、です。
母乳には母乳の良さがあるように、ミルクの良さもあります。確かに母乳で育てるのがベストなのかもしれませんが、セカンドベストがミルクだったとしても、だから悪いというのではありませんから。
赤ちゃんのお世話はそれでなくても大変で、産後の体調も万全に復活するまでは時間もかかります。母乳かミルクかで悩み、赤ちゃんとふれ合う時間に眉をしかめて、唇を噛みしめながら「母乳出ない・・・」とキリキリするなんて、大切な赤ちゃんとの時間がもったいない!
何かと言うと「ミルク?母乳?」と聞いてくる人も今だにいるようですが、あまり気にしないことですね。赤ちゃんを育ててるのは、その人ではなく、ママなのですから。
ちなみにウチの長男は立派な社会人になりました。ミルクで育てようが、母乳で育てようが、子どもが育つ過程では様々なことがあり、紆余曲折を経て、なんとか一人前になっていくものです。
時代ごとに育児論にもブームがあるものですし、医学的な見解さえも変化します。育児に関係する「神話」も、時と共に崩れることもあれば、別の神話へとすり替わっていくこともあります。
神話に縛られ「ねばならない」とがんじがらめになって身動きがとれなくなったりしないように、自分なりに「私と私の大切な赤ちゃん」にとって一番ベストな方法を選べばいいだけです。
私の友だちは「完母」ですが、いわく「だって母乳の方が早く痩せられるからよ!」なんて言ってましたし、「添い寝でおっぱいあげられるからラクなの」という言葉には私もウンウンと大きくうなずきます。「ミルクだとさ、パパもあげられるしいいよね」「母乳が出なくて育児ノイローゼになるかと思ったけど、ミルクに切り替えたら開き直ってスッキリしたわ」なんて声を聞けば、「そうだそうだ!」と思います。どっちだって、いいじゃありませんか?
いずれにしても、子どもは元気に育ちます!
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。