仕事、妊娠、出産、子育て、夫婦関係…働くママを応援| BRAVA(ブラーバ)

2022.07.08

【婦人科医に聞いた】生理痛を薬<鎮痛剤>なしで和らげる方法は?婦人科系の病気予防にもなる!? 


戸田さと美のWoman Life Care Planning Vol.5

DSC_0911

ひどい生理痛で毎月つらい思いをしている女性多いのではないでしょうか。なかでもできれば鎮痛剤を飲みたくないと思う人もいると思います。そこで、今回は広尾レディースクリニック院長の宗田聡先生にお話を伺いました。受けるべき検査の内容やタイミング、生理痛を和らげる方法について引き続き宗先生のお話をお届けします。

一般の婦人科検診ではなくきちんと病院へ

あああ

痛みがある人は定期検査だけじゃなく、きちんと症状を伝えられる病院へ

戸田:ひどい生理痛から病気を疑う際、受けるべき検査はどのようなものですか? 一般的な定期検査や人間ドック、婦人系検査で分かるものですか?

宗田先生:まず知っていてもらいたいことは、定期検診や人間ドッグというのは症状の無い人、健康な人から、病気を見つけるものなんです。すでに症状がある人は、きちんと病院に行って、その症状に合わせた検査を受けなければ見つかる病気も見つかりません。意外とみなさん、そこが曖昧になっているようです。一般の検診を受けたからといって、何でも病気が見つかるわけじゃないんです。とくに婦人科の場合、オプションでついている婦人科の検診というのは、ほぼ子宮頸がんの検査ですから、それ以外の婦人科の病気は見つけられません

やはり生理痛が強いなどなにか症状がある方は、きちんと病院で自分の症状を伝えて診てもらうほうがいいですね。

戸田:確かに、会社の検診ではチョコレート膿腫がみつからなかったという知人もいました。

宗田先生:そうですね。会社などで行っている一般検診では、通常超音波検査は入ってこないことが多いので、卵巣嚢腫を見つけることは難しいですね。

戸田:ところで、初潮から生理痛がひどい場合、何歳くらいで検査を受けるべきですか?

宗田先生:通常は初潮を迎えてから2〜3年は安定しませんから、痛み止めなどを飲んで様子を見るのもいいと思います。高校生くらいになると活動範囲も広がりますから、受診して相談するのもいいと思います。

戸田:では、30〜40代女性に多い生理痛の原因には、どのようなものがあるんですか?

宗田先生:普通は30〜40代になると、生理が軽くなってくることが一般的です。周期も短くなってきます。心配して病院にくる方もいますけど、とくに問題があるわけではないんです。生理痛の原因は、大きく分けて機能性と器質性の2種類に分かれます。わかりやすく説明すると、器質性はなんらかの病気があって、そこからくるものです。代表的なものとしては、子宮筋腫、子宮内膜症のものはないかという検査をします。器質性のものがなければ、ストレスなどの精神的なものが原因という場合も多いです。転職だったり、ポジションや仕事内容が変わったり、人間関係が変わったなどがきっかけになって痛みが大きくなっている方も少なくありません。

痛みを和らげるには半身浴やアロマがオススメ

半身浴などが痛みの緩和には効果的。

半身浴などが痛みの緩和には効果的。

戸田:先生、薬を使わずに生理痛を和らげる方法はありますか?

宗田先生:半身浴をするとか、身体を温めるとか、少し気持ちを落ち着けるハーブティを飲んだり、鎮静作用のあるアロマをたくことは、自分でできることですね。神経の興奮を抑えるようなことを試してみると、痛みが和らぐことがあります。
そういったことで痛みが治らないものは、我慢する必要はないですから、是非婦人科に行って相談して、検査を受けたり、痛み止めやピルなどの治療薬を試してみてください。
最近はピルもよく使われています。低用量ピルは高校生くらいからよく使われているのでおすすめです。

ピルは生理痛だけじゃなく病気の予防にも

あああ

「ピルはほとんど副作用がない」と宗田先生。少し怖いイメージが払拭されました。

【関連記事】
オンラインピルおすすめクリニックランキング(低用量ピル・アフターピル)安い処方の比較まで詳しく調査!

 

戸田:ピルって副作用が怖いイメージがあるんですよね。

宗田先生:もちろん、副作用がない薬なんてないですよ。風邪薬や胃薬にだって副作用はあります。そういうお薬と比較したら、逆にピルはほとんど副作用がないんです。世界で何千万人という、健康な人が飲んでいるお薬ですから、それで副作用がたくさん出ていたら、健康被害です。
薬として存在しなくなります。でも、これだけ使われているということは、安心して使える証なんです。
もちろん、喫煙している人や40歳以上の人、肥満の人などがピルを飲むと血栓ができやすいという重い副作用から、飲み始めに気持ち悪くなる軽いマイナートラブルまでいろいろありますが、ほかの薬剤から比べて、圧倒的に副作用はすくないと思います。

戸田:なるほど。ピル=怖いというイメージが少しなくなりました。

ちなみに、ピルで生理痛を軽くできるということは病気の予防にもなりますか?

宗田先生:ひどい生理痛を起こす病気に限定すると、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫の3つです。
この3つは、生理があればどんどんひどくなることがあります。ピルを飲むというのは必要最低限のホルモンが身体に入ることなので、身体から分泌されるホルモンが止まります。内膜も薄くなるので、出血量も期間も少なくなり生理も軽くなります

そうすると、子宮内膜症、腺筋症は、良くなっていきますし、もちろん予防にもなります。子宮筋腫も同じように大きくなるスピードが遅くなります。

戸田:ちょっと心配なのは、ピルを飲んでいることによって、妊娠に影響はないのかということなんですが。

宗田先生:子宮内膜症や筋腫などがあったとしたら、状況によってはそちらのほうが不妊症の原因になります。子宮内膜症がひどくなれば子どもはできにくくなりますし、筋腫も大きくなれば妊娠や出産に影響します。ピルを使ってある程度予防できるのであれば、子どもが欲しいと思うまではピルを飲んでいたほうがより妊娠に影響は無いともいえるんです。

戸田:内膜症に悩んでいた知人も結婚して6年子どもができなかったとおっしゃっていました。

宗田先生:内膜症は不妊の原因で一番多かったりしますから、ひどくしてしまえば子どもはできにくいです。普通の性生活があって、2年以上妊娠できなければ不妊症と言われていますから。

戸田:ピルは誰でも飲んでいいものですか?

宗田先生:ピルも薬であることには間違いないですから、定期的に生理があって、痛みもひどくない人、避妊が必要でない人などは飲む必要はありません。メリット、デメリットの比較ですから。病気が怖いから…といって、わざわざピルを飲むことも必要ありません。もし、何かしら症状があり心配であれば、飲むほうがメリットはありますよね。

戸田:閉経後も飲んでいいのですか?

宗田先生:ピルはあくまで生理に関係することに使いますから、更年期のホルモンが足りなくなることからくるトラブルに関しては使いません。

更年期にはピルとは別で、ホルモン補充療法(HRT)用のお薬を使います。
ピルは生理をコントロールするほどたくさんホルモンが入っているのですが、ホルモン補充療法のお薬は、お料理で例えると隠し味くらいの量なんです。
それくらいで十分効果はあるんです。ホルモン量が少なくなってくることによって起こるトラブルを軽くする働きです。閉経後にピルを飲み続けると、本来はホルモンが無くてもいい状態なところにホルモンが付加されるので、当然身体には負担になります。乳がんなどのホルモンによって起こる病気が出てくる危険性も高まります。

 

いかがでしたか?

会社などで行われている婦人科検診でも、わからない病気があるのは少し怖いですね。

わからないまま手術になってしまった・・・なんてことがないよう、生理痛がひどいかたは必ず病院できちんと検査を受けましょう。

またピルに対してのイメージもかなり変わりましたね。

毎月付き合っていかなければならない生理。きちんと知識を得て、うまく付き合っていきたいですね。

 

※この記事は2015年12月に公開されたものです。

宗田聡先生  広尾レディース院長

筑波大学を卒業後、同大産婦人科にて研修。H9年より同大学講師として臨床・研修・教育に従事。H12年タフツ大学(米ボストン)遺伝医学特別研究員。H15年水戸済生会総合病院産婦人科部長・茨城県周産期センター長などを歴任後、H17年パークサイド広尾レディスクリニック院長に。H24年より現職。現在、筑波大学大学院人間総合科学非常勤講師。

「不妊治療ステップアップベストガイド」「産後ママの心と体をケアする本」「31歳からの子宮の教科書」


など著書・共著多数。

戸田さと美 プロフィール

PETAGO(株)代表取締役。Woman Life Planning代表。
シングルマザーとして、そして女性として、従来の枠にとらわれない自身の価値観を独自の視点で発信し続ける。自身の経験も含め、女性の素敵な生活提案を行っており、ライフワークとして始めたセルフプロデュースが口コミで広まり、講演も多数行っている。

また、女性特有のココロとカラダのバランスを見つめなおし、より良いライフプランの設計・行動に移すための第一歩を見つけるプロジェクトとして「Woman Life Planning」を立ち上げ、代表を務めている。

【記事まとめ】Woman Life ”Care” Planning

鬼石 有紀

鬼石 有紀

美容ライター、妊活コンサルタント

≫このライターの記事を読む


, , , ,