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2019.10.04

発達が気になる子どもの就学、どこに相談する? 親がすべきこととは?<体験談あり>



子供の就学を来春に控え、さまざまな理由から「通常級(1クラスおよそ35名以下で編成され、クラスの生徒全員がいっせいに授業を受けながら学習する学級。普通学級ともいう)に進むのは難しいかも」と考えている方もいると思います。とはいえ、発達が気になる子どもの就学相談やもろもろの手続きはどうすればいいのか…
具体的にどう動けばいいのか分からず、悩んでしまっている方も多いのではないでしょうか。今回は、発達が気になる子の就学先はどんなものがあるのか、就学までの相談や手続はどうすればいいのかなどを紹介します。自治体によっても違いはありますが、一般的な例を挙げながら紹介していきます。

就学先にはどんな種類があるの?


発達が気になり、「通常級ではちょっと無理かなあ…」という場合、次のような就学先があります。

・特別支援学級
特別支援学級とは、特別な支援や介助が必要な子どものために設けられた学級です。通常の小学校の中に設置されていますが、すべての小学校にあるわけではありません。原則1クラス8名が上限の少人数学級で、子ども1人1人の課題に合った教育、困りごとに対する支援を受けることができます。
通常学級とは給食・学校行事・クラブ活動や、音楽などの教科で交流がある学校が多いようです。

・特別支援学校
特別支援学校とは、知的障害や視覚・聴覚に障害がある、または肢体不自由など、学習上または生活上の困難を克服し自立を図る目的の「学校」です。
特徴としては、算数や国語など通常学級と同様の教科のほかに、子どもの自立に向けてそれぞれの課題に応じた「自立活動」という時間割があります。たとえば「買い物学習」や「洗濯学習」など、生活するうえで必要な行動を学ぶことができます。
手先が不器用な子どもや、歩行がしっかりしていない子どもなどのためにも、その子の特性に応じた専門的な支援が受けられます。学校数が少ないため、通学に時間がかかる場合がありますが、スクールバスなどの対応があります。

・通級指導教室
通常学級に在籍しながら、週に何時間か一人ひとりの困難や課題に合わせた支援・指導を受けるというものです。
コミュニケーションや話し方(吃音など)、感情のコントロールなどを個別に学ぶことができます。通級指導教室はすべての学校に設置されているわけではありません。子どもが通っている学校に設置されている特別指導教室に通う「自校通級」と、近隣の学校に設置されている特別指導教室に通う「他校通級」の2パターンがあります

どの学級や学校にもさまざまな特色や雰囲気があるので、できるだけたくさん見学し、「わが子のためにどこが望ましいか」をしっかり見極めることが何より大切になってきます。

まずはどこに相談?


就学先に悩んでも、どこに相談したらいいかわからない…まずはどこに聞けばいいのか、さらに相談先や、相談後の流れなどを紹介します。

・まずは自治体の就学相談課へ
発達が気になる子の就学の相談や支援を行う「就学相談課」(自治体によって名称が異なる)に相談の予約をします。いきなり予約は…という場合は、通っている保育園や幼稚園の先生に相談してみましょう。園の先生から「ここで相談を受けてみませんか」と紹介してくれます。
また、就学相談の流れや手続きの説明、特別支援学級、通級指導教室、特別支援学校でそれぞれどのような教育が行われているかについて説明する「就学相談説明会」を実施する自治体もあるようなので、それを受講するのもいいかもしれません。

・保護者面談、子どもの発達心理テスト
まずは専門の就学相談員と保護者だけで「子どもの発達上で気になることや日常生活の困りごとなど」について、じっくりと面談します。このとき、具体的な状態を把握してもらうためにも、医療機関で受けた子どもの診断書や療育機関での報告書などがあれば持参すると話が伝わりやすいそうです。
親が面談をしている間、別室で発達心理の専門家が子どもと接しながら、だいたいの心身の発達状態などを把握します。

・集団(合同)面接
保護者面談とは別日に、発達が気になる子どもたち数人(6~8人程)を集め、集団の中でどのような行動ができるのか、あるいはどのような困りごとがあるのか、などを見ます。この間、親は別室で待機しています。

上記の相談や面談の結果を「就学指導委員会」が会議にかけ、後日親に「この子はこの学級でこのような支援を行いながら学んでいくことが望ましい」と報告されます。どこへ進学するかという最終決定は親がしますが、就学指導員会というプロの意見もしっかり取り入れて決めていきたいものです。相談・面談・会議は随時行っています。なるべく早い時期に動きましょう。

必要な書類ってどんなものがあるの?


就学先を決めるにあたって、面談や発達検査だけでなく、その子がどのような状態か、なにができて、どんなことに困っているかなど、「子どもの情報」に関する書類が必要になってきます。

・発達検査結果
就学前の時点で何ができるか、どんなことに困っているか、どんな「こだわり」があるかなど、さまざまな項目で発達の状態を検査したものです。すでに療育機関に通っている場合は、「就学前発達検査」をお願いすればすぐに対応してくれます。特にどこにも通っていない場合は、自治体の就学支援課に紹介してもらい、検査の予約をします。

・園の先生が書く「観察記録票」
保育園や幼稚園の先生に、園生活の中でどのように過ごしているか、困りごとがあったときにどのような介助をしているか、集団生活でどんなことができているか、などを書いてもらいます。
・親が書く「児童状況票」
子どもが生まれたときの様子(体重・身長・分娩の状態)から、首すわり~歩行までの発達段階、受けた予防注射など、加えて家庭生活中で困りごとや、好きなもの、嫌いなもの、こだわりなど、子どもの状態・状況を詳しく記入します。

これらの書類は就学先を決めるためだけではなく、就学先の先生にしっかりと引き継ぎ、その子に合った教育をしていくための大切なものです。日ごろから「ここが気になるな」ということがあったら、メモしておくといいですね。

就学先が決まってからしておきたいこと


就学先が決まってからも、就学してからの生活を考えて準備しておいたほうがいいことがたくさんあります。子どもだけでなく、親の困りごとを減らしていくためにも大切な準備となります。

・なるべく1人で着替えやいろいろな支度ができるよう、工夫しておく。
学校生活は、時間内に1人でやらなければならないことがたくさん出てきます。体操服に着替える、使ったものをしまって次の授業の準備をする、休み時間内にトイレに行っておく、など。支援学級や支援学校は介助の先生が何人かつきますが、1対1でつきっきりというわけではありません。子どもも自分でできたほうが、スムーズに学校生活を送ることができるようになります。着替えやすい洋服を用意したり、トイレを5分以内に済ませられる練習をするなど、家庭でもできことはたくさんあります。

・学校から学童への移動などの支援
働いているママは、お子さんを学童に入れたいと考えている方も多いと思います。学童には、必ず「発達の気になる子」の受け入れもあるので大丈夫。しかし学童が決まっても、学校から1人で学童へ行けないケースもあります。その場合、自治体の福祉課に相談し、ヘルパーや移動支援員などに送迎をお願いしておきましょう。

・学童以外の放課後の居場所確保
学童以外の放課後の居場所として、「放課後デイサービス」というものがあります。子ども10人に対して3~4人のスタッフがつき、おやつ作りや季節ごとのイベントなど、子どもに合わせたプログラムで、子どもが楽しく過ごせる工夫をしています。送迎付きのデイサービスが多いので、親にとってもありがたい! 利用するには療育手帳が必要だったり、世帯収入によって利用料が異なることもあるので、「利用してみたい」と思ったら自治体の福祉課に相談しましょう。

参考になる! ママたちの就学前・就学後体験談

【ゆっくりな娘に合った環境を最優先に】〔Mさん、子ども9歳〕

・就学までの流れを教えてください
超未熟児で生まれ、首すわりやお座りも遅く…生後8か月から区の療育センターで歩行や手先のリハビリをしてもらいました。2歳直前で歩けるようになり、保育園に預け復職。保育園ではゆっくりながらも着実に成長してくれて、集団生活も送れるようになりました。ただ、年長になっても手先が不器用(着替えがうまくできない、はさみやお箸が使えないなど)だったり、言葉がなかなか出ずに友達と喧嘩になることがあるなど、課題は山積みでしたが…
保育園や療育(保育園入園後も週1で通っていた)の先生にも「〇ちゃんは手厚く見てもらったほうが、きっと伸びると思います」と言われ、就学前相談を受けることを勧められました。
年長の8月に親だけ面談し、10月に子どもの集団面接、11月に「支援級、もしくは支援学校が適切です」という連絡をもらいました。その間にも、区立や私立の学校を3~4校見学しました。保育園の友達と同じ学校(普通級)に行けたらいいな、という希望もありましたが、「子どもに合った環境で、子どもの可能性を伸ばすこと」を最優先に、授業以外にも言語や歩行・手先のリハビリをしてくれる区立の支援学校に決めました。

・就学後はどんな風に過ごしていますか?
朝はスクールバスで登校(バスポイントまでは親が送る)しています。授業はその子のペースに合った、かつ自立生活を促す内容なので、できることがグッと増えましたね。
放課後は週3学童、週2放課後デイを利用しています。学校から学童は徒歩3分ほどなので、1人で行って、18時に私がお迎えに行っています。放課後デイは学校まで迎えに来て、家まで送ってくれます。私も仕事を続けられてありがたく思っているし、何より娘が毎日トラブルもなく楽しそうに過ごせているので、いろいろ悩んだ末今の学校を選んでよかったと思っています。今思えば、見学した時に、「あ、ここいいなぁ」と直感したんですよね。

【週1の通級で「苦手」を少しずつ克服】〔Fさん、子ども8歳〕
・就学までの流れを教えてください
言葉が出るのは早かったのですが、3歳くらいから吃音(いわゆる「どもる話し方」)が出て、年長の頃に強く出るように。本人も気にし始め、人前で話すのが苦手になってしまいました。このまま普通級に行ったら、からかわれたりいじめられてしまったりするかもしれない…悩みつついろいろと調べ、「特別支援級か、普通級に通いながら通級に通う」のどちらかにしようと思い、とりあえず区の就学相談課に相談。
親からの聞き取り面談、子どもだけの集団面接などを経て、「学習面や情緒面では特に困りごとがないので、普通級に通いながら通級に行くのはどうか」という結果になりました。正直とても不安でしたが、息子も「保育園の友達と一緒の学校がいい」と希望していたので、普通級への就学を決めました。

・就学後はどんな風に過ごしていますか?
週1回午前中の2時間、他校にある通級(言葉の教室)に通っています。同じ区内ですが、バスに乗っていく距離なので、私の母に付き添ってもらいながら通っています。私も1か月に1回のペースで付き添っています。
担任の先生や担任以外の先生と、言葉の教室の先生同士で連携を取ってくれているので、普段の生活の中で困ったことが起きたときも適切な対応をしてくれ、子どもも前よりスムーズに話せるようになってきました。
心無いことを言ってくる子もたまーにいて悲しくなる時もあるみたいですが、同じ保育園の子と学童でわいわい遊んでいるうちに立ち直れているようです。心配事はたくさんありますが、子どもなりにしっかり気持ちに折り合いをつけて頑張っている姿を応援したいと思っています。

学校は、子どもが毎日通い、さまざまなことを学び吸収しながら1日の大半を過ごすことになる場所です。子どもが、楽しく充実した毎日を送れる環境を選んであげたいもの。特に、発達が気になる子どもは日々のサポートが欠かせません。就学にあたって考えるべきこと、やるべきこと、決めなければならないことがたくさんあって大変ですが、親が悩み考えた就学先は、子どもにとって必ず良い結果をもたらすと思います。
この先、中学・高校へ進学するときも、同じような悩みが出てくるかもしれません。相談や準備もしっかりして、見学も色々行ったけれど、果たしてどこがいいのかなかなか決断できない…なんていうこともあると思います。そのときは、パパやママが「この子にはここが合いそう」「この子にとって、ここは居心地がいいかも」と最初にピンときた勘を信じることも大切のようです。

参考:文部科学省ホームページ

田崎美穂子

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