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2026.05.13

冷蔵庫の中に財布、バッグにリモコン……「アルツハイム921号室」で気づく”年のせいじゃない”サイン


2026年5月10日(日)、イオンモールナゴヤドーム前にて、日本イーライリリー株式会社が主催するアルツハイマー病啓発イベント「年のせいじゃない”もの忘れ”展」が開催されました。全国50か所での展開を予定するこのイベントの名古屋会場では、一宮西病院 脳神経内科 医長の栗田尚英先生が登壇。トークセッションと、ステージ上に再現された「アルツハイム921号室」の探索を通じて、来場者がアルツハイマー病の初期症状を体感する時間となりました。

アルツハイマー病とは?

アルツハイマー病は、認知症全体の約7割を占める最も多い原因疾患です。65歳以上の認知症の当事者は2022年時点で443.2万人、2030年には500万人を超えると推計されています(厚生労働省「令和6年版高齢社会白書」より)。

原因のひとつとされるのが、「アミロイドβ」というタンパク質です。栗田先生によると、このアミロイドβは症状が現れる15年から20年も前から脳に蓄積し始め、やがて脳の機能に影響を及ぼしてアルツハイマー病の発症につながるといいます。近年はアミロイドβを除去して進行を抑える薬も登場しており、早期発見の重要性がこれまで以上に高まっています。

「思い出せるかどうか」が分かれ目

トークセッションは、来場者に配布された2種類の冊子を使いながら進行しました。栗田先生はまず、加齢によるもの忘れとアルツハイマー病によるもの忘れの違いについて触れ、「俳優の名前を一瞬忘れても後で思い出せるのは加齢の範囲。一方で、数時間前や数日前の出来事そのものを丸ごと忘れて、思い出そうとしても出てこない場合は、年のせいではない可能性があります」と説明しました。

冊子を使った質問コーナーでは、まず3つの言葉を覚えてもらい、別の質問を挟んだ後に再び思い出してもらうという流れで進みました。栗田先生によると、この「少し時間が経った後の記憶」——近時記憶——は、アルツハイマー病の初期段階で特に影響を受けやすいとのこと。日常生活では「買ったものを忘れてまた買いに行く」「昨日の夕食が全く思い出せない」といった形で現れるといいます。

もの忘れだけではない!意欲の変化にも注目

セッションの中で栗田先生が強調したのは、アルツハイマー病は記憶の問題だけにとどまらないということです。トークセッションでは「ぼーっとすることが増えた」「趣味や人付き合いが少なくなった」「身だしなみが以前より気にならなくなった」など、ご本人よりも周囲の人が気づきやすい変化についても取り上げられました。

栗田先生はこうした変化を「アパシー」と呼び、「元々趣味で色々していた方が急にやらなくなったり、地域のイベントに参加しなくなったりする症状は、認知症の初期段階から出てくる可能性があります」と解説。一見すると心の問題にも見えるこれらの変化が、実はアルツハイマー病の兆候であることもあるという指摘は、多くの来場者にとって新鮮だったのではないでしょうか。

部屋の中に散りばめられた”違和感”を読み解く

トークセッションの後半では、ステージ上に組まれた「アルツハイム921号室」を、栗田先生が歩きながら解説していきました。

冷蔵庫を開けると、同じ味噌が3つ、ケチャップやマヨネーズも重複して入っています。さらに本来入れるはずのない財布や、冷凍庫に入れるべきアイスが溶けた状態で冷蔵庫に。栗田先生は「冷凍庫に入れるものを冷蔵庫に入れてしまうのは手順の障害のひとつ。財布が冷蔵庫にあるのも、置くべき場所がわからなくなっている記憶と遂行機能の障害のサインです」と語りました。

テーブルの上には同じ花が何束も飾られ、壁や冷蔵庫の扉には同じ内容のメモが何枚も貼られています。栗田先生は「書いても覚えられないから、メモがどんどん増えていくんです」と説明しました。

バッグの中に入れられたリモコン、部屋のあちこちに置かれた月のずれたカレンダー、編みかけのまま放置された毛糸——ひとつひとつは些細に見えても、それぞれが記憶障害や見当識障害、遂行機能障害、意欲の低下といった異なる症状を映し出しています。

「少しでもおかしいと思ったら」

イベントの最後に、栗田先生はこう呼びかけました。「アルツハイマー病は誰にでも起こりうる病気です。昔は見つけても治療の手立てが限られていましたが、今は進行を抑える薬も出てきています。そのためにも早めに気づくことが大事。少しでもおかしいと思ったら、かかりつけ医に相談したり、気軽に脳ドックを受けてみてください」。

 

もの忘れ・アルツハイマー病ナビ

https://disease.jp.lilly.com/alzheimers


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