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2022.08.15

将来グローバルな子どもにしたいママたちへ!米国の高校生と交流できるプログラムを紹介



ひとくちにグローバル化といっても、言葉の壁を超えるだけではなく、異文化を知ること、どこでも生きていける力を身につけること…など、取り組むべきことは多岐にわたります。「グローバルに対応できる力やスキルを身につけてほしい」今の時代、そう願わない親はいないのではないでしょうか。その反面、「そのためには何をしていいか分からない…」と思っている親がほとんど、という現状もあります。
今回は、わが子をグローバルに育てたいと願う保護者の意見、そして日米の高校生がさまざまな交流を通して異文化を学び、将来の国際的なリーダーを目指すプログラムがあるので紹介したいと思います。

将来子どもをグローバルに育てたい保護者が多数!


近年よく耳にする「グローバル化」。そもそもどういう意味なのでしょうか。
文部科学省よると、

「グローバル化」とは、情報通信技術の進展や交通手段の発達による移動の容易化、市場の国際的な開放等により、人、物材、情報の国際的移動が活性化して、様々な分野で「国境」の意義があいまいになるとともに、各国が相互に依存し、他国や国際社会の動向を無視できなくなっている現象

と定義されています。つまり、国境や地域という隔たりがなくなって、国や国際社会の動向を無視できなくなっている状況といえます。そんな中、「我が子をグローバルで通用する人に育てたい」と思う親がほとんどといっても過言ではありません。我が子をグローバルに育てたいと思っている保護者の意見を聞いてみました。

まずは言葉から
ここ数年、家の近所に外国人が多く住むようになりました。道を聞かれても、しどろもどろで答えられないこともしばしば。夫婦そろって英語がぜんぜんできないので、せめて子どもには英語でいろいろな人と会話できるようになってほしいと、2歳から英会話の習い事をさせています。それを機に、私も独学で英語の勉強を始めました。まずは言葉から、だと思います。〔Uさん、子ども7歳〕

未来への投資
英語が話せるだけでなく、異文化を受け入れたり、他国の生活習慣に慣れてほしいなどの国際的感覚を身につけさせたいと思い、授業料は高いですがインターナショナルスクールに通わせています。本当は海外移住したいと思っていましたが、それは無理なので。子どもたちにはどこに行っても生きていける力を養ってほしい、そういう信念で子どもたちの将来への投資のつもりです。〔Iさん、子ども8歳、6歳〕

今はまだ何もしていないけど…
子どもがまだ小さいので、今は特に何もしていませんが、保育園にも何人か外国の方がいて、すでにちょっとしたグローバルな環境に身を置いている感じです。このまま壁を感じず、他国に人や文化に触れて育ってほしいと思っています。小学校に上がったら英語を始めたり、留学制度がある中学校や高校に進んでほしいとも考えています。もちろん、本人の意思を尊重しつつ。〔Tさん、子ども3歳〕

米国の高校生と交流できる「AIG外交官プログラム」って?


ここでは、AIG 損害保険株式会社が「世界を舞台とした多様な集団の中で、柔軟な対応やリーダーシップを発揮できる人材となれるような機会を提供したい」という思いで発足したAIG外交官プログラムについて、担当者さんに伺いました!

AIG外交官プログラムとは
日米の高校生の異文化交流を促進する目的で誕生したプログラムです。1987年にAIG損害保険株式会社が企業市民活動の一環として、日本の高校生をニューヨーク、ワシントンDC、米国大学等に派遣する「高校生外交官渡米プログラム」を発足。1994年からは米国の高校生を日本に招聘(しょうへい)する「高校生外交官日本プログラム」を開始。ディスカッション、文化の学習や相手国の高校生との共同生活などを通じて、「国際教養を学ぶ体験学習」「他者理解と自己理解を促す学習」「将来なりたい姿を考えるなどの機会」を提供し、グローバル人材の育成を目的としています。今年は34回目を迎え、累計4,000人以上の高校生がこのプログラムに参加しています。

・AIG外交官プログラムのミッションとは
高校生外交官プログラムでは、「プライド」「リスペクト」「チャレンジ」という3つの姿勢を重要視しています。プログラム中のミッションを通じて、自分自身を理解し、プライドを持ち、多様な他者を受け入れリスペクトし、常に新しいことにチャレンジしていく姿勢を持ち続けていける。これこそが、世界を舞台とした多様な集団での対応やリーダーシップを発揮できる人材となる機会を提供できる、本プログラムの価値と考えています。

AIG外交官プログラム参加者の声を聞いてみた


実際にAIG外交官プログラムに参加した高校生のリアルな声や、その後の活躍などを紹介します。プログラム終了後も関わった相手国の人と連絡を取り合ったり、そのままグローバルな人生を突き進んでいる方が多くいるようです。

10日間でも濃密でグローバルな友情が生まれる
同世代の高校生との10日間ほどの共同生活を通じて、最終日には生涯の友人ができたとハグして、泣きながらルームメイトとお別れをしていたのが毎回印象に残っています。プログラム終了後も、毎週オンラインビデオで話しているという参加者もたくさんいます。〔プログラム主催者談〕

単身米国でオーディション!
AIG外交官プログラムの卒業生で、現在ブロードウェイ俳優をしている日本人女性のワークショップと講話がありました。そこで「Sky is the Limit:可能性は無限大」という言葉が紹介されました。英語を母国語としない日本人が単身、米国でオーディションを受け続け、ブロードウェイ俳優の夢を実現したことに感銘を受け、その後多くの参加者がこの言葉を口にして、将来の夢や進学に挑戦する、と語っていました。〔プログラム主催者談〕

・「相手を思い、尊重する」ことは国を超えたコミュニケーションにつながる
行く前は、全く英語に自信がなかったし、皆とコミュニケーションが出来るのか不安で一杯でした。頑張って話しかけようという気持ちはありましたが、実際できたかというと、できなかった気がします。そんな私でも“相手を想う、相手のことを尊重する”ことはできるし、今までもやっていたことだったと思う。けれど誰よりも相手のことを想い、誰よりも相手のことを尊重することができた時、それは国を超えてどんな相手にも伝わり、それはコミュニケーションにもつながる。この13日間で何度もそう思うことができました。新しく得るために努力するべきこともたくさんあるけれど、今までの自分の中にあったものが認められ、自信につながった、そう思えた、これは私に残された大切なものの一つです。
〔2019年度参加者〕

オンラインで海外交流も!


いまだ終息を見せないコロナ禍。実際の交換留学がまだまだ難しい今年度も、AIG外交官プログラムでは数日間にわたり特別プログラムがオンラインで開催されました。英語を用いて、さまざまな分野にわたるディスカッションが行われ、国際人として生きていくために必要な視野を拡げる充実したプログラム内容となりました。BRAVAでは、7月28日に行われた被爆者小倉桂子さん(広島在住)による英語での体験講話および高校生との平和ディスカッションを取材させていただきました。

原爆投下から今年で77年。当時8歳で被爆した小倉さん、被爆地は爆発の中心地から2.4km離れた自宅付近の路上だったそうです。たった1日で破壊された街、多くの死者が出た惨状の中での体験を、地図や写真、油絵などを用いて話されていました。原爆が落とされる前から爆弾が度々落とされていて、サイレンが鳴ると防災頭巾を頭にかぶり、泣きながらシェルターに逃げる恐怖の日々、原爆投下により助けを求めるゾンビのような人たちが神社に集まっていた悲惨な光景…。
終戦後、世界では水爆の開発が進められており、1957年に初の原爆被爆者の会ができました。その当時は原爆や水爆を多くの国が保持しており、それに対して自分はなにができるかということを常に考えていた、といいます。現在約32万人の名前が広島の平和記念公園のモニュメントに記載されています。
もう二度とこのような悲劇を起こさないようにという想いを込めて、このディスカッションをきっかけに若い世代にこの悲劇を伝え、これから平和な世界を作っていってほしい。そのためには若い人は戦争を知ること、学び続けること、自分に何ができるかを考えることが大切だと、とても流ちょうな英語で語りました。

講和後の質疑応答では、アメリカの高校生から「被爆体験をアメリカの人に話すと、どのような反応をもらうか」という質問に対し、小倉さんが

アメリカの人に被爆体験話すと「アメリカ人が憎いですか?」と聞いてくる方もいます。私自身、原爆そのものと原爆を投下することを決断したリーダーのことは憎んでいますが、アメリカ人が憎いという感情はありません。中には涙を流しながら、「ごめんなさい」と声をかけてくれる方や、「そんなことが実際に起こっていたなんて知らなかった」と伝えてくれる方もいました。原爆はその場で命を落とすだけでなく、被爆で放射線による健康被害の後遺症で悩む方も多くいるし、街自体も放射線被害を受けてしまいます。私は絶対に原爆を使ってはいけないと考えているし、今後もし世界のリーダーたちが原爆を使おうとする際には、あなたたちには何とかしてリーダーたちを止めるよう、考えて行動してほしいと願っています。

と回答したのが印象的でした。
そのほかにも日本、アメリカそれぞれの高校生から興味深い質問が出され、それに対して丁寧に分かりやすく答えていました。参加した高校生一人一人が何かを感じ取り学び、「自分が未来につなげていく」と気持ちが奮い立ったのではないと思います。

AIG外交官プログラムは、日本全国約5000の高等学校への募集案内に加え、ホームページやSNSでの紹介、加えて昨年はオンラインでの説明会を実施しました。訪問国でのツアー、ホームステイ、同世代の高校生とのエクスチェンジ(共同生活)の3つのパートで構成されたこのプログラムは、毎年高校生が参加したくなるような楽しく学びの多い内容に改善しながら、今後も長く続けていくそうです。
「もう子どもが大きくなってしまって、いまさら何を始めていいか分からない…」という方は、このようなプログラムに参加してみるのもいいのでは。子どもの人生のいいターニングポイントになるかもしれません。

 

取材協力/AIG高校生外交官プログラム / AIG High School Diplomats

田崎美穂子

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