2016.03.10
【東日本大震災から5年】あの日から学び、これからわたしたちが培うべきものとは?
震災から5年
これから未来に向けて
培うべきものはなにか
数ある震災本を読んで…
多くの犠牲者を出した東日本大震災から、明日で5年になります。震災があった年、妊婦だった私は実際の被災地についてどうにかして知ることはできないかと、多くの関連書籍を読みました。
被災直後の人々の動向や現場の空気感が最も伝わってきたのは「遺体/石井光太著」。
抱えきれない悲しみに直面しながらも人間のもつ温かさ触れることができた「ともしび/シュープレス編集」。
今回の震災で知ることとなったソーシャルメディアとの関わり方への覚書としては「検証 東日本大震災の流言・デマ/萩上チキ著」。
大自然を切り取るドキュメンタリー・カメラマンが撮った被災地の空撮写真集「THE DAYS AFTER 東日本大震災の記憶/石川梵著」。
たくさんのレポートや書物から、この震災について自分なりに考えてきました。
そして先日、文庫化されたこの本を読んで「これは震災本として一人でも多くの人が読むべき」と強く思ったのです。
震災についての距離感は人それぞれだと思います。被災した人、東北に親戚や知人がいた人、縁のない人…。
距離感は違えど、日本人として直面した大きな出来事。わたしたちはうろたえながら、どう前を向いていくのか。
深く考えさせられる名著です。
震災によって学んだ、もっとも大切なこと
東日本大震災は、論ずべきテーマが多い、衝撃的な出来事でした。被災地のこと、復興のこと、防災のこと、政治のこと、そして原発のこと。そのどれもが、明確な答えを出せない難しいテーマです。
あの日の衝撃が遠のくなか、それでもずっと論じ続けなければならないと、私は思います。
答えのないテーマが山積みだけれど、大切なことは何なのでしょうか。
池澤夏樹さんは、本著のなかで「災害と復興がこの国の歴史の主軸である」と述べています。
地震大国に生まれ、けっして避けては通れない震災という災害。わたしたち人間は、自然のなかにいるただひとつの存在にすぎません。
自然の脅威、社会の非力を痛感したこの震災によって、私がずっと考えていた「何を考えて、どう進んでいかなければならないのか」という問い。本著には、その標となる言葉がたくさんありました。
本著から学んだのは、抗いきれない「運命を受容する力」を培うこと。これって、一見諦めのようでいて、もっとも真理に近い、災害への答えなのではないかと思うのです。
少しずつ、変化をしていかなければならない
そして、今回の震災で忘れてはいけないのが、福島の原発事故のこと。
これを機に、『「昔、原発というものがあった」という笑って言える時代の方へ舵を向けなければならない』、と池澤さんは言います。
「人々の心の中では変化が起こっている。自分が求めているのはモノではない、新製品でもないし無限の電力でもないらしい、とうすうす気づく人たちが増えている。この大地が必ずしもずっと安定した生活の場ではないと覚れば生きる姿勢も変わる」
これからを生きるのは、わたしたちではない。子どもたちなのです。こどもたちのことを見て、進む方向をどう変えられるのか。
震災から5年経った今、私たち大人は果たしてどんな方向を向いているのでしょうか。
原発や、エネルギーに関することについては、何年、何十年経ったとしても、少しずつ方向を変えて進んでいかなければいけません。そして子ども達に、そんな風に生きる姿勢を示していかなければいけない、と、強く思ったのでした。
今日は、この震災で被災された方々にこころを傾け、これからの生き方を考える日でありたいと思います。
おすすめしてくれたワーママ
独身時代、ルポライターとして活躍。いまもルポタージュやドキュメンタリー、ノンフィクションを読むのが好き。父方の実家が福島にあることから、震災について・原発について、ずっと自問自答を続ける日々のなか、たくさんの震災本を読みました。
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浦和ツナ子
ライター/編集