2020.08.22
子どもが「川崎病」に!発症から入院、退院までの闘病記
「川崎病」という病名、聞いたことあるでしょうか?去年まで私はこの病気のことを「聞いたことあるけど、よく分からない」という状況でした。それが、去年の夏に長女が発症し入院。いままで自分の娘が幼児期に大病にかかることなど想像していなかった日常が一転しました。
今回は乳幼児を持っているママに知っておいてもらいたい、4歳までにかかる可能性のある病気「川崎病」について、実際の経験談も含めお伝えします。
いつもの熱と違う?から始まった高熱とあごの腫れ
それは、初夏のある金曜日から始まりました。普段通り、幼稚園から戻り、弟と一緒に遊ぶ娘がなんとなく熱っぽい。とはいえ、子どもの熱はよくあること。気にせず、普通に過ごしていました。
土曜日 朝起きると娘の左あごがちょっと腫れている。リンパ腺?おたふく風邪?しかし午前中は元気に弟とはしゃいでいる様子もありそこまで心配せず。しかし、昼過ぎには38度を超える熱。何かがいつもと違う。しかし、かかりつけの病院はもう閉まっており、救急に行くか悩む。ネットでいろいろ調べつつも、食事もそこそこ取れており、今日は様子をみようと判断。この時に、夫も「いつもと違う気がする」と言い始める。
土曜日の夜 さらに腫れが大きく。熱も39度を超える。
日曜日 確実にいつもの娘と違う。あごの腫れを痛がり、虚ろな表情。やっぱりおかしい。と思い、近所の救急病院へ。しかし研修医の判断は「ただの風邪」咳も出ていない、風邪の諸症状もないのに!絶対におかしい!と思いつつ、鎮痛剤をもらい、帰宅。
日曜日の夜 娘は辛そうでもう起きていられない状況。不安でこちらも眠れない。腫れを冷やしたり、痛み止めを飲ませたり。明日の朝になったらすっかり治れ!と祈るばかり。
月曜日の朝 熱が高い娘はなかなか起きず9時起床。しかし起きた瞬間に、虚ろな目、我慢強い娘が顔を歪ませて痛がるなど(これは本当にヤバイ)と胸騒ぎがし、昨日救急で大丈夫といわれたけれど、やはりかかりつけに行こう。だってこれは普通の風邪じゃない!と思い立ち、即、近所の小児科へ。
娘を見た先生は診察後、すぐに血液検査の指示。結果、炎症反応CRPが「17」の異常値(平常時0.3)で、紹介状を持って即刻総合病院へとの事。この数字、あとから調べてみたら「重体な疾患の発症の可能性が検討される範囲」だそう。病名を聞くも「この場では判断できない。大きな病院で、検査しないと分からないが、いくつか考えられる病気はある。」と言われる。
とにかく急いで、家に帰らず、このまま総合病院に行きなさい。と言われ、何をどうしていいかわからないまま、病院に向かう。すでに自分の足で歩けなくなっている娘を弟のベビーカーに乗せ、子どもを産んでから初めて「神様、先生、誰か!誰でもいいから、娘を助けてください。」と心から思う。
川崎病ってどんなもの?知っておきたい基礎知識
川崎病。1961年に小児科医・川崎富作先生が発見し、1967年に発見者である川崎先生にちなんで名づけらた、主に4歳以下の乳幼児がかかる病気です。
娘が川崎病と診断され、それを知り合いに伝えると、「えっ公害病?」や「伝染病なの?」とか「神奈川県に住んでるから?」
と何人かの方から聞かれました。しかし、この川崎病は川崎市や川崎公害、とはまったく無関係のものです。私も娘がかかるまで知識がなかったので、そう聞きたくなるのもなんとなく分かります。主要症状として6つあり、そのうち5つが当てはまると診断が確定されます。
1.5日以上続く原因不明の発熱
2.目の充血
3.手足末端が赤くなり腫れる
4.皮膚の発疹
5.口唇が赤くはれる、いちご舌
6.リンパ節の腫れ
しかし、初期ではこの症状が出ていない場合も多く判断が難しい場合もあるそうです。原因も色々な話はあるようですが、確定されたものは、まだ分っていません。
現在の治療法として有益とされているのが血液製剤である「ガンマグロブリン」と「アスピリン」を併用する方法です。「ガンマグロブリン」は点滴で何クールかに分けて投薬していくものです。この治療で解熱しない場合もあり、この場合は再度「ガンマグロブリン」を投与するか、ほかの治療法を探っていかなければなりません。
また、川崎病を発症した子どもは「冠動脈」に異常がみられる場合があり、治療と同時にエコーで冠動脈瘤がないかのチェックをする必要があります。
現在では、川崎病での死亡率は少なくなっていますが、まれに熱が下がった後も冠動脈流が原因で心筋梗塞を起こす場合もあり、予後も何年かは検査をする必要があります。
親から離れての2週間の入院とその後の経過
かかりつけ医に指示された後、紹介された総合病院に行き、今考えられる病名は「リンパ節炎」か「川崎病」だろうと言われました。川崎病の診断は先述したとおり、いくつかの判断基準があり、それに当てはまらないと、なかなか分からないのですが、入院二日目、徐々に湿疹、手の赤み、むくみ、川崎病の症状が現れ、「ガンマグロブリン」と「アスピリン」の投与が始まりました。
その病院は、4歳以降の子どもの入院には親は付き合えず、一人での入院となり、初めての一人でのお泊りが病院になるなんて考えもしなかったので、非常に不安を感じたことを覚えています。
入院当時の私のメモが残っています。
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二日目 抗菌剤が効いていないとのこと。造影剤を入れてのCT。心臓、肝臓のエコー。湿疹、手の赤み、むくみ、川崎病の症状が現れ始める。いまだ熱高し、問いかけにも答えられない、食事はほぼ食べられず、ぼーっとしている。リンパの腫れも変わらず、非常に痛そう。γグロマリン投与を夕方から開始。明日の経過に期待。帰りに「頑張る」のハイファイブだけはできた。
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四日目 朝行くとエコー中。機嫌が悪い。昨晩夜中に鼻血。しかし、ナースコールできず。言いたいことが言えていないよう。小さいことでも看護婦さんに伝えると助けてくれると念押し。しまじろうのハサミを使った工作。絵本、ぬりえ等を一緒にやる。テレビも夕方少し見る。しかし、点滴のコードや心電図が煩わしく、ストレスを感じているよう。食事は食べて3割。
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このあと娘の場合は、1回のガンマグロブリンでは効かず、2回目の投与をし、無事解熱し、回復に向かっていきます。結局2週間入院し、今も半年に一度、経過観察をしています。
この入院で私が感じ、伝えたいことは、まず母親のカンはあなどれないということです。救急で「ただの風邪」と言われても、私は「絶対におかしい」と思っていました。もちろんただの風邪で大騒ぎしてもしょうがないのですが、これはいつもと違う?と思ったものはそれを信じてもいいのだと思いました。
また、住んでいる場所の自治体の小児医療の補助がどうなっているかを知り、適切な医療保険についても検討しなければいけないということも感じました。
もうひとつ、予防接種についてはさまざまな考えがあり、判断はそれぞれ親がすればいいと思いますが、私は打てる予防接種で副反応が稀だとわかっているものについては、打ってきて良かったと思いました。入院中に水ぼうそうなどに感染すると治療をストップしたり、重症化したりする可能性があると言われ、何度もなんの予防接種をしたかというのを母子手帳で確認されました。
去年、そんな大病をした娘ですが今では、本当に普通に、入院したことなんてあったけ?と思うくらいに元気に過ごしています。健康ってすばらしい!健康あってこその日常だと改めて思う経験でした。
※この記事は2016年7月に公開したものです。
松本尚子
ライター・編集者
2010年生まれの女子、2012年生まれの男子の2児の母。主婦ときどきライター&編集者。女性向けサイトの編集者を経て、リクルートの住宅サイトでweb編集者を経験。酒好き、旅好き、美味しいもの好き。鎌倉在住。