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2021.10.20

「コロナいじめ」その実態やいじめに対する取り組みとは?体験談も聞いてみた!



いじめ。それはいつの時代も、誰にでも、なにかの小さなきっかけで起こりうる悲しい出来事。
コロナ感染者は減りつつありますが、「コロナいじめ」という悲劇もいまだ続くという現実があります。
子どもだけではなく、社会人の間でもコロナによる偏見や差別があるようです。
「あの人(子)コロナにかかったから」「濃厚接触者になったらしいよ」そんなことで、差別や偏見、いじめに繋がっていくケースが後を絶ちません。今や誰もがかかる可能性があるし、自分や家族がいつかかるか分からない状態、なぜ「自分もかかるかもしれない」「治ったらまた一緒に過ごせば(遊べば)いい」という考えを巡らせることができないのか…と腹立たしいばかりですが、悲しいことにコロナいじめはなかなかなくなりません。
今回は、そんな「コロナいじめ」の実態や、子ども~大人の体験談、コロナいじめに対する取り組みなどを紹介します。

「コロナいじめ」の実態とは


世の中のコロナに対する不安が高まる中、さまざまな場面で「コロナいじめ」が深刻化しています。いったい、どのようなことが起きているのでしょうか。

【いじめが起こる理由ついて】
いじめる側の心理としてはさまざまな要因が挙げられますが、

・「自分の気持ちが満たされたい」「人より優位に立ちたい」
・日ごろから抱えている強いストレスを発散したい。

という強い気持ちや欲求が働くことによるもの、といわれています。
そしていじめられる子が弱いから、いじめられやすい原因があるからというわけでは決してなく、いじめる子は、相手の「小さな弱い部分」を見つけていじめるのです。

【コロナいじめとは】
・コロナにかかった後復帰した、あるいは濃厚接触者の疑いがある人(児童)に対し、「近寄るな」「触るな」など暴言を吐いたり、無視したり、輪に入れない。

・本人や親が医療従事者、福祉施設などで働いているなどの理由で「保育園に預けられない」「(児童間で)あの子とは一緒に遊ばない」などの差別を受ける。
・家のドアに「この家の人はコロナにかかった」という貼り紙をされた。
・習い事先で「感染者が多い市から来てるから」という理由で、他の子どもたちからばい菌扱いされた。

酷いものばかりですが、中には耳を疑いたくなるもの、「これって法に触れるんじゃない!?」というものまで…コロナの脅威だけでなく、「コロナによって起こりうるいじめや差別」にまで怯えて暮らすなんて、本当に嫌な世の中になってしまったものです。

実際に子どもたちが経験したコロナいじめ

ここでは、子どもたちが経験した「コロナによるいじめや差別」を紹介します。あってはならないこと、防がなければならないことばかりですが、小さな子どもゆえの理由もあるようです…

・実際コロナにかかって差別を受けた
主人がかかり、家族全員濃厚接触者になった結果、なぜか長女(中2)だけうつってしまいました。症状は軽かったので、自宅療養ののち約半月ぶりに登校したところ、クラスの何人かに「うわっ、来た」「しばらく近寄らないでね」と言われたそうです。
口に出さない子も、なんとなくよけたり距離を置かれたりで、行った日はかなり傷ついて帰ってきました。「行きたくない」と言うかな…と懸念していましたが、「今は何となく雰囲気でギュってできなくてごめん」と言ってくれる女の子もいたり、仲良しから「治ってよかった。もう少ししたらいつもどおりにね」とLINEが来たり。それが支えになったようで、翌日からも登校できていました。「うわっ、来た」と言った男子とは未だに絶交状態のようですが、今は普段通り明るく登校しています。でも一度受けた差別的なことは、長い間心に残るんだろうな…と悲しい気持ちになります。〔Tさん、子ども14歳、10歳〕

・濃厚接触者になったことで不登校に…
小学5年の息子のクラスで、習い事で一緒の子がコロナにかかって濃厚接触者になってしまった子がいました。PCR検査も受け陰性だったのですが、どうやらその子が自分から友達に「自分は濃厚接触者になっちゃったけど、ぜんぜん平気」と武勇伝っぽく話してしまったようです。
それがクラスに広まり、「濃厚接触者でもヤバいらしいよ」など、何の知識もない子どもの間で変な噂となり…それが無視や「触らないで」などのいじめにつながってしまい、現在その子は不登校になってしまったようです。〔Sさん、子ども11歳、6歳〕

・溶連菌で3日間休んだだけなのに、「コロナ」だとはやしたてられた
小学2年の娘のクラスで、3日間ほど休んだ子がいました。溶連菌だったのですが、登校した途端「コロナだったんでしょ?」と騒ぐ子たちがいて、あっという間に「コロナだ!コロナだ!」となってしまい、中には避けたり小突いたりする子もいたようです。
先生がしっかり叱って、きちんと説明したのち、騒いだり酷いことをした子たちは謝ったようですが、陰で言っている子もいたそう。休んでしまった子は、いまだに学校に来れたり来れなかったりを繰り返しているようです。
「私はどうすればいいんだろう…」という娘には、「来たときに普通に一緒に遊べばいいんだよ」と伝えていますが、悲しく難しい問題です。〔Hさん、子ども7歳〕

大人の間にも「コロナ差別」はある


いじめは子ども間だけではなく、ママ友や職場、親族の間など大人の中でさえもコロナによる差別やいじめは起こっているようです。

・ママ友から「期間が明けてもしばらく園に来ないで」といわれた
私(医療従事者)がコロナにかかってしまい、ホテル療養をしていました。主人と娘も濃厚接触者にあたるので、しばらく園は休むことにしました。何度かPCR検査をしたのち、保健所からも「もう大丈夫です」というお墨付きをもらったので、やっと登園。保育士さんが「〇ちゃん(子ども)久しぶり!よかったですね!お父さんもお疲れ様」と言ってくれて嬉しく思っていた矢先、園の門のところで待っていた同じクラスのママに(情報通でちょっと変わった人)「あの、奥さんコロナだったんですよね。期間明けたのかもしれないけど、もうしばらく怖いから休んでくれません?」と真顔で言われたらしく、相当ビックリ&ショックだったようです。「いや、妻はこうで、我々も検査受けて…」と説明はしたそうですが、納得していなかった様子。翌日も普通に登園しましたが、「これがコロナ差別か」と悲しかったそうです。〔Kさん、子ども5歳〕

・コロナになったのは主人なのに、会社でまるでバイ菌扱い
主人がコロナにかかってしまい、数日間入院したのち、自宅療養していました。私も主人の療養期間が明けるまで会社を休み、PCR検査を受けたのちに職場に戻りました。一応上司には事情を説明していたのですが、なぜかそれが広まっていて…避けられるまではいきませんでしたが、ちょっとむせて一瞬咳き込んだだけで「ちょっと!コロナ拡散しないで~」と言われたり、私が使った後のコピー機をあからさまに消毒液で拭いていたり。正直、そのときは消えていなくなりたいと思いましたね。皆コロナが怖いのは分かりますが、それはないよな~と…真剣に異動を考えています。〔Uさん、子ども10歳、8歳〕

・同居の義母からの差別
誰もコロナにかかっていないのに、主人と私が電車に乗って通勤しているというだけでバイ菌扱い。近寄らないで、帰ったら全身消毒液を吹きかけて、お風呂も義母より先に入ってはダメ、料理は別々…これも立派なコロナ差別!!
でも、保育園に行ってる子ども(孫)や、買い物とか美容院に行っている自分(義母)には甘い。なにこれ!!(怒)まあ、私だけじゃなくて自分の息子(主人)にも厳しいから、ギリギリ耐えられますが…〔Eさん、子ども3歳〕

コロナいじめに対する取り組みはあるの?


令和2年8月には、文部科学大臣から「新型コロナウイルス感染症に関する差別・偏見の防止に向けて」のメッセージ発表されたり、新型コロナウィルス‟差別偏見をなくそう″プロジェクトが発足するなど、国がいじめや差別に対する取り組みを始めました。
学校や企業単位でも、対策や取り組みを行っているところも増えているようです。

・学校で取り組んでいることとは
文部科学省は、差別や偏見をなくすための、授業で使える内容の動画や授業に活用できる教材、保護者向けのプリント(お便り)のセットなどを作成し、学校の申し込みに応じて配布しています。
動画は、新型コロナを「病気」「不安」「差別」という3つの側面から捉え、どうやったらその悪しき連鎖を断ち切れるのかを子どもたちに考えさせる、という内容になっています。視聴後、感染した人や濃厚接触者、感染者と関わる人たちとどのように接するべきかを、ワークシートなどを使って学びます。

・企業ではどのような取り組みが行われている?
社会人間でも、「回復しているのに出社を拒否される」「(勤務先の)病院で感染者が出たことを理由に、子どもの保育園等の利用を拒否される」、最悪の場合「感染したことを理由に解雇される」ということも起きています。
‟特措法改正″では、感染者やその家族、医療従事者等の人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることのないよう、偏見や差別を防止するための規定が設けられました。国や地方公共団体などが実態把握や啓発活動を行っていますが、小さな差別への対応はなかなか難しいのが現状のようです。

目に見えるあからさまな差別や偏見はもちろん辛く悲しい、許されないことですが、ネット社会の現代、感染者や濃厚接触者の個人名や住居、行動などを特定し、SNS等で公表・非難する風潮も広がっています。コロナによるいじめも非難も差別も、「ウィルスという見えない敵への不安から、特定の対象を‟見える敵″とみなし嫌悪の対象とする」心理から生まれるという説もあります。
国がメッセージを発せねばならないほどいじめや差別が蔓延しているのはとても悲しいこと。「いつ自分がその立場になるか分からない」「かかりたくてかかった人なんていない(緊急事態宣言下に飲み歩きまくったり、県をまたいで出かけまくった人はちょっとダメですが…)」のです。ほんの少しの想像力を巡らせれば、いじめや差別はなくなっていくはずです。

参考:厚生労働省ホームページ
参考:日本赤十字社ホームページ

田崎美穂子

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