2019.05.28
「子育てが楽しくない」「子供が可愛いって思えない」ママへ、3人の先輩ママたちが伝えたいこと
「子育てが楽しくない」そう口にした幼い子をもつママに視線を向けると、表情は強ばり、うつむきながら「そういう自分がすごく嫌になる」涙をためて小さな声でつぶやきました。
子育ては時に修羅場であり、時に憂鬱にさせ、時に何もかも放り出したくなる瞬間を招くもの。今、子育てが楽しくない、子供が可愛いって思えない時がある、そんなあなたに、3人の先輩ママの声を届けます。
そもそも子育ては楽しいものではないと割り切っていい!
よく「子どもと一緒にいるだけで幸せ、一緒にいる時間が楽しい!」なんて話を耳にしますが、いやいや、楽しいことばかりでないはずです。みんな、大変だった経験してますよ、喉元過ぎれば熱さを忘れる、ってヤツで、子ども成長してしまえば「子育てまっただ中の大変さ」をリアルにはなかなか思い出せないんです。1歳のときの大変さを、3歳の子をもつママはすでに忘れがちだし、小学校6年生にもなれば、1年生当初にどれほど大変だったかは断片的にしか思い出せない。そんなものです。
だから新米ママたちが「育児が大変」なんて言うと、少し先輩のママたちは口を揃えて「わかるわかる、でもね〜」と、あっという間だよ、寝顔を見てたら満足するよ、可愛い顔でママって抱きついた時は嬉しいでしょ? みたいなアドバイスをします。
あるいは今まさに子育てまっただ中の友だちが「えええ〜! 子ども可愛いよー、確かに大変だけどさ」と軽い口調であなたの言葉をなかば否定してくることもあるかも、ですね。
わたしはひねくれた部分あるんで(笑)子どもがある程度大きくなった今でも「子どもを可愛いと思えないなんて。たとえば一緒に遊んであげたら、その姿に癒されると思うんだけどな」なんて言う人がいると、
(ふーん、〝わたしは幸せなママ〟ってアピールかーい)
なんて思っちゃうほうです。
そもそも「子育ては楽しい」と決めつける必要がありますか? 「子育て楽しくない」という悩みを聞くたびに思うんですが、悩むってことは、つまり「子育ては楽しいはずなのに」という大前提があるからこそ、ですよね。楽しいはずなのに、私は楽しくない。だから悩んでしまう。
違います、違います。子育ては楽しいものではない、を前提にして考えればいいんですよ。楽しいはずなのに、わたしは子育てを楽しめない、嫌なことばかりだ、と考えると、それは「自分はダメな母親だ」って思ってしまいがち。そうではなくて、子育てとは大変なもの、きついものだって前提で考えていいと思います。
子育ては大変なもの、だから楽しく過ごせない、子供がかわいく思えない時があるのも当たり前のこと。
そう思った上で、それこそ先輩ママたちが言うところの「あっという間に大きくなる」「いずれ、あの頃が一番かわいかったと思う時がくる」そのアドバイスが初めて心に響くと思うんです。
子育ては実際に大変なことなんです。だから「子育て楽しくない」と思うこと自体を否定する必要もありません!(N・Yさん/42歳/子ども 14歳)
何もかも投げ出したっていいじゃない!
子育てが楽しくないと思うと、最初はそれほどでもなくても、いろいろなことが重なっていき「子どもが可愛く思えない」「別の部屋で寝たい」「顔も見たくない」虐待とは違うでしょうが、ふっと恐ろしい顔で子どもを睨みつけたりすること、泣き止まぬ子をベッドに放置し髪の毛かきむしって耳をふさいで自分は声をださずに泣いてしまったこと、私には経験あります。全員とは言いませんが、実際には多くのママが一度や二度は経験しているのではないでしょうか。
投げ出してしまえばいいんです。子どもではありません、「ママ」という役目を一度、思いっきり投げ捨ててしまえばいいんですよ。
具体的には、わたしは子どもが1歳半くらいの時(夜泣きがすごく、常に子どもは不機嫌な状態で辛かった)、3歳の時(保育園で子どもに問題があると言われ、仕事の異動が重なり心身ともに疲れ果ててしまった)、2回、家出しました。
1度目は衝動的に、どうしても無理だと思い、少し遠い実家に子どもを預けにいき「おかしくなりそう」と言い、「そんなバカな。おままごとじゃあるまいし、辛いからやめるってわけにいかないのよ!」と怒鳴る母に子どもを押しつけ、車でウロウロとドライブし、学生時代に過ごした街へ行って、ビジネスホテルに泊まりました。
2度目のときは「これはもうダメだ」と思った時、前回、家出をした2日間、自分自身をゆっくり休ませることができたこと、1日でもまるまる離れたことで子どもに対する愛情を再確認できたこと、わたしはどうやら母親業が向いていないらしいから、時々「大きなガス抜き」をしないと、きっとうまくいかないこと、がわかりました。だから数日前から夫には内緒で準備し、週末の朝「ごめん、どうにも我慢できないから、子ども頼んだわよ」と言い捨て、「戻るのは明日!遅くになる!」と出ていきました。
良い方法だとオススメするわけではありません。でも、わたしと同じように「ママでいること」にどうしてもなじめない人だっていると思います。我慢がたりないとか言われるかもしれないし、だったら子ども産まなきゃいいじゃない、と言われたこともあるけど、産んでからわかることもあるじゃないですか。
だから、周囲の雑音など気にしないこと。そして「ママ」でいることを完全に放棄してしまう「時間」を作ること。それでもやっぱり母親ですから、子育て自体を投げ捨てることなんてできない。そういう自分を改めて発見すると思います。
追い詰められる前に、自分を解放してあげて下さい。私にとっては「一泊二日の家出」だったけど、それがどのような形であってもいいと思います。マイナスにしか思えないことを抱え続けて、やがてその矛先を自分自身に向け、ひどい自己嫌悪に陥ったり、あるいは子どもを傷つけるようなことで「プラマイゼロ」に戻すのは最悪でしょう? 家出なんて、最悪のうちに入りません。夫や身内に迷惑をかけるなんて心配しなくていい、1日や2日くらい、ママがいなくたって誰かが側にいるなら子どもは元気です。
必要なのは、あなたが心おちつける時間を持つことです。人がどう思うかは関係ない、言う人があなたのかわりに子育て全部してくれるわけじゃない。あなたのやり方で、あなたが休む時間を、なりふりかまわず作ることです(W・Aさん/49歳 子ども 18歳)
あなたはとてもラッキーなんです!
育児が楽しくないと思う以前に、まず「子どもの存在」について、考えたことはありますか?
お腹のなかで命を育み、産んで、そして育てる。とても大変なことだし、女だから誰でもできるってことでもなく、とてもとてもラッキーなことだと思うんです。世の中には欲しくても子どもができない人もいるのですし、子どもが欲しくてもパートナーが見つからないっていう人もいるわけです。誰だって、子どもに恵まれない可能性は持っていることです。
子どもに恵まれたってことは、「恵まれる」こと、つまり、本当に幸運なことなんです。そこから考えてみませんか。
だからって苦労は減るわけではありませんが。子どもがそこにいる、ということだけで、どれほど幸せなことかは、時折、深く深く考えてみてもいいのでは、と思います。楽しいと思えない、それは別に悪い考えではないんです。子育ては休みがないし、子どもって都合の悪いときに限って困ったことばかりやらかすし。
ですが、悪いことも良いことも、子どもに恵まれたからこそ、です。子どもがいるということさえ否定しなければ、子育てそのものが楽しくなかろうが、嫌になろうが、うまくいかなくて「私には母性ってものがないんじゃないか」と思おうが、いいんです。
子どもに恵まれて子育てしている私は幸運? いいえ、こんなはずじゃなかった、ラッキーだなんて思えない、そう思ったかもしれません。
でも「いるだけで、幸せ」という、忘れてしまいがちなことを、時々でいいから、深く深く考えてみて下さい。
わたしは結婚して11年、不妊治療をしてきました。辛い不妊治療の末に子どもを授かりましたが、そんな私でもやはり、いざ子育てがスタートすると「子どもなんて・・・」と思ったことがありました。その時、同じ病院で知り合った私より年下の女性から
わたしはどうも無理みたい、夫婦で話し合って不妊治療をやめる決断をしました。これまでいろいろ励まし合ってきたこと、ありがとう。それから、お子さんに恵まれたこと、本当に良かったと思ってます。でも本音をいえば、羨ましい。やっぱり、これからは子育てしているあなたと話すのは辛いと思うので、これきりにします。でも、あなたが子どもに恵まれたこと、あなたの幸運には心からお祝いしたい気持ちがあることも覚えておいて下さい
とLINEがきました。何が、というのではないのですが、わたしは子どもがいることをその時から、何度か繰り返し、思い出しては考えるようになりました。子どもがいること、その存在の重みを時にはしっかりと受け止めて考えることが必要な気がします。その重さを重圧に感じるのではなく、あなたにとってどれだけ大きな存在か、重さではなく、あなたの心にしめる「子どもの大きさ」をわかってほしい。
子どもの存在は、神さまからの贈り物です。こう言うと、余計に重圧に感じる人もいるかもしれないけど、重圧じゃなくて「幸運」なんです。
子育てが楽しくなくてもいいんです、そういう時があってもいいんです、ただ、子どもがそこにいる、あなたは恵まれている、そのことを深く深く考えて欲しいと思います(K・Sさん/44歳 子ども 4歳)
子育ては「楽しくないこともある」
世の中には、何もかもうまくいっているように見える家族がいます。賑やかな食卓、文句を言いつつも子どもの言葉に思わず笑顔になるママ、優しく見守るパパ、あったかくて幸せにあふれた光景。雑誌の中だけじゃない、インスタやブログで「かわいいーっ!」わが子との1日を切り取った言葉を見ると、言葉にできないモヤモヤや苛立ちを感じることもあるでしょう。
それはやがて「どうして私は子育てを楽しめないのだろう」「わが子がかわいくないと思ってしまうんだろう」自分を責めることにつながる場合もあるでしょう。
朝起きた瞬間には子どもが可愛くてぎゅーっと抱きしめたのに、30分後には子どもがグチャグチャにしたお皿を放り投げて、子どもを椅子からひきずりおろしたくなる時がある。それは決して、珍しくはないのです。
先輩ママたちのそれぞれの言葉が、あなたに少しでも届くことを願っています。
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。