2021.01.16
子どもが「いじめられているかも」と気づいたら?親が取るべき最初の対処法
BRAVAでは、これまで何度も「いじめ」の問題について取り上げてきました。楽しい話題ではありませんが、わが子が被害者になることも、加害者になることもあり得ることを思えば、決して無関心でいられません。
「いじめられているかも?」と気付いた時点で対応した二つのケースを紹介します。そして、深刻な問題となった場合、私たち親がとれる選択肢のひとつとして「弁護士に相談する」方法があることも、あわせて解説します。
「いじめられているかも?」最初の対処法は
「まずは先生に相談するべき」
教科書が破られていた、紅白帽や鉛筆といったモノがなくなっている、子どもに聞いてもハッキリしないだけに「いじめではないか」と不安に思いつつ、どうしたらいいのか迷いました。やはり最初はまず担任の先生に相談すると思いますが、先生によってはイジメの度合いがわかってもらえず、親としては余計に心配が増す場合もあります。私の経験としては、なるべく「イジメかも?」くらいの状態で、担任の先生に相談する→改善しないならば学年主任や教頭・校長先生に相談する、といった流れですね。
とにかく、子どもの様子がおかしかったら、ためらわずに、まずは先生に話をしてみることです。何度でも先生に話しに行き、具体的な対策を取ってくれているかも常に確認する必要もあります。学校に話したから安心、ではなく、それがあくまで「いじめの対処スタート」と捉えるべきです。この段階でイジメがおさまるのが一番なんですが(熱心な先生がいたり、学校全体で問題に対処してくれたり、他の保護者もイジメに関して無関心でないところは、比較的、解決しやすいように思います)、そうでない場合もあるので、必ず本当に子どもが標的になっていない、クラスにあるイジメの雰囲気がなくなった、と、わかるまで、安心しないほうがいいです(Nさん/子ども 小3)
「相手の親に話した」
ひとりの子に執拗に嫌がらせをされている時がありました。学校の対応は「注意して見守ります」で何が具体的なことをしてくれなかったので、私は相手の親に直接会いに行きました。話をしてみると、最初は相手の親は「勘違いでは」「子ども同士のケンカだと思う」といった感じでしたが、「ウチの子も悪いのかもしれないが、お宅のお子さんとも話をしてほしい」と頼む姿勢でお願いすると、最終的にそこのお家でも話し合いをしてくれたようで、相手のママから電話がきました。「意地悪をしたと本人も言っています、謝るようによく言いました、うちでも気をつけます」と連絡がきました。
うまくいくことのほうが少ないとは思いますし、相手の親に直接連絡をするのはよくないと一般的には言われていますが、いじめの問題はケースバイケースです、親として子を守るために、最終的には自分で判断して行動するしかないと思います(Yさん/子ども 小2)
いじめはよく言われるように、「イジメかもしれない」時点で対応するのがベストでしょう。しかし、実際には子どもはイジメられていることを隠すことが多いですし、また親が何かおかしいと気付いても「いじめかどうかわからない」のが非常に難しいところです。
もし、イジメが深刻な状態になっているとしたら
しかし、次のような状況があれば、親として直ちに行動を起こすべきです。ためらわず、学校はもとより、様々な対応を考え、子どもを守る必要があります。
放置できない「イジメの内容」
・1度や2度ではなく、長期にわたってイジメを受けている
・集団から執拗な意地悪・イジメを受けている
・子どもがケガをした、暴力をふるわれている
・お金など脅し撮られた
・人としての尊厳を踏みにじるような辱めを受けた(裸にされる、トイレで写真を撮影されるなど)
見過ごせない「子どもの様子」
・ふさぎがちなだけでなく、言葉も発さなくなる
・頭痛や腹痛を頻繁に訴える、吐き気を催すなど体調の変化
・学校に行かず部屋に閉じこもり出てこない
・食事を食べなくなる
・親に対して暴力的になる、あるいは、逆に非常に怯えて離れなくなる
・親の財布からお金を抜き取るといった行動
「いじめについて」弁護士に相談する
上記のように、子どもの心や体に大きな傷を残すような状態かもしれない場合、親としては、もはや学校の対応を待っていられません。
学校や教育委員会がきちんとした対策をとってくれるのが一番ですが、それがうまくいかないからイジメがエスカレートする一面は現実としてあります。
「いじめは犯罪である」という認識を持った上で、子どもに対する危害が酷い場合には、弁護士と相談するというのも方法のひとつです。
日本では弁護士をたてるというと何か大きな事件や事故を想定しますが、もっと「予防や対策」のために、法律のプロの手を借りることもこれからは考えたほうがよいのかもしれません。
弁護士に相談すれば、どう保護者が学校へアプローチすれば、トラブルを認知し、改善のための具体的な行動をしてもらえるか、アドバイスを貰うことができます。また、トラブル自体が深刻であれば、いじめは「いじめられる側は被害者であり、いじめる側は加害者である」つまりは犯罪と同じで、弁護士による紛争解決という手段も辞さない、強い姿勢で子どもを守ることができます。
本来はそこまでいく前に、いじめの芽を摘むことが何より大切ですが、現実に今なおイジメによる自殺といった本当に悲痛なケースがあることを見据えた時、私たち親はあらゆる手段を想定しなくてはならない・・・。
「弁護士という法律の専門家にイジメについて相談すること」は、特別な対処法というより、冷静な第三者のアドバイスや判断を求める手段だと捉えてもいいのではないでしょうか。
いじめを法律で解決する、そのための保険もある
国が設立・運営している日本司法支援センター「法テラス」は一度は耳にしたことがあるかと思いますが、こちらでは、いじめの支援制度の案内や弁護士の紹介も行っています。
そして、「弁護士保険コモン」という、いじめ対策用の保険もあるそうです。
株式会社マモルのブログに掲載されていた「いじめ保険」記事、取材に答えていたエール少額短期保険の営業推進部の本江俊さんによると、
月々2,640円で、契約者である保護者(例えばママが契約者になれば、18歳未満の子どもが保険対象になる。パパが利用したい場合は別途契約が必要)が、弁護士に有料のいじめ相談をした場合や問題解決のために弁護士をお願いした時の費用を最大70%補償してくれる保険です。
また、弁護士に無料相談ができる「弁護士直通ダイヤル」や「弁護士検索サポート」などの付帯サービスもついています。そのため、「いじめ」だけではなく、保護者の会社でのパワハラやセクハラ、ママ友同士や近隣トラブルなど、法的なトラブル全般でも使える「弁護士保険」といえます。子どもがいじめ被害を受けた際に、学校や加害者側がいじめを認めないことも多く、先生に頼ることも出来ないという状況があります。そのため、どう行動したらよいかと悩む保護者も多いんです。この保険の弁護士直通ダイヤルでは、無料初期相談が約20分程度できるので、学校にいじめを認めさせるための有効な証拠を早い段階で集めるためのアドバイスを受けることができますし、集めた証拠を元に、加害者に対する損害賠償や慰謝料請求など弁護士の活用することもできる。いじめに関して、もっと気軽に弁護士を活用してほしいと思います。
個人的な印象ですが、筆者自身は最初にこの保険を知った時「イジメのための保険?」という違和感が多少ありました。ただ、繰り返すように私たちは欧米と違い、弁護士に相談することに対して敷居が高いというか、事件性がないと相談できないようなイメージがあります。保険の存在は、つまり「イジメがあったら、プロの手を借りて、きちんと解決し、子どもを救おう」弁護士に相談しやすいという点が大きなメリットと言えそうです。実際に、いじめに関して無料相談を利用し、アドバイスどおりに学校へのアプローチを行ったところ、その後加害者側から謝罪され解決に向かったという事例もあるそうです。〝いじめは犯罪である〟と考えれば、法律と照らし合わせて対策を考えていくことも必要になるかもしれない、そう心構えしておくべきなのかもしれませんね。
保護者と学校だけで解決できないレベルになったら、思い切って、弁護士や専門機関に相談することも考えましょう。いじめを受けている子ども自身は、そのいじめがひどければひどいほど、自ら動くことができなくなります。そして時に、自分自身を否定するという最悪の方向にいくこともあります。親として、いじめの度合いを見極めながら、様々な方法で子どもを守っていくしかありません。
そのひとつに「弁護士に相談する」という選択肢があることを、あまり考えたくはないことであるとしても、いじめがいっこうになくならない現実の中で、私たち親は知っておくべきではないでしょうか。
参考/株式会社マモル
※この記事は2019年7月に公開されたものです。
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。