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2020.05.26

「9月入学」について、賛成?反対?ママや子供たちの意見を聞いてみた!



コロナの影響で長引く休校問題を受け、政府や識者が来秋からの「9月入学」の検討を進めています。4月入学が当たり前になっていた私たちにとって、どうにもぬぐえない違和感もありますが、「やるならこのタイミングなのかな」と納得せざるを得ない部分もあったり…
そんな中、すでに非常事態宣言が解除された県や地域では登校が再開されているところも。
なかなかはっきり先が見えず、憶測や議論ばかりが飛び交う状況に、「これ以上振り回されたくない!」と子どもやママの怒りや不安の声も聞こえてきます。今回は、そんな世間を騒がせている「9月入学」について、ママたちや子どもたちの意見を聞いてみました。

政府が考える「9月入学」の構想とは


コロナ感染拡大に伴う臨時休校の長期化で、子どもの学習保障が大きな課題となっています。政府はこれに対し、入学時期を4月から9月に移行する案を検討しています。
その中で考えられるメリットは、

1.学力の保障
休校の影響で、本来4月から学ぶべき内容が十分カバーできていない。9月からのスタートに切り替えることで、最初からしっかり学ぶことができる。
2.国際標準に近づく
海外では秋入学制度の学校が多く、日本も同様になれば海外の学校への接続がしやすくなる。

それに対して、デメリットは

1.入試問題
夏の時期に高校入試や大学入試を行う必要性があるが、十分に対応できるのか。受験の準備を進めている生徒や学校などが混乱するのではないか。

2.幼児教育とのつながりは?
幼稚園・保育園の入・卒園も半年ずらすのか? 幼稚園教育の内容(学習指導要領で定められている)も見直す必要がある。保育園は、4月~8月期間の子どもを預かる体制や予算を確保しなければならない。

3.切れ目ない教育は可能なのか?
今の教育は、幼稚園から大学まで、ギャップが生じないよう、切れ目のない仕組みになっている。一つ変えようとするだけで、すべての教育段階に影響がやひずみが生じる。変更は容易ではない!

こう見ると、明らかにデメリットが多いような気もしますが…教育界や政府内からも、「拙速な9月入学論では、勉強の遅れを取り戻し、学力格差拡大を抑止する効果は期待できない」という声が上がっているようです。
誰もが納得のいく結論を出してほしいですが、それはなかなか難しいこと。せめて、当事者である子どもたちや保護者の意見を優先して検討してもしいものです。

どうなる! 新小学1年生!


生まれて初めて「学校生活」を迎えることになる小学校1年生。休校が続く中、いきなり9月入学の話が出たら、新たな不安や悩みも出てきてしまいそうです。
「9月入学」の新小学校1年生に対する措置についてもいろいろと議論され、現在は三つのパターンが考えられているようです。

【パターン1】一斉実施案
2014年4月2日から翌年の4月1日生まれの子どもに加えて、9月1日生まれまでの子どもも一緒に入学させしまう。合わせて1年5か月分の子どもが一斉に新1年生になることになります。これだと1年で新しい制度に移行できますが、学年の人数が激増、教員や教室は確保できるのか? という課題も。

【パターン2】段階的実施案
パターン1の課題を解消しようというもう一つのパターンが、2014年4月2日から翌年の4月1日生まれの子どもに加えて、5月1日生まれまでの子どもを一緒に入学させるというもの。1年1か月分の子どもが新1年生になることになります。そして、次の年は5月2日から翌年の6月1日生まれの1年1か月分の子どもを対象とし、5年かけて新しい制度に移行していきます。この場合、学年の区切りが毎年変更されるため、混乱が予想されます。

【パターン3】「ゼロ年生」案
現行と変わらず4月2日から翌4月1日生まれ子どもが対象。来秋の9月入学となると、2014年4月2日〜2015年4月1日生まれの子どもが、2021年3月に幼稚園および保育園を卒園したあと、4月~8月の間「小学校ゼロ年生」として学校生活を送り、9月からやっと1年生になるという仕組みです。それに伴い、小学校はこれまでの「6年制」から「6.5年制」に延びることになります。「ゼロ年生」のための教員確保問題や、学童待機児童数が大幅に膨らむなど、検討課題も多そうです。

いずれにしても、「月齢の差が空きすぎて、ついていけない子が出てくるのでは?」「同じ学年だった子がいきなり別の学年になるの?」「学童はどうなるの?」など、多くの課題やひずみが出てきそうですね。

賛成!のママ・子どもの意見

今娘は新小学1年生なのですが、9月からキチンと仕切り直して、小学生活の最初を踏み出させてあげたいなーと思ってしまいます。あと、夏休み短縮や土曜日授業などといわれていますが、まだまだ慣れてない新一年生にはものすごい負荷がかかるんじゃないかと。夏は暑いですからね…学校の行き帰りだけで、熱中症など体調が悪くなりそうで、かわいそう。家庭学習するのはいいのですが、この教え方正しいのか?と思いながらやってるので、中途半端な状態から学校学習をスタートするより、一斉に9月から学び直しをさせてほしい。いろいろ省かれた状態で授業が進むのも困るというか… 〔Kさん、子ども6歳(小学校1年生)〕

6月から焦って再開したところで、足りない授業数の穴埋めだけでは、教育とは言えないと思うんです(平日7時間、土日返上、夏休み等の長期休暇の短縮など)。教育とは人を育てることだと思うので、授業だけではなく、行事やイベント、教師や友達とのつながりなどの経験がとても大切。現状の対応策だと、足りない授業数を補うだけで1年間のカリキュラムが終わってしまう感じがします。これで教育と言えるのかな? と。
加えて、息子ももう高校生なので、大学受験を意識してしまいます。早い時期としては夏辺りからAO入試、秋からも公募入試が始まるし、指定校推薦は内申(1学期の成績も関わってくる)で決まる。今こんな状態で、高校3年生の子はどうするんだ? 2年後もどうなっているんだ? と、とても不安です。
上記のことを踏まえて、中途半端に6月から再開するのではなく、きちんと9月から仕切り直しでスタートしてほしいと思っています。〔Fさん、子ども15歳(高校1年生)〕

僕は今年高校受験ですが、不安で勉強が手につかない状態です。内申はどうなるのか、夏休みに高校見学は行けるのか、塾はいつ再開するのか…塾もリモート講義はあるけど、やっぱり対面授業のほうがずっと効率がいいです。
運動会や校外学習など、楽しみにしていた1学期のイベントも延期ではなくすべて中止。そういう意味でも、不安を抱えたままバラバラ再開するんじゃなくて、しっかり案を練って、9月にきっちり「リスタート」してほしいと思います。無理だと思うけど… 〔Hくん、14歳(中学3年生)〕

9月入学なら、足並みそろえて再スタートが切れる。それは大きなメリットだと思います。特に、受験を控えた子どもたちにとっては切実な願いでもあるようです。もし実行されるのであれば、「コロナの影響だから」あるいは「欧米に倣うため」という理由ではなく、どうしたら子どもたちが迷わず、悩まず、いい状態で9月入学に移行できるか、を検討してほしいと思います。

反対派ママ・子どもが思うこと

今の9月入学案は、どの案を見ても子どもが犠牲になると思います。特に新小学校1年生の学年の区切り方では、1学年の人数が大幅に増える可能性もある。そうなると、受験や就職の倍率がすごいことになりそう。なにより、学年の区切り方で7才を過ぎても宙ぶらりん(0年生?)な立場だったり、幼稚園や保育園で同じ学年だった友達と違う学年になるって、すごいストレスになりそう…。9月入学はメリットがあるにしても、やはりデメリットが大きすぎると思います。ともかく、反対です!〔Iさん、子ども6歳(新小学1年生)、2歳〕

学校に行けない、友達に会えない、勉強の進め方が不安…そんな子どもの現状を見ていると、9月入学には「反対」です。政府は学習の遅れを取り戻す方法を検討することから、「どのように9月入学を進めていくか」という議論にすり替えている気がするんです。
ネットニュースや新聞記事を見ても、現時点ではどう見てもメリットよりデメリットの方が多いんだから、9月入学ではなくて、今やるべきことを議論するべき!〔Wさん、子ども10歳(小学校4年生)〕

早く学校に行きたい、部活がしたい、今はそれだけです…最近たまに近くの公園で友達と会うけど、少し距離を置いてマスク越しに数十分会話するだけ。話し足りないし、毎日は会えないし、モヤモヤしっぱなしです。
9月までこんな状態なのは、もう耐えられない。家族も何となくピリピリイライラしてるし。どんな形でもいいから、早く学校に行って、授業受けて、給食食べて、友達と話して、野球したいです。〔Yくん、13歳(中学2年生)〕

今のお子さんの不安な状態や、家族間で時折感じてしまうやり場のない怒り…なんとなく地に足がつかない生活がこのまま数か月続くなら、9月とか悠長なことを言ってないで、早く再開してほしい! その意見にも大きくうなずいてしまいます。特に、Yくんの切実な声が印象的でした。

賛成・反対どちらでもない心の内

上の子が年少だし下はまだ2歳なので、正直まだ傍観的な感じで見ています。ただ、9月入学にどうしても馴染みが感じられないし、今議論されている「小学0年生」って何? と。何をどう学ぶのか、学校の中での居場所や立場(?)はどんな感じになるのか、などの不安もありますね。
再来年がどうなっているのか、まだまだ移行期かもしれないし、子どもに変なストレスや不安がのしかからないことを祈るばかりです。〔Uさん、子ども5歳(年中)、2歳〕

子どもがまだ小さいのであまりピンときていませんが、数年イギリスにいた経験があるので、9月入学にはあまり抵抗を感じません。冬の入試は受験生にとっては風邪やインフルエンザなどでリスクしかない。あと、夏休みに宿題もなくしっかり休んでから新学年を迎えるっていうのは良いと思います。
とはいえ、コロナで休校が続く状況だから今すぐに切り替えるというのは、なんか違うかなーと思います。いろいろ問題山積みなのにどうやるの? とか謎なので…でも今年の受験生は不公平でかわいそうなので、そこは何とかしてあげて!と思います。〔Tさん、子ども4歳(年少)〕

高1にもなると、友達とSNSとかビデオ通話で交流できて気がまぎれるからいいけど、そういうツールを持っていない新小学1年生などの低学年の子供は辛いと思う。でも、9月入学にすれば、コロナもかなり落ち着いていると思うので、普段の学校生活が送れるからいいと思います。今再開しても、分散登校、マスク着用、先生はフェイスシールドやビニール越し、会話は少なめに。そんなガチガチの学校生活は正直ちょっと嫌ですね。
友達同士で話してても、学校によってオンライン学習の進め方やシステムがぜんぜん違うので、すでにすごい差がついてる感じ。それを考慮しても、9月入学にして、一斉同時スタートして、普段通りの学校生活を送れるほうがいいと思うんです。 〔Sくん、16歳(高1)〕

お子さんが小さいと、確かにピンとこないですよね。小学0年生もしっくりこないし…
高1になったばかりのSくんは、入学式も中止になり、新しい友達にも担任の先生にも一度も会っていないそう。まだ新生活が始まらず実感がないからこその「どちらでもない」意見なのかもしれません。

日本でも明治時代は、大学では9月入学が行われていました。長きにわたり、入学時期の議論も繰り返されてきました。コロナという歴史に残る未曽有の状況の中、入学時期の見直しは確かに必要なことなのかもしれません。
とはいえ、家庭や教育現場が混乱するのは目に見えています。「現場をよく知らない政府」と「まさに戦いの真っ最中である教育現場や保護者」の認識の差、温度差はかなり大きいようです…
9月入学のメリット・デメリットうんぬんの前に、「入学式は桜の咲き乱れた4月」というイメージがなかなか拭えず、秋入学にはどうしても抵抗があるという方も多いのではないでしょうか。
いずれにせよ、とにもかくにも「子どもファースト!」を常に念頭に置いて協議してほしい! 切に願っています。

参考/朝日新聞デジタル

田崎美穂子

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