2015.10.04
【時短勤務】給料減額なのにフルタイム時と業務量変わらず… 働くママが下した決断とは?
ワーママの皆さまは、子どもが生まれる前と後で働き方は変わりましたか?
もしくは変えましたか?
私の場合は、子どもが生まれる前は、常に人手不足の小さな職場でサービス残業当然という世界で働いていました。
復職後は2年近く時短勤務(9:00〜17:00)で働き、つい最近フルタイム(8:30〜17:00残業なし)になりました。
キリギリスな貯金ゼロ人生
子どもが生まれるまで、私の手元には「時間」や「自由に使えるお金」がありました。
そのため、当時はあまり「労働時間」や「給料の額」について深く考えたことはなく、当たり前のように遅くまでサービス残業をして、たまに夫や友人たちと飲んだり遊んだり、旅行したりできる程度の給料がもらえればそれで幸せでした(もちろんキリギリスなので、貯金はせず・・・)。
そんな私が真剣に「労働時間」や「給料」について考えるようになったのは、思いがけず子どもが生まれてからです。
復職後は時短でがむしゃらに
復職後は時短勤務でしたが、私が休んでいた半年の間に1人辞めて補充もなく、与えられる業務量は産前と変わらなかったため(かえって増えた・・・)、「いかに産前と同じ業務量を短時間でこなすか」を最優先にして、昼休憩もほとんど取らず、談笑する同僚たちを横目に、時間になると職場を飛び出す日々でした。
でも、そんなにして頑張っても「時短勤務で減った手取り額」から「保育料(認可に入れず認可外で高い・・)」などを差し引くと、手元に残るお金はごくわずか・・・。
何のために働いているんだっけ・・・。
ああ、時間やお金ってすごく大切だったんだなあ、と改めて思いました。どちらも湯水のように無駄遣いしまくっていましたよ、とほほ・・・。
残業なしフルタイムへ
そんな中で先日、男性同期が出世しました。残業も厭わず、上との飲み会にも欠かさずに参加し、人当たりも良く、会社側としても妥当な判断だと思います。
でもその前の段階では、じつは私の方が彼より出世で一歩リードしていました(出産して半年だけ育休をもらっているうちに抜かれました~)。
別に出世したいわけではないのですが、自宅への持ち帰り残業、休日出勤をしながら産前と同じ量の仕事をこなしても、やっぱりそれほど評価はされなかったなあとしみじみ思いつつ、それならそれで、「時短勤務で給料が減った分だけ、業務量も減らして欲しい」と思ったりも・・・。
直属の上司が信頼して産後も変わらず重要な仕事を任せてくれるのは非常にありがたく、「このご時勢、仕事があって、(安くても)お給料が頂けるだけでありがたい」ということも頭では分かっています。
でも、自分が働く小さな職場をふと見渡すと、上層部は全員男性、女性社員は全体で4分の1しかおらず、しかも年齢が上がるにつれて徐々に減っていき・・・。
という現実を改めて認識した結果、今月から「残業なしのフルタイム勤務」に戻しました。
今では持ち帰り残業も避けて、「明日できることは明日やる」がモットーです。
もともと、急な病院の受診等に備えて30分余裕をみていたので、フルタイムにしたいま、子どもを保育園に預ける時間が変わることはありませんでしたが、その分、いろいろキツクなりました。 それでも自分なりに「労働時間」と「給料」のバランスを考えた上での決断です。
マミートラックでもファストトラックでもなく
最近はよく報道などで「マミートラック(Mammy Track、ママ向けコース)」という言葉を聞きますが、その意味をご存じでしょうか? 霞ヶ関のお役所定義では、「子育て中に重要な仕事が経験できず、その後もキャリア形成ができない状態」のことをいい、解決すべき問題とされています。
対語に「ファストトラック(Fast Track、出世街道コース)」という言葉がありますね。
もちろん世間には、結婚して子どもを生んでも、幹部候補の男性と同じく長時間働き、ファストトラック(出世街道)を駆け上がるバリキャリ女性もたくさんいます。
上野千鶴子先生は、著書(女たちのサバイバル作戦)の中で「日本のワーキングマザーは、いわゆる“マミートラック(お母さん向けコース)”に入って二流の仕事しか与えられないか、男と“機会均等”に戦って体をボロボロにするかの二択しかない」と、述べていますが、
私の場合はどちらのコースもたどれず、独自路線をひた走ることになりました。
でも、考えてみると、会社員のワーママさんの中は、こうした「フルタイム残業なし(減給なし)」の働き方を選んでいる人も多いのではないでしょうか。
クールダウン、そして、うまずたゆまず
最近のこうした気持ちの変化や働き方などについて、先輩ママの同僚に話したところ、
「こんなチッポケな会社で頑張って出世したってどうってことない。それよりも頑張りすぎて燃え尽きて辞めちゃう女性社員の方が多いんだよ」というアドバイスをもらいました。
私はその言葉で、一気にクールダウンして、気持ちが落ち着きました。
確かに、フルタイムに戻す前には、「こんなに頑張っても報われないなら、いっそ辞めてしまおうかな」とか、「転職しようかな」などということが、頭をよぎったりもしました。
そして、改めて小さな子どもがいながら「働き続ける」というのは、母であり、(妻であり)、職業人であることのバランスを、「うまずたゆまずとり続けていく」ということでもあるのかなと思いました。
ところで、この「倦(う)まず弛(たゆ)まず」は、75年前に出版された宮本先生の一文から頂きました(女性と職業について、戦前から現在にいたるまでこれほど変化がないとは・・・)
<1940年出版 宮本百合子『若い娘の倫理』より>
職業をもち、そこで成長してゆきたい欲望と、恋愛し、結婚し、母となってゆきたい欲望とは、本来女の生活力の綜合された二つの面として実現されてゆくべきだのに、周囲から女への要求が、二つを綜合した自然な内容で出されることは実に稀有の例外でしかない。
(中略)自分のおかれている現実をよく見て、それを理解して、その中からうまずたゆまず自分がこうと思う方向へ根気よい爪先を向けて生きてゆく。そのことに自信を培うしかない時が来ているのだと思うがどうだろう。