2022.04.05
中学入学時の中1ギャップとは?中学の壁を小学生の親は知っておこう!
小学校高学年、特に6年生にとっては「中学」について親子ともに不安を覚えるケースが多いようです。いわゆる「中1ギャップ」「中学の壁」という言葉を知り、わが子は大丈夫だろうかと心配する気持ちはとてもよくわかります。
そこでこの記事では中1ギャップとは何かを解説。また実際にわが子が中学入学前後はどうだったかを先輩ママ・パパたちに取材しましたので参考にしていただければと思います。
中1ギャップ・中学の壁とは
児童が小学校から中学校への進学において、新しい環境での学習や生活へうまく適応できず、不登校等の問題行動につながっていく事態
引用:小・中学校間の連携・接続に関する現状/文部科学省
小学校は6年間と長いため、すっかり「小学校生活」に慣れています。ところが中学は他の区域からの子どもたちとも新たにまじり、真新しい制服を着用し、学習も担任から教科制になり、これまでとはまったく違う生活が待っています。子どもによってはこの大きな変化に戸惑いを感じ、あるいは新しい生活に不安を覚える場合もあるかもしれません。中1ギャップでは、特に「中1では不登校が多くなる」という情報が先走りし、不登校になる=いじめがあるのではないかといった印象が大きくなっている面があるようですね。
しかし、文部科学省の調査(中1ギャップの真実/文部科学省国立教育研究所)では、必ずしも「中学1年」でいじめが急増する、不登校が大幅に増えるということはないと報告されています。
小学校入学、中学校入学という節目では誰でも多少の差こそあれ、「大丈夫かな」と思うのが普通。ですからまずは「あまり神経質になりすぎない」ことが大切です。
中1ギャップはあった?どう対応した?先輩ママ・パパの体験談
→中1ギャップを感じていたか?
確かに中学入学前、子どもは不安は感じていました。部活で怖い先輩がいるとか○○小から来る子はやばいとか、子ども同士でも噂が飛び交っていたようです。
→親の対応
噂は噂でしかないことをさらっと私から伝えました。中学で親友ができたことや部活動でこんな仲間ができたとパパが自分の経験談を話したところ、それは興味深く聞いていましたね。親の中学時代の思い出話は説教くさくならないので(時代の違いはあるとはいえ)子どもも聞きやすいようです。
→実際に中学入学後の様子
地域の中学なので小学校からの友だちも数人ですがクラスにいたので安心していました。最初の1週間は早く起きて鞄の中身を神経質に何度もチェックしていましたが、1ヶ月もたたないうちに、朝は叩き起こさないと目を覚まさない「普段の姿」に戻ってましたよ(笑)
M・Kさん
→中1ギャップを感じていたか?
小学校時代に折り合いが悪く、いじめに近いことをされていた子と進路が分かれたことが本人としては一番良いと思っていたようです。ただ勉強に関しては「テストが悪いと大変なことになるの?」などと気にしている様子でした。
→親の対応
制服をつるして「楽しみだね」と前向きになれるように話しました。勉強に関しては春休みに英語のドリルを1冊やらせて、中学の勉強も小学校の続き、それが少しずつ難しくなっていくから必ず復習をしようと声をかけました。
→実際に中学入学後の様子
教科ごとに先生が変わることに戸惑いはあったようです。先生によって宿題の量や対応(提出物は自己責任であえて催促はしないが出さないと成績が下がる、話しやすい先生と怖い先生など)の違いを把握するまでは、よく「なんかわかんね~」「ヤバいヤバい」と言っていました。でも1ヶ月もすぎれば慣れてくるので親が過剰に心配しすぎないほうがいいと思います。
T・Nさん
→中1ギャップを感じていたか?
人見知りなタイプなので保育園から一緒だったお友だちとクラスで分かれてしまった当初は非常に落ち込み、緊張もしていました。部活動紹介で運動部の先輩に「入るだろ!」みたいに話しかけられて怖くなり、こんな繊細さで大丈夫なのかと心配と焦りがありました。登校しぶりのような様子はありましたが、とにかく学校へ送り出していました。
→親の対応
小学校でも一時期、登校しぶりはあったので、先生から中学へ申し送りはして下さいました。入学説明会で学年主任の先生と少し立ち話をしましたが、最初はみんな緊張しているがすぐに慣れますとのお話でした。中学の先生は対応が冷たいなと思ったのですが、これからは学校に何でも相談というわけにもいかないのだと改めて思った瞬間です。親も成長しないといけない時期と感じました。
→実際に中学入学後の様子
ゴールデンウィーク明けにしばらく嫌がることがあったのですが、サイエンス部の活動が本格的になるとそこで気の合う友だちと出会い、さらに良い先輩に恵まれ、ペアで大会に出たことが大きな自信になったようです。それまでとうってかわって明るくなりました。今思うと年齢的な成長もあったのでしょうが、小学校時代よりも逆に積極的になり、本当に安堵しました。
S・Hさん
→中1ギャップを感じていたか?
女の子の間で同じ公立中へ進む子たちのグループLINEができており、そこで「仲間はずれにされたら終わり」と言い、ずっとスマホを手にしているのが正直どうなの?と気にはなりました。校則よりも「先輩にどう見られるか」を不安視していて、持ち物なども目立たないようにしようとしていましたね。中学行くのに何か心配なことはない?と聞いても「別に平気」などと言っていましたが、実際には娘はかなり中学入学を不安に思っていたのだと後から知りました。ギャップというより新しい環境への不安だとは思いますが。
→親の対応
怖い先輩もいるかもしれないけど、優しい先輩も同じくらいいるはずだよ、新しい友だちなんてすぐにできるよ、とか色々話していたんですけど。ただ、娘の場合それが逆効果だったようで「友だち友だちって言わないで!」と急に大声をあげたのでビックリしました。本人が話したい時に話を聞くスタンスで、あまりしつこく「中学ではね」と言うのもよくないのかなと思いました。
→実際に中学入学後の様子
結局、そのLINEグループはすぐに解散し、テニス部の仲間と親しくしています。中学はやはり部活の子と仲良くなる傾向がある印象です。女の子同士で多少はトラブルもあるようですが、大きな問題はなく通学しているので、入学前からそれほど心配しなくてよいと思います。ただ勉強は別。英語など最初は簡単だと高をくくっていると、すぐに落ちこぼれます。受験があるのでしっかり勉強をさせることは必要です。
E・Oさん
→中1ギャップを感じていたか?
親としては勉強が不安でした。中学生になると思うと急に高校受験がリアルになり口を酸っぱくして勉強するように言いました。本人は進学先の中学にはサッカー部がないことが残念で「楽しみではない」と言うのも気になっていました。また、その中学では毎年「数人の子が不登校になる」と親の間で話題になっており、他の公立に進む子もけっこういると後から知って、非常に不安に思いました。
→親の対応
小学校で「中学はこんな風に勉強する」といったガイダンス授業があったのがよかったです。本人も「内申点というのがあるんだ」と調べて、自分から塾に行ったほうがいいのかも、と言い出したので、春休みから個別指導に入れました。たとえ少しでも中学の勉強を先取りすることで本人も安心した部分はあるようです。
→実際に中学入学後の様子
不登校の子が複数いるというのは噂に過ぎなかったと入学後にわかりました。というより小学校でも不登校ぎみの子がそのまま中学では不登校というケースが多いようです。ただ、見えないいじめ(SNSなど)はあるようですが、うちの子は中学のほかにサッカーのクラブチームに入ったことで、そこで愚痴を言い合ったり相談したりする友だちがいたので、中学では「すごい仲良しという子はいないがうまくやってるよ」と中2の終わりくらいに話してくれたことがあります。
A・Uさん
「中学入学に向けて」小学生のうちにできることは
<1> ある程度「中学校」はどういうところか伝えておく
あれこれと言い過ぎると余計な不安が増すこともあるので、小学校などで中学校に関するガイダンスがない場合には、教科別に先生がいることや部活動のことなどを簡単に伝えておきましょう。体験談にもありましたが、親が自分の中学時代を振り返って話してあげるのは良い方法のひとつです
<2> 家庭学習の習慣をつけておく
中学での勉強は、家で何もしなければついていけなくなる可能性が高いので、小学生のうちから少なくとも30分~1時間は机に向かう習慣をつけておきたいもの。中学生になると思春期に入り、親への反発が強くなるために急に勉強勉強!と言ってもなかなかうまくいきません。家庭学習の習慣は小学校のうちにしっかり身につけておきたいですね。
<3> 逃げ場・休める場をつくる
中学校になると、たとえば「先輩後輩の関係」や「友だちに合わせて自分の本音を出さないつきあい」など、少しずつ複雑な人間関係を経験することになります。また実際に部活動や勉強量が増え、最初の頃はペースに慣れずに疲れ切ってしまうお子さんもいます。
いつでもどこでも気を張っていれば、ストレスも増えるばかりです。家庭が子どもにとって休める場所であるようにしたいですね。
たとえば、趣味を通じた仲間や習い事・塾の友だち、ゲームでつながる友だちなど、家庭や学校以外の場で話ができる「第三の場」があると安心です。
中学の制服を着たわが子をみると成長を感じることでしょう。同時に、これまでと違い口数が減ったり、反抗的な態度をとったり、扱いづらいと思うことも増えてきます。せっかく入学したのに中学での様子もわからずヤキモキするかもしれませんが、小さい頃のように「あのねあのね」と話すような年代ではありません。「いっちょまえになってきたな」くらいに、ドーンと構えていきたいですね。
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。