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2026.04.08
5 歳を過ぎてもおねしょが続く場合は「夜尿症」の可能性あり!医学的に正しい対応で子どもと家族の心身を守る!
子どもの成長過程で避けては通れないおねしょ。「そのうち治るでしょ」と多くのママやパパが考えているのではないでしょうか。
しかし5歳以降も続くおねしょは、「夜尿症」という医学的な疾患かもしれません。
しかも驚くべきは、夜尿症が子どもの睡眠の質、学業成績、不安やうつのリスク、そして自尊心に直結していることが、最近わかってきているのだとか…!
それにも関わらず、夜尿症は医療機関への受診率が低く、適切なタイミングで医療につながっていない現状が指摘されています。
そんな中、フェリング・ファーマ株式会社は、おねしょに悩む子供への寄り添い方や、夜尿症との付き合い方への理解を目的に、専門医による啓発セミナーを開催しました。
夜尿症と睡眠との関係性から、夜尿症治療が神経発達症支援の糸口となり得る可能性についてまで、最新の情報をご紹介します!
便秘がおねしょの原因に?!知っておきたい夜尿症知識

昭和医科大学横浜市北部病院の池田裕一先生は、30年以上の夜尿症診療経験を基に、夜尿症の基礎知識から治療の実際までを伝える講演を行いました。
夜尿症は5歳以降で月に1回以上の睡眠中の尿もれが3ヶ月以上続く状態として定義されていて、有病率は5歳で約20%(5人に1人)、10歳でも5〜10%(10-20人に1人)が該当するそう。
自然治癒率は年間約15%であるため、残りの85%は継続的な治療や経過観察が必要だそうです。
夜尿症の原因とメカニズムについては、①睡眠中の尿量が多い(夜間多尿)②膀胱容量が小さい③尿意があっても覚醒できない、の3つの主要因が挙げられるそう。
これらの要因が単独または複合的に作用して夜尿症を引き起こします。
特に夜間多尿タイプが患者の6〜7割を占め、この場合は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌不足や就寝前の過度な水分摂取が原因となるそうです。
関連疾患として、池田先生は便秘の重要性を強調。直腸に硬い便が蓄積することで膀胱が圧迫され、尿漏れの原因となることがあり、便秘治療だけで夜尿症の1〜2割が改善すると報告しました。
治療の実際について、池田先生は段階的なアプローチを説明。
まず生活指導(夕食後の水分制限、就寝前排尿、冷え対策、便秘改善)を行い、これだけで約2割の患者が改善するそう。
効果が不十分な場合は、薬物治療やアラーム療法を実施し、さらに必要に応じて併用療法を検討するという治療ステップへ。
このような積極的治療により1年で約50%、2年で約72%、3年で約85%の患者が改善。これは自然経過(年間約15%の改善)と比較して大幅に高い治療効果を示しています。
しかし、現実には35%の患者が未受診な現状があることを問題視しました。
夜だけの問題じゃない!夜尿症が子どもの昼間の生活に与える深刻な影響

夜尿症の子供は一般的に「眠りが深い」と思われがちですが、実際には睡眠の質が悪く、覚醒回数が多く、睡眠効率が低下していることが研究で明らかになっているんだとか!
これにより日中の眠気や朝の起床困難が生じ、学校生活や友人関係の質の低下につながることを池田先生は指摘しました。
生活の質調査では、夜尿症の子供は健常児と比較して社会的・学校生活のスコアが有意に劣っており、特に友人関係において強いQOLの低下が認められるんだそう。
また、夜尿症の子供の約半数に学業成績の低下が見られ、これは慢性的な睡眠不足による長期記憶や短期記憶の学習効率低下、心理的負荷による学校への適応困難が原因と考えられるんだそうです。
自尊心への影響については、池田先生は自己評価の低下、羞恥心、他者への不信などが生じるものの、治療により回復可能であることを強調。治療前後のQOL比較では、夜尿症の改善の有無に関わらず、治療に取り組むこと自体が患者と家族のQOL向上につながることがわかっているんだそうです。
神経発達症の子どもの 2〜3 割が夜尿症!発達支援の入口としての夜尿症診療

順天堂大学医学部附属浦安病院shosjshounikashounika小児科の呉宗憲先生は、神経発達症を併存する子供における夜尿症診療の意義について講演しました。
呉先生は、夜尿症診療が「何を治しているのか」という本質的な問いから始め、夜尿症は命に関わる疾患ではないものの、心理社会面に与える影響が大きいと主張。
夜尿症が子供に与える心理的外傷について、いじめよりも高い心理的外傷を与えるという報告があることを紹介し、夜尿症の存在自体がトラウマティックな側面を持つこともあるのだとか。
また、夜尿症を抱える子供の自尊感情が著しく低下し、治療により回復することが報告されているのだそうです。
保護者への影響については、夜尿症を抱える子供の親の約8割がストレスを感じており、その原因として片付けの大変さ、子供の治療意欲の欠如、子供を叱ってしまうことへの後悔などを挙げました。
夜尿症を理由に叱った後、約75%の保護者が後悔しているという調査結果を示し、親子の悪循環モデルが形成されていることを指摘しました。
呉先生は、夜尿症治療の本質的目的として、社会的障壁の除去だけでなく、治療に取り組む過程で自尊心が保持され成長が後押しされることが最も重要であるとし、この観点から、夜尿症診療は子供の発達支援において重要な役割を果たすことができると述べました。
神経発達症との関連については、まずADHDの子供は定型発達児と比較して昼間尿失禁が4.5倍多く、約2割に夜尿症を認めるのだそう。

ASDの子供では16〜75%に夜尿症を抱えているという報告があり、その原因は中枢神経系の問題、睡眠障害、行動特性など多種多様で複合的であるといいます。
神経発達症の特徴を持つ子供の夜尿症は治りにくいものの、治療する意味は大きいといい、治療目標を「夜尿症が治ったか」ではなく「治療構造の確立」や「自尊感情の保持」に設定することで、治りにくくても治療する価値があることを強調しました。
治療により改善できる疾患である夜尿症。しかし、より重要なのは治療に向けて親子で一緒に取り組む過程で、子どもの自尊心を守り、親も安心を取り戻すことにあるのではないでしょうか。
気になる症状があるなら、医療機関へぜひ相談を。家族みんなが前向きになれる一歩を踏み出してみてくださいね。

森田文菜
スタイリスト/ファッションライター





