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2018.12.14

「正義感が強すぎる子供」はイジメられる!?先輩ママの体験談と対処法


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次男が小学校5年生の頃「○○君ってほんと、ウザいんだよな、それはダメ、先生が言った通りにしてない、とかさー、だからグループ分けであいつと一緒になると面倒くさいの」と口にしたことがあります。

それからしばらくして、あるママ友が「うちの下の子、何でもかんでも正しいことを通そうとするみたいで、周囲から浮いてるみたいなの」とため息まじりに相談されました。ふっと次男が話していたことが頭に浮かびました。

「ウザいとかって言われてる・・・?」
「そうなの、このままだと仲間はずれとか、イジメの対象になるんじゃないかって不安なんだよね」

アレコレ悩んでいたようですが、最終的にだんだんとそのお子さんもコミュニケーションの取り方を覚え、うまく友だちと遣り取りできるようになりました。彼女がどう子どもを導いたか、学校との相談なども含めて、その体験談を紹介します。

正義感が強い子の主張がエスカレートしたケース

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ママが不安がった次男くん、仮にA君としましょうか。A君は例えば、こんなことがあったそうです。

●プリント問題を解答を見て書いたという話を友だちから聞いたら、それは「ズルだ」と言い返し、許せないと家でもずっと言い続ける。
●隣の子が授業中にノートに落書きをしていたら大声で注意して、その子とケンカになった。
●掃除をさぼってる数人の子に「なんでやらないの!」と言い、無視されると職員室にいる先生に言いに行った。すぐ言いつけるヤツと言われ「僕が正しいのに!」と帰宅してからも怒っている。

と、このくらいまではママも「Aちゃんが正しいけど、先生みたいな言い方をして注意すると相手もカッとくるからね」と何度かやんわりと諭したようです。

ところが、ママの言葉もあまり耳に入らず、持って生まれた性質といえばそこまでですが、いっこうに変わりません。次第にエスカレートしていくA君の〝頑固な態度〟に彼女も「このままだとよくないかも」と真剣に考えるようになりました。

●上履きを持って帰らない子に気づくと「今日は持って帰る日って先生言ってたでしょ!」と追いかけて話しかける。言い返されても「先生が忘れてる子には注意してあげてね、って言ってたもん!」とさらに言い返し、その子とケンカに。
●休み時間に遊んでいたボールを片付けない子に「ボール戻さないと、もう外遊びできなくなるよ」と言い、そのボールを蹴っ飛ばした子に対して「なんでルールを守らないの!」「先生に言ってくる」と先生のもとへ。その子は帰り道も一緒だったのだが、露骨に一緒に帰るのを避けるようになってしまった。
●グループ学習でいちいち「それは先生の言ってたやり方と違う」「教科書のやり方通りじゃない」と指摘し、全てが指示通りでないとずっと言い続ける。しまいには他の子たちだけで壁新聞を作成してしまい、仲間はずれのような形になってしまった。

この頃になると、A君はどうやらクラスで「面倒くさいヤツ」とレッテルを貼られ、グループ分けや自由に好きな子と座る、なんていう時にはひとりポツンと取り残されるようになったそうです。

ボールの話もそうなんですが、A君の言っていることは正しいんですね。片付けない子が悪いのです。

「でも、その程度のことをやる子はたくさんいるし、見つけるたびに怒っているんじゃ、そりゃ嫌がられるだろうし、あの子自身だっていつも怒ってる状態でストレスたまると思うんだよね」

「かといって、子供の言い分は正しいわけで、何をどう子供に諭したらいいのかわからなくて」

ママの悩みもよくわかりますね・・・。

A君の場合、みんなに避けられていること自体に納得がいかず「僕が正しいのに、みんなが間違っているのに」と帰宅しても憤慨し続けていた。それでは本人も周囲も疲れ果ててしまいます。聞いている母親としては「もう少し、融通がきかないものか」と思うのも無理もありません。

ママがとった対処法とは

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良く言えば「正義感」なのでしょうが、いくら正しいことでも、注意ばかりしていれば周囲から「ウザい」と思われるでしょう。子供同士ですから仲間に入れてもらえなくなったり、グループになるとき、誰にも声をかけてもらえないという事はありますね。そこで彼女は次のようなことをしました。

(1)言い方・話し方を教えてあげる
同じ注意をするのでも「ズルしてる!掃除しないでサボってる!」と怒鳴るのと「掃除しないの?」と声をかけるのでは、まるで相手が受け取る印象が違います。

正しいことであっても、伝える「言い方」が大切なことを話しましたが、やはり子供はなかなか理解しません。そこで「上履き忘れた子を見かけたら、今日は持って帰る日だよ~ってだけ伝えたら? 先生が言ってるから、とか、他のことは言わなくてもいいんじゃない」と具体的に「その時、何をするべきか、しなくてもよいのか」を話したそうです。

また帰宅して「今日も○○君がさ~」と話し出したら、最後まで聞いた後に「それさ、ちょっと別の言い方にしたら?たとえば」とその場で言い方を伝えました。

「数日おきにこんな事を続けて大変だったけど、まぁコミュニケーション能力を学ばせる時期なんだと自分に言い聞かせて、忍耐強くやったわよ」

とママは言っていました。

(2)「しょうがないな」と思うことを教える
大人になれば、多くの人がわかることですが納得がいかない場面でも妥協したり、「しょうがないか」とか「このくらいは、ま、いっか」と流してしまう術も、いずれ身につけないと、大きくなってから苦労しますよね。

「あなたの言っていることは確かに正しい」と認めてあげるのは必要です。なおかつ彼女は「人それぞれの考えがあること、自分と違っていても、それが多少ルールから外れていても、責めるばかりでは解決しないこともあるんだよ」と折に触れて話したそうです。

正しいことを相手に突きつけるだけが「解決策ではない」こと。自分と違う考えの人もいて、それに合わせる必要はないが、責める行為が常に正しいとも言えないこと。これを理解させるのには苦労したようです。

それでも根気強く、ママが話を聞いては「そういう考えの人もいるんだよ」「みんな同じ考えじゃないんだよ」「納得いかなくても、あなたが出しゃばる場面じゃないことだってあるんじゃない?」と状況に応じて、色々な方向から話しました。

(3)面談で先生にも相談した
「正しいことをみんながやらないと、ついキツイ口調で責めるところがあるようなんですが」と切り出したところ、先生もそこは気づいていたらしいのです。ただ、悪いことではないわけですし、特に子どもに指導というのはしていませんでした。

彼女は先生にも「できれば気づいたら、もう少し優しい言い方で言ったほうが相手に聞いてもらえるよ」と注意してもらいたいとお願いしたそうです。

ほとんどが学校生活の中で起きることですから、ひとまず先生と相談してみるのは大切ですね。ただ先生は「子供の性格を良い方向に導く」ことに集中できる環境にはありませんから、あくまで先生に「わが子の性質を理解してもらう」のが第一の目的です。

正義感の強い子は「正義である立場の人」の話は比較的耳に入るという特徴があります。その子にとって先生が「正しいことをする人」という認識があれば、母親の注意よりも聞き入れる可能性もあります。

それが例えば父親ということもあるでしょう。母親だけでなく、周囲の協力を得ることも必要なんですね。

正義感を尊重しつつ「折り合いをつけていくこと」も学ばせよう

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正しいことを正しいと言う、それは「正しい」のです。ですが、正論を貫くだけでは世間を歩いていけないことを大人である私たちは知っています。

A君は少し度が過ぎている面が見えてきて、お母さんも必死になったところはあるかもしれません。でも似たような経験や、正義感が強すぎて周囲と軋轢を持ちやすいタイプの子を持つママもいることでしょう。

真面目で一生懸命な子どもほど「正しいこと」を自分だけでなく、周囲にも求めます。

そのママは

「一方的に言うだけでは、相手の気持ちを動かせないことをわからせるのに時間がかかった。でも周囲とうまくやるというのも、やっぱり必要なことだから、まだ低学年のうちにアレコレ頑張ってみて良かったかなと思う」

と言っていました。あまり心配しすぎずとも、子どもが友だちや学校の社会の中で自分で学び、言葉を選んだり、仕方ないと自分を納得させることを覚えてもいくでしょう。

でも、もし「どうも、この子はあまりに〝正しいか、正しくないか〟だけにこだわりすぎて、それが悪い方向に出ているのかも」と感じるようだったら、少し注意を広げて、子どもを導くことは必要かもしれません。

正義感が強いというのは、本来とても素晴らしいことです。資質を曲げることなく、色々な意味で「折り合いをつけていく」処世術を少しずつ身につけて欲しいですね。

【企画協力】
いじめのサインを見逃さない こどもをマモルサービス
株式会社マモル

大橋 礼

大橋 礼

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。


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