2022.11.24
卒園アルバム・卒業アルバム「保護者が作成」するときの注意ポイント
保育園・幼稚園・小学校の卒業時には「卒園・卒業アルバム」が配布されることが多いですね。基本的に園や学校主導で制作する場合には問題はありません。しかし、保護者が担当し「卒アル」制作に携わるところも珍しくありません。
希望していたわけではないけれど「卒業関係の委員になってしまった」「他にやる人はいないし、子どものためにも卒業アルバムはあったほうがいいので引き受けた」と、どちらかといえば消極的な理由で、卒アル担当になった方もいるのではないでしょうか。今回は、卒業アルバム委員(係)が注意すべきポイントをまとめ、さらにその解決策に対するヒントをご紹介します。
卒業アルバム作成で注意すべきポイント4つ!ここがポイント
・保護者(卒業アルバム担当者)グループの温度差に注意!
・卒業アルバム作成の役割分担に注意!
・デザインは意見を出し始めると終わりがないので注意!
・保護者対応はとても大変なので注意!
作る側の「温度差」に注意!【ポイント1】方針と意思を共有しよう
卒アル制作の方針を決めてグループの意思をなるべく統一しましょう
保護者主導で卒アルを作成する場合、卒業式委員とか、卒アル係など複数の保護者がグループになって行うことになるでしょう。個人が自分用(あるいは仲良し数人の分)として記念のアルバム作成を作るのもありますが、ここでは「園」や「学校」の単位で考えます。
さて、こうした場合、業者の選定であるとか予算だとか、いろいろなことを決めなくてはなりません。しかし一番の問題は「選択する保護者の温度差」です。
「わたしは卒業担当の委員なんか、やりたくなかった。卒アルなんて必要なの?」という人もいるでしょう。思惑はずれて係になってしまったけど、卒業は大きな行事だし「出来る範囲で良いものを作ろう」と思う人もいるでしょう。さらには「やるからには立派な卒アルを作ろう!」とか「せっかくなら手作り感満載で!」と積極的かつ意欲的な人もいるでしょう。
卒アルに対する思いや熱意には差があります。
その「差」がすべてにおいて、何かを選択する場合の障害になります。卒アルのボリュームを例にすると「クラスの個人写真のほかは、行事用に2ページ程度、全部で8ページで充分」と「入園入学から時系列で行事の写真を入れて、子どもが描いた絵もいれたい」全部で18ページと意見が割れることはよくあります。「卒アルは最低限でいい」と「せっかくだから」という人の意見を調整するのは大変です。
加えて、上にお子さんがいるママやパパの場合、「お兄ちゃんの時はこのやり方だった」とか「上の子と同じくらい立派なものを作ってあげたい」と考えて、良くも悪くも「前のやり方」を持ち出すために(そのアドバイスで助かる時も往々にしてあるのですが)周囲とうまく波長が合わないケースもあります。まず最初に、全員で卒業アルバム制作に関する方針を決めましょう。予算ありきなのか、豪華なものにしたいのか、保護者の手作りを強調したいのか、フォーマットにあてはめてなるべく簡単に作りたいのか。優先順位をつけていくと、決めやすいかもしれません。
卒アル担当グループの方針が一致していることが、その後の細かいトラブルを避ける一番の解決策です。「どんなものを求めているのか、保護者はどれくらい関わるのか」この辺りを最初の時点で明確にし、なおかつ全員で共有することが大切です。何か決めるのにもめた時も、「方針はこれだから」と立ち戻ることで選択する理由がハッキリし、ブレずにまとめられます。
役割分担に注意!【ポイント2】負担を軽減して協力しあおう
適材適所を考えながら負担がかからないよう協力し合う!
卒アル作成にはさまざまな仕事があります。
・会計
・写真の選定
・各ページのレイアウトやデザイン
・業者との窓口
・保護者の対応
・園や学校との連絡
・お手紙等の作成と配布
他にも、先生からメッセージをもらうとか、写真の収集もプリントされたものであればスキャニングをしてデータ化する必要があるとか、スケジュール進行管理だとか、さまざまな作業があるわけです。これらをみんなで手分けして行います。
人によって「面倒に思うこと」は違います。苦手なことはやるのが大変に感じるものですし、好きなことや得意なことなら、楽しくお手伝いができるというもの。
たとえばパソコンでの作業は苦手という人には、業者との窓口になってもらったほうがスムーズです。Wordが使えるとかデザインが得意という人がいれば、ページ構成を担当してもらいますし、仕事の都合で土日しか動けない人が会計担当だと、銀行の窓口に行くのが大変ということもありますから、自宅でできる手紙の作成や進行管理を担ってもらったほうがいいかもしれません。
ちなみに役割分担でも「ひとりでやりたい」「自宅でできることがいい」人もいるし、なかよしのママとふたりで担当したいリクエストもあり、あーだこーだと決まらないこともありがち……。
ちなみに、フルタイムでガンガン働くママの「ビジネスチャットのようなツールやzoomを活用し、ガントチャート(プロジェクトの工程管理を表にしたもの)まで作成して」一部の人は「効率的だし、みんな忙しいのだから助かる」と大いに賛同したものの、一方で「これは仕事ではない、ツールを使えない人もいるのにデキる気まんまんで動かれても困る」「進行表どおりに動けるの?面倒な保護者への連絡や園に出向いて行う作業は誰がやるの?」と、ひと悶着あった、なんていう話も枚挙にいとまがありません。
全員の都合をすべて受け入れるわけにもいきませんが、必要な作業を書き出し、担当者の人数を考慮して割り振っていくしかありません。苦手なことや、やりたくないことを無理やり押し付けて「ひとり」に責任を負わせるようなことだけは避けましょう。打ち合わせや会合も、対面で話し合ったほうが早く決まるし親しくなってやりやすいという意見もありますし、オンラインやSNSを活用したほうが効率的という意見もあります。どちらが正しいかではなく、どれが「自分たちにとって一番やりやすいか」を考えていきましょう。
根底にあるのは、これは仕事ではなく、あくまでボランティアであるということ。しかしボランティアだからこそ、集まりに来られないとか割り振りされた内容によっては「できない」という状況にも柔軟に対応する、「助け合い」の気持ちも大事なところなんですね。
卒アル担当はなかば強制的に係になった人もいるでしょう(その方が多かったりするけれど!)が、気持ちを切り替えて、子どもの卒業を一緒に楽しむくらいの気持ちになれる雰囲気を作りたいですね。
誰かのデザインを直したくなる【ポイント3】「好み」に左右されず大枠を決めよう
→デザインやページ構成に「正解はない」から方針ありきで考えよう
ページ構成としては、専用のアプリやソフトがいろいろ出ています。業者によっては、印刷を頼む場合には独自のソフトを無料で使用でき、サポートがついているものも。なるべく安く作るのであれば、データをすべて自分たちで完成させ、PDF等で業者に入稿する方法もあります。
どのようなやり方にするかは、詳しい人がいるかいないか(いたとしても、担当してくれるのかどうか)、予算との兼ね合いにもよります。まず、ここを決めてからページの作成にあたります。しかし!ここでまた、別の問題が起きる可能性があります。
よくあるのが、Aさんがデザインしたページを見たBさんが「ちょっと違う」と思い、Bさんが改善案をだしてAさんが不快な気持ちになるようなケース。そもそもデザインは好みがあります。プロが作成しても満足しないこともままあるわけですから、完璧はありません。
さて、個々の好みや趣向をいちいち取り上げていては、決まるものも決まりません。そこで解決策としては、次の2つがあります。
・各自に任せたページ構成やデザインはどのようなものであっても基本的にそれで通す
・デザインの基本だけは(色など)決めて、それにそって作成し、作成したものに対しては極力、そのままでいく
・枠やデザインが決まっているソフトやアプリを利用して、写真やメッセージを組み入れるだけにする
個別にページを担当する場合には、デザインの基本として「使う色」と「全体のイメージ」を決めておくとバラツキ感がなくなりますし、個人の趣向よりも「デザインの基本的な決まり」が前提になるのでうまくいきやすいようです。具体的には「学年のカラーである緑を中心にして、全体的にシンプルに」とか「大空に羽ばたいてくイメージで、基本は青系の色味、雲や太陽のイラストを使う」といった具合です。
こうした決め事を作るのも実際には大変です。イメージや基本のカラーは、冒頭で申し上げたように「方針」で決めておくと(決めるまでが大変だとしても)、それが常に指針となるので、おすすめの方法です。
他の保護者の対応【ポイント4】始めから全保護者に周知させること
最初のお手紙で内容を知らせ協力を仰いでおこう
実は「やってみたら、これが一番面倒だった」という声が多いのが、担当ではない他の保護者への対応です。
たとえば、子どもの写真を集めようとしたが協力してくれない、何度連絡をしても提出してくれないといったパターン。一般的に入学式の写真や園や学校のカメラマンが撮影した写真からピックアップすると思いますが、そうした写真の数が少ない場合には各家庭から写真を提出してもらうケースもあります。
さらに厄介なのは、「うちの子の写真、何枚くらい入れてくれるの?」「卒アルができる前に子どもの写真を確認したい」といったような要望です。
中には「わたしは卒アルのお金を払いたくない、うちは必要ないから払わない」といったこともあります。
卒アル作成については、最初に「子どもの写真を掲載すること/購入希望」についての同意書やお知らせを配布するところが増えています。伝統的に卒アルを作成している場合や園や学校が主導の場合、すでに入学時や学年が変わる時に「個人情報や児童写真を学校に関連する媒体に掲載する同意書」に類似したものが配布され提出されていることが多いため問題がないのが普通です。
しかし、それがなく、保護者主体で卒アルを制作する場合には、最初に「卒業アルバムを制作すること、子どもの写真を掲載すること、氏名は出るがその他の個人情報(住所や電話番号、誕生日など)は出さない」といった注意書きや同意書と、卒アル購入の意思があるかどうかの確認を行ったほうが安心です。
購入と予算に関しても、最初にしっかり確認しましょう。たとえば卒業に向けて積立を行っている場合にはアルバムがいらない家庭には返金する決まりかもしれません。あるいは、返金はせずに子どもが載っている・いないに関わらずに全員に配布というケースもあります。お金にまつわることは、どのような形であっても特に最初にしっかりと明記しておくことです。
改めて卒業アルバム用に費用を集金するのも、これはこれでまた大変で、全員が期日どおりに入金するのは稀です。そうなれば、各保護者に意思の確認をしながら入金を促すといった、あまり楽しくない役目も誰かが担わないとなりません。
いずれにしても、すべての保護者が卒業アルバム制作に協力的とは限らないのが現実です。保護者の対応窓口として担当者を置く場合でも、その人ひとりがこうした対応を抱えると大きな負担になりますから、まとめ役の人や周囲も一緒に「保護者への対応」を行うのがよいでしょう。
卒アル担当は面倒くさいけど、やるなら「楽しむ方法を見つけて!」
個人用ではなく、みんなに配布する卒アルを完全にすべて手作りということはないと思います。最終的には印刷や製本といった作業は業者に外注します。
卒アルに特化した業者も多くありますし、フォトブックでもかなり立派なアルバムは作れます。これも予算が関わってきますが、アルバム制作における一連の流れや、ページ制作でアドバイスをしてくれるようなサポートが充実した業者を選ぶとやりやすいようです。
アルバムは何年もたってから見ると、懐かしく素敵な思い出になります。卒業担当は「とても大変」と敬遠されがちな委員ですが、考えてもみてください。子どもの「卒業」は、そう何度もあるものではありません。卒園・小学校卒業、中学卒業、高校卒業、大学卒業にいたってはたぶん親はまったく関わらないでしょうから、親が子どもの卒業に携われるのは、もしかしたら「とても貴重なチャンス」でもあるのです。
実のところ、わたしも卒業に関連した委員をやりました。やっている最中は「ちっ!」と思ったことも数多くあります。もっと違うやり方であれば、負担が少なく、良いものができたのかもと思うこともあります。
でも、振り返って嫌なことばかりだったのではありません。それどころか今は「あれはあれで、二度と経験できない体験だったなぁ」なんて思うのです。揉めたり、あれこれ騒いだりしたことさえも懐かしく思い出します。
やらなくてすむなら、それもよし。やることになったら、しかたなし。そして、やらざるを得ないのであれば、「最悪だ」ではなく「ふん、それなら楽しむわよ!」と、アグレッシブにやってみませんか?
BRAVAでは、今回の記事に限らず、卒アル作成に関しては詳細な記事(ママ同士のトラブルも!?【卒園対策委員(卒対)】って何をやるの?)もたくさんあります。ぜひ、参考にしながら、二度とはない「我が子の卒業」を楽しんでほしいなぁと思います。(でも、やっている真っ只中は揉めてばかりだけどね!!!)
大橋 礼
ライター
年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。