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2021.10.04

コロナ禍の「ひとり親」の現状って?「子ども食堂」のイメージ払拭ための新たな取り組みにも注目!



コロナ禍により出費が増えた、子どもの預け先がなくなった、家族がずっと家にいるストレスなど、家庭生活における悩みが増えています。その中でも、「仕事が減った」「収入が減った」という悩みが多く、特にひとり親はとても厳しい状況に立たされています。また、収入面の悩みだけでなく、働く時間や他の仕事を増やしたことで子どもと過ごしたり、一緒にご飯を食べる時間すら取れない…というひとり親家庭も少なくありません。
今回は、コロナ禍におけるひとり親の現状、どのような対策があるのか、対策のひとつとして挙げられる「こども食堂」に対するある取り組みを紹介します。

コロナ禍でのひとり親の悩みや現状とは


仕事や収入が減るだけでなく、休園や休校で親も子どもも家にいることで光熱費や食費などの出費も増えます。経済面だけでなく、仕事時間を増やしたら子どもと過ごせてない、反対にずっと家で子どもと2人きりでイライラが止まらない…など、コロナ禍でのひとり親の悩みは深く、そしてさまざまな側面があるようです。

頼れる人が誰もいない
現在子どもは11歳と7歳。3年前に離婚して、シングルマザーです。コロナ前は電車で7駅先に住む両親に保育園の送り迎えや夕飯の支度、子どもが熱を出した時などお願いすることができ、とても頼りにしていました。しかしコロナ禍では混雑した電車に乗ってきてもらうのも申し訳ないし、まして熱を出した子どもをお願いすることなんてできない…。
なんとか有休の範囲内でやりくりしたり、上の子に下の子の世話や夕飯(コンビニなど)をお願いしてしまうこともありました。これって今でいう「ヤングケアラー」かもしれない…と申し訳なく、悲しい気持ちです。頼れる人が誰もいなくて辛いです。
〔Yさん、子ども11歳、7歳〕

突然の派遣切り…
安定企業で、派遣社員として割と長く働いていました。2か月ごとの更新でしたが、長期の募集だったし、これからも長く働けると安心していたのに、コロナ禍で徐々に仕事が減り、「来週は休んでください」という状況が続き、ついに「来月で契約が終了します」と言われました。シングルマザーとして、なんとかギリギリ食べ盛りの子どもを育てている状態だったので、もう目の前が真っ暗でした。今は、バイトをふたつ掛け持ちしてなんとか収入面をカバーしていますが、子どもと過ごす時間はほぼゼロです。
手がかからなくなった年齢とはいえ、思春期・反抗期の時期に親がほとんど家にいない。本当に申し訳なく可哀そうなことをしていると思います。でも、働かないと食べていけないし、塾にも行かせられない(来年(高校)受験生)…〔Sさん、子ども14歳〕

うつ寸前
緊急事態宣言中は保育園が登園自粛状態。仕事はリモートにしてもらえたので、とりあえず登園は自粛することにしました。当然子どもが家にいたら仕事にならず、昼寝しているときくらいしか集中できません。ほかのママの「夫婦でリモート。たまに主人に見てもらうときしか仕事できないよ」というLINEのメッセージすら羨ましかったです。「ウチはシングルなんだよ!!」と心の中で悪態をついたり。
保育園に行かせない=感染症から守ることも大切ですが、子どもを可愛いと思えなくなったり、何回も怒鳴ったり、挙句軽くひっぱたいたり…「もうコロナにかかってもいいから保育園に行かせよう!」とも思いました。完全にうつ寸前だったと思います。〔Tさん、子ども5歳〕

コロナ禍で困窮するひとり親対策にはどんなものがある?


コロナ禍でのひとり親対策としてさまざまな取り組みが行われています。ここでは、その中のいくつかを紹介します。しかし、多くはNPO団体や民間企業などが行なっているため、まだまだ行きわたっていないのが現状です。

・こども食堂
コロナ禍で飲食業の経営が厳しい中、こども食堂の運営を続ける団体や個人店主もいます。経済的に苦しい家庭はもちろん、経済的に苦しくなくても忙しくて子どもと一緒に夕飯を食べられない、あるいはどうしても簡素な食事になってしまう…多角的な面から、ひとり親の負担を減らすことも「こども食堂」の目的のひとつ。
緊急事態宣言下では、食堂自体は開設せず食材や弁当を取りに来てもらう「フードパントリー活動」に切り替えるなど、新たな取り組みを行っています。しかし、約半数以上のこども食堂が「感染防止の対応が難しい」「資金の不足」などの理由で再開時期の見通しを立てられていない状況です。

・食品・日用品支援や相談支援
コロナ禍の収入減などの理由で、1日の食事回数や1回の食事の量を減らすひとり親世帯が増えています。お米やカップラーメン、レトルト食品、ふりかけなどを、週1回程度食料を送ってもらうことができます。

・母子父子寡婦福祉資金貸付金
「休園休校などで仕事を休まざるを得なくなった」「仕事が減って収入が減った」など、収入減で生活に困った場合、母子父子寡婦福祉資金貸付金の対象となります。ひとり親であって、下記の要件を満たす人は、無利子で生活費を借りることができます。

・学校臨時休校等により、子どもの世話のため無給で休み、就労収入が減少した場合
・事業所等の休業等により、一時的に就労収入が減少した場合
・外出自粛の協力要請等を受け、就労できず就労収入が減少した場合

・ひとり親家庭に対する学習支援事業
ひとり親児童に学習教材を配布し、大学生のボランティアや各自治体の支援員などを派遣し、学習を支援や進学相談等を受けることができます。塾形式や家庭教師形式があり、原則は無料です。メールや電話、e-ラーニング形式で受けることが可能な場合もあります。

・ひとり親に支援を届けるコロナ寄付
多くの民間団体が、コロナ禍におけるひとり親に貧困を救うべく、募金活動を行っています。たとえば、国際NGOグッドネーバーズ・ジャパンは、‟休校や緊急事態宣言による経済活動の停滞がひとり親を直撃しています。あるシングルマザーの月収は16万円→4万円に減少しました。離乳食が始まったばかりの赤ちゃんを育てる別のシングルマザーは、自分の食事を1日1食に減らしていると言います。″という現状を訴え、募金活動を進めています。(参考:グッドネーバーズホームページ困窮するひとり親家庭に食品の贈り物を|認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン
ほとんどの団体が月1,000円(1日33円)から受け付けています。寄付されたお金は、食品を保存する設備費や輸送費や人件費、病児保育提供、教材印刷費(学習支援)、備品・消耗品費などに使われます。

・臨時休校・休園対策としての保育
民間団体やNPOの中では、コロナ禍における急な臨時休園・休校に対応する預かり保育や、訪問保育サービスを開始しているところもあります。会員になっていれば無料で行ってくれる団体もあるようです。

こども食堂のイメージを変えるRe-labeling(リラベリング)プロジェクトって?


上記にもありましたが、ひとり親家庭を支える大きな柱のひとつ「こども食堂」があるます。
現在、コロナ禍で運営が難しい状況ですが、その中でこども食堂を有効活用してもらいたい、地域の交流の場にしたい、という活動もあるようです。今回紹介する「Re-labelingプロジェクト(リラベリングプロジェクト)」とはどのようなものなのでしょうか。
Facebook Japanは、SDGs週間(9月17日から26日)にコミュニティと共創したSDGsについてのソーシャルキャンペーンを2つ発表しました。
BRAVAが注目したのはその中のひとつ。全国のこども食堂の支援を行う「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」と活動を行う、『Re-labelingプロジェクト』です。
子ども食堂は、貧困や飢餓対策に焦点が当たりやすく地域の理解を得たり、子ども食堂へ足を運ぶハードルが上がっていることが課題になっています。
このプロジェクトは「こども食堂は貧しい子どもだけが行く場所だ」といったイメージをなくし、こども食堂の正しいイメージを広げるきっかけを作ることを目的としています。
「こども食堂」の正しいイメージを広めるきっかけづくりを目指す活動の第一弾として、「NPO法人スーパーダディ協会」と「こども食堂waiwai」協力のもと、こども食堂での「リラベリング発想ワークショップ&デリバリー絵本展」を開催しました。

子どもたちが絵本と出会う場を


「こども食堂」を‟ご飯を提供する場所″、‟ご飯を何人かで一緒に食べる場所”だけに留めず、さまざまな年齢の子どもや大人が一堂に会する場だからこそ、何か提供できることはないか…。そのような考えのもと、「リラベリング発想ワークショップ&デリバリー絵本展」は、小さな子どもから大人まで楽しめる絵本をフックに、地域の人や親以外の大人との交流によって子どもたちの経験を広げることを目指しています。
ワークショップでは、絵本の読み聞かせや、読み聞かせ後の質疑応答、ボードゲームなどが行われました。また「デリバリー絵本展」の本棚には、選定された本だけでなく、こども食堂を利用した子どもが寄付した絵本も置けるようになっていて、持ち帰って読んだり、読まなくなった絵本を置いていくこともできるようになっています。
こども食堂本来の様子を知るきっかけ、こども食堂を「自分事」として考えるきっかけとなるのでは、と大きな期待が持たれています。

少しずつ収束に向かっているように見えるコロナ感染拡大。しかし、いまだ多くの人々の生活に甚大な影響を及ぼし続けています。特にひとり親にとっては経済面・生活面はもちろん、「頼れない孤独感」など精神面に与えた影響は計り知れないほど大きなもの。
しかしそんな状況だからこそ、ひとり親の生活だけではなく心や教育面の支援に取り組む
政策や団体が、少しずつですが増えています。ひとりで抱え込まず、頼れるところに頼ってほしいと思います。支えてもらったら、いつか誰かを支えればいいのですから。

参考/厚生労働省ホームページ
参考/認定NPO法人フローレンス

田崎美穂子

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