2015.11.01
その名も「ウーマノミクス課」 埼玉県の女性支援がスゴイ!
「ウーマノミクス課」がある埼玉県の女性就業・起業支援がスゴイ!
今、国が推し進めようとしている「女性の活躍」……このワードを聞くと、モヤっとするワーママも多いのではないでしょうか。
わたしたちの活躍を支援するというのなら、もっと先に整えてほしい社会の風潮や制度がたくさんあります。そんななか、先進的に「女性の活躍」を支援しているのが、埼玉県。県庁に「ウーマノミクス課」が設置され、さまざまな取り組みを実施しているのです。今回は、その埼玉県での取り組みをみなさんにご紹介します!
「働きたいけど働けない」を改善したい!
「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」と題し、平成24年度から、働く・働きたい女性のさまざまな支援を始めた埼玉県。
なぜこのような取り組みを始めたのか――その背景には、「埼玉県では出産を機に離職する女性が多く、30代女性の就業率は全国42位、一方で就業希望率は全国4位」という、「働きたくても働けない」という深刻な状況があったのです。
全体的に生産年齢人口が減少しているなか、能力ある女性が「働きたくても働けない」という現状はよろしくない!ということで、子育て期の女性を中心とした女性の就業支援などを行う、「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」を開始。
そして、平成24年4月に「ウーマノミクス課」が誕生しました。
「埼玉版ウーマノミクスプロジェクト」の取り組みは、大きくわけて3つ。
「働きやすい環境に変える」
「女性の就業・起業を支援する」
「女性の活躍を応援する気運づくり」となっています。
「働きやすい環境に変える」
女性が働きやすい環境をつくるためには、女性を後押しして自信を持たせるだけではどうにもなりません。女性の受け入れ側となる、企業の考え方や雰囲気を変えていく必要があります。
そこで埼玉県は、時短勤務やフレックスタイムなどを取り入れた、多様な働き方を実践している企業の独自認定を開始。
平成27年度内に2000社の認定を目標にしています。この認定を進めることで、多くの県内企業が、「女性が働きやすい環境をつくる」という点を改めて意識する機会につながります。そうしていくなかで、「もっと女性を活躍させたい!」と感じた企業に対しては、専門のコンサルタントやアドバイザーを派遣しています。
そして注目したいのが、「企業内保育所の設置促進」も同時に行っているということ。これを行政側が企業に働きかけ、連携して進めてくれるなんて、素晴らしいと思いませんか?
また、市民に対しては働く女性向けの多様な講座を開催しているほか、男性に対しても働き方の見直し講座を設けています。男性に対しても、というのが斬新でステキです!
「女性の就業・起業を支援する」
埼玉県には、平成20年に開設された「女性キャリアセンター」という施設があります。
ここでは、ハローワークに掲載されているお仕事検索ができるのはもちろん、「仕事やボランティアなどを始めたい!」と思った女性の「面談相談」、自分のキャリアを活かしたいけれど色々条件がある方への「キャリアカウンセリング」や「お仕事紹介」、実際に女性が活躍している現場を体感する「職場体験」などができるほか、「パソコンスキルチェックセミナー」や「在宅ワークセミナー」なども開催。
さらに施設内には託児サービス(1回300円)もあり、「働く」ことに悩んだ女性は、とにかくここへ行けば至れり尽くせりな支援を受けられるようになっています!
「お仕事フェア」や「プチ会社説明会」なども定期的に開催されており、女性たちが企業とその働き方を知るきっかけづくり、そして企業側とのマッチングの機会につながっています。
また、「自ら起業したい!」という女性に向けては、女性の起業支援ルーム「COCOオフィス」を提供。
フリーデスク、個別デスク、打合せスペース、インターネット、コピー機・プリンター、個別ロッカー・メールロッカーが完備されていて、利用料金は月額5,140円とリーズナブル!さらに、女性の中小企業診断士に相談ができるほか、スキルアップセミナーが開催されたり、利用者同士で交流・情報交換ができたりと、こちらも至れり尽くせり!
ここまで書いていて、筆者自ら埼玉県に移住したくなってきました(笑)!
「女性の活躍を応援する気運づくり」
対市民、対企業の細かい取り組みもしながら、全体的な「女性活躍」の雰囲気づくり、そしてPRもしっかり行っています。
企業・団体・個人が「輝く女性応援団」として登録し、個々の活動を通じて独自のウーマノミクスを発信。登録すると、ロゴマークのついたバッジやステッカー、PR名刺などが付与され、継続的な情報発信を行います。
また、「SAITAMA Smile Women フェスタ」を、さいたまスーパーアリーナで開催。女性向け商品やサービスを一堂に集め、出展社・団体数は100以上、来場者数は2万人以上と、大盛況でした。
さらに、それらの情報は「埼玉版ウーマノミクスサイト」に集約され、市民や企業にリアルタイムで情報公開されています。
今国や他自治体が行っているのは、この「気運づくり」止まりになっていることが多いと感じています。
そして、せっかくの取り組みもうまくPRできていなかったり、情報が行き渡っていなかったりすることが、地方では特に多いように思います。
埼玉県のように、市民と企業両社からの問題点を汲み取り、細やかな支援と取り組みができてこそ、「女性の活躍」は推し進められるべきではないでしょうか。
岩﨑未来
フリーライター・エディター