2015.08.27
退職を決意したら知っておきたいこと
出産で退職・・・準備は万端に!
先日、2人目の出産で、8月末に退職予定の友人(32歳、メイクアップアーティスト、子ども2歳)から電話があり、「もうすぐ退職なんだけど、小さい会社で、人事担当者が全然手続きをしてくれない。どうしよう・・・」という相談電話がありました。
私自身も、人事の仕事はしたことがないので一緒になって「どうしよう!」とオロオロしたのですが、その時に調べて分かったことを、まとめてみました。
出産前に辞めると損だが、将来のキャリアのための選択も
友人の場合、第1子出産時は、産休・育休(1年)を取得して、職場復帰しました。しかし、職場の同僚は独身女性ばかりで、子の発熱による遅刻・早退などが続き、その分をカバーする同僚らから嫌みを言われるようになり、今回第2子出産時の退職を決意したそうです。
退職の相談を受けた際に、会社員の場合、産休中には健康保険から「出産手当金」が支給され、育児休業中に雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるため、「勿体ないし、金銭的には損になるから産休・育休を取ってから判断したら?」と話したところ、将来的に同じ業界に戻ってフリーで働くことも考えているため、「産休・育休手当をもらって復職後また迷惑をかけたり、復職せずに辞めるマナー違反はしたくない」とのことでした。
いろいろな理由で出産を機に退職する人がいるかもしれませんが、彼女の場合は、「目先の利益よりも将来の自分のキャリア(評判第一の狭い業界仕事)を取った」ことのようです。
辞める時は「立つ鳥跡を濁さず」をモットーに!
ところで、まず、妊娠や出産で仕事を「辞める」と決めたら、なるべく早めに上司に「相談」の形で意思表示をしましょう。もしかしたら、「こういう仕事は免除するから働き続けてもらえないか?」や、「こういう部署に異動したらどうか?」という話があるかもしれません。
自分だけで決めずに、ママとして働く同僚(がいれば)に相談してみても良いかなと思います。
それでも「辞める」という決心をした時には、上司のほか、細々とした手続きをする「人事担当者」に丁重に説明して、退職までの円満な道のりを確保するのが大切かと思います。
上司や人事担当者をクリアしたら、次は同僚(後任)です。
特に年度途中の繁忙期に辞める場合は、事前に仕事の進捗状況など、可能な限り分かりやすく、細かく引き継ぐか、後任がいない場合は、誰が見ても分かるようなマニュアル書を作成しておきましょう。
こうしておくと後々まで感謝されること間違いなし!あまりひどい辞め方をすると、再就職時に新しい会社の人事担当から前会社に書類関連の確認をした際に『彼女は雇わない方がいいですよ』という話がいったりすることもある(←実話)ので要注意!
妊娠や出産で退職する場合、もしかしたら会社に言いたいことや、不平や不満もあるかもしれません。でも辞める時には本音を言うと要らぬ波風が立つことが多いので、嘘でもいいから「自分自身の成長のため」や、「育児に専念したいので申し訳ありません」といった理由で、謙虚かつ爽やかに辞められることをオススメします。
辞める時に返すもの、受け取るもの
会社によって違いますが、一般的に退職時に返すもの、受け取るものを以下に挙げてみました。
【退職時に返すもの】
○会社の健康保険証
○社員証、名刺など
○通勤定期(現物支給の場合)※会社によっては別の手続きも。
○会社の資料、データ等
○文具類、制服・作業着など会社から支給されたもの
【退職時に受け取るもの】
○雇用保険被保険者証
○年金手帳
○源泉徴収票(所得税の年末調整時に必要になります)
○離職票
「離職票」は、会社を退職したことを証明する書類で、失業給付の算定基準になる過去の給与支給額などが書かれています。これは、退職当日には受け取れず、退職後10日以内に職安で所定の手続きを取った後に発行されるものなので、後日職場に取りに行くか、郵送してもらう形になります。
退職後の健康保険の選び方
退職時に一番注意したいのは、「健康保険」と「年金」です。
退職するとそれまで加入していた会社の健康保険や厚生年金の資格を失うので、必ず事前に自分に合った加入方法を考えておくようにしましょう。例えば「健康保険」の場合は、
(1)夫の会社の健保被扶養者になる
夫が会社員の場合、このパターンが多いかと思います。被扶養者になったとしても夫の保険料負担額が増えるわけではないのでご安心を。ただ、被扶養者になるには所得制限があり(年収130万円未満)、失業給付を受けている間は被扶養者にはなれませんのでご注意下さい。
(2)退職する会社の健保に任意継続
退職前日までその会社に2カ月以上勤めていた場合は、その会社の健保に任意で加入し続けることができます(任意継続被保険者制度)。保険料(労使折半)は、在職時の会社負担分も自己負担しなければならないのですが、出産がからむと場合によってはお得になります。
通常、健保から支給される出産育児一時金は42万円ですが、会社によっては独自の付加給付が数十万円つくところもあります。そのため、計算してみて、どちらがお得か考えてみると良いかもしれません。
(3)国民健康保険に加入する
夫がフリーランス(自営)だったり、失業保険受給中だったりする場合、こちら選ぶ方が多いと思います。
国民健康保険は、市町村が運営しているため、保険料の決定方法もそれぞれ異なります。まずは市町村の窓口で問い合わせて、退職前に「保険料がいくらになるか」を確認しておくのがベストです。
年金は、夫が自営か会社員/公務員かで異なります
年金については、夫が個人事業主、自営業やフリーランスの場合は、1号被保険者になりますので、退職後に専業主婦になる方は、自分で国民年金に加入して、第1号被保険者として保険料を払って、将来年金を受け取ることになります。
また、夫が会社員か公務員の場合は2号被保険者になるため、退職後専業主婦になる人は、3号被保険者になり、保険料の負担をすることなく国民年金相当の年金を将来受け取ることができるため、自営業の妻よりもお得な感じになります。
産後に求職活動をする人は・・・
産後に再就職を考えている方は、失業給付の受給期間延長の手続きも忘れないようにしましょう。
そして求職活動を始める時に改めて失業給付申請をします。詳しい手続きについては、最寄りのハローワークで詳しく教えてくれます。最近は、お母さんが子連れで行ける「マザーズハローワーク」や「マザーズコーナー」(詳しくはこちら)などが各都市で整備されてきているので、どんどん活用してみて下さい。
いかがでしたでしょうか? 働きながら、いろいろ時間がないことも多いかと思いますが、金銭も絡む話なので、きちんと前もって準備できると良いですね。