2015.10.29
【平和って?】小さな物語たちが、あなたを幸せに導く
読み聞かせ好きなママが教える
子どもにも伝えたい、宝物のような寓話集
「Pot with the Hole 穴のあいた桶」
プレム・ラワット著
寓話(ぐうわ)って知っていますか?
人間の生活に馴染みの深いできごとを、比喩によってみせて諭す物語のこと。名指しされることのない登場人物は、動物や自然などに擬人化されています。
道徳的な意味合いを含んだ物語が多く、日本で寓話的表現をする代表的な作家としては、宮沢賢治や星新一などが有名です。
でも、あまり寓話に馴染みのある人はいないのではないでしょうか。
わたしもこの本に出会うまでは、寓話の持つ力の素晴らしさに気が付けずにいました。
本著は、著者が40数年間行ってきた講演で話した寓話をまとめた本。
「Pot with the Hole 穴のあいた桶 」という、ちょっと不思議なタイトルが付けられています。
穴のあいた桶って?
タイトルにもある「穴のあいた桶」という寓話を簡単にご紹介します。
ーーーーー
主人公は、天秤棒の両端についた、ふたつの桶。
桶は、庭師に担がれ、毎日、谷の川から山の上まで水を運んでいました。
しかしある日、ひとつの桶に穴があいてしまいます。
穴のあいた桶は、もう片方の桶に役立たずと言われて悲しくなります。
悲しむ桶に、庭師は言います。
「お前は、私たちが通る道を見たことがあるか?
たくさんの美しい花が咲いているだろう」
と。
穴があいているおかげで、きれいな花が咲いていた。
そして一帯が、見事な花園になっていたのです。
ーーーーー
本著には、このような小さな物語が、たくさんまとめられています。
どれも読み終えたとき、小さな気づきがふっと与えられるものばかりです。
1500万人の心を打った講演家
著者であるプレム・ラワット氏は、世界250都市で講演する講演家です。
2012年には、ネルソン・マンデラ氏や、ヒラリー・クリントン氏と並んで、アジア・パシフィック・ブランド財団より、特別功労賞を贈られています。
彼は幼い頃から、「すべての人の心の中に、生まれながらにある平和」について考え、語り始めたと言います。
平和、というとなんだか厳かなイメージがありますが、そんなに難しいことではありません。
彼の説くお話からは、日常のなかの穏やかな気づきが、やがて「平和」につながっていくイメージを持つことができます。
いずれも、心がとてもリラックスでき、生きていることの喜びや、日々の感謝について深く考えさせてくれるのです。
絵のない「絵本」としても
講演を聞いた知人から薦められた本著ですが、シンプルな言葉使いなので、子どもの読み聞かせにも良さそう。
我が子にも、「絵のない絵本だよ」と読み聞かせてみたら、何かを感じたようでじっくりと聞き入っていました。
桶の話は、バケツに置き換えて読んでみると、オチの描写に「なるほど!」という顔つき。
ほかにも、アリやオウム、カメやネズミの寓話があります。
もしかしたらこの本にある物語たちは、子どもにこそ贈るべきなのかも。
簡単なお話なので、自分のなかで噛み砕いて、子どもに言い伝えていくと良いと思います。
ゆっくりと、人生をかけて味わいたい小さな物語たち。
ぜひ多くの人に知ってほしいと思います。
《お薦めしてくれたワーママ》
3歳児と1歳児の男子を持つライターママ。絵本好きな3歳児に毎日絵本読みをせがまれるも、言い訳のきかない1歳児を横に、なかなかじっくり読み聞かせができていないのが悩み。簡単な寓話を暗記して、読み聞かせならぬ言い聞かせをすると良いかなと思いました。ちなみに桃太郎やサルカニ合戦、かちかち山などの昔話は、暗記して何度も話しています。
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浦和ツナ子
ライター/編集