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2016.02.01

【作家•LiLyインタビュー】最大の夢だった“ママになる”ということ


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「作家になれた喜びを遥かにうわまわる」

2006年、処女作「おとこのつうしんぼ」で鮮烈な作家デビューを果たし、以後、男女の恋愛やセックスをテーマに様々な作品を発表してきたLiLy。

女性たちから絶大な支持を誇る、出版界のミューズ的存在である彼女は、6歳の男の子と4歳の女の子のママでもあります。

20代の頃に、「恋愛、セックス、妊娠をあえて一直線上に描いた」というエッセイ3部作『IN BED with LiLy』『SEX TALK with LiLy』『NINPU TALK with LiLy』が今回、文庫化されて発刊されました。

現在34歳、二児の母となった今、それらを振り返って、「恋愛、セックス、妊娠、育児、結婚」についてどう考えが変わったのでしょうか? または変わっていないのでしょうか?

妊娠は神様ジャッジの「運命的」なこと!

子供を産んでからも仕事を続けられるように、まずはキャリアの足場を固めておこう、と相手もいないうちから出産・子育てを視野に入れて計画的に動いていた(NINPU TALK with LiLyより)

ー母親になるということに対して、独身時代はどう考えていたんでしょうか。

幼いころからママになるということに猛烈な憧れを抱いていました

結婚願望もずっと強かった。

子どもの頃から心のどこかで、ここは私が生まれ落ちた家族であり自分でつくる家族はまた別にある、と冷静に考えていたので、自分の家族をつくることをすごく楽しみにしていて。

今の家族の“ここがイヤ!”を改善した理想の家庭を自分の子どもたちにつくってあげたいという気持ちが強くて、その根強い想いは、良くも悪くも、「今の私」をつくっているし呪っていますね、これはもう同時に。

とにかく、大恋愛をして二十歳までにその運命の相手と結婚して、その後は恋愛などに惑わされることなく安心して仕事をガンガンこなして、キャリアの基盤ができたら子どもを、とアスリートのようなことを考える女子高生でした(笑)。

年齢が一桁の頃から、自分の人生年表を日記帳に書くのが趣味で。

目標から逆算して今すべきことを割り出したりすることが、大好きで。

幼い頃からとにかく「自分の人生」というものに夢中で(笑)。

でもだからこそコントロールフリークなところがあって。

—その家族観やコントロールフリークなところは、ご自身の恋愛や結婚にどのように影響していますか?

冷静に人生を計画するのが好きな反面、十歳未満の頃からほんとうにマセていて、「恋愛」というものの虜だったんです(笑)

「リボン」を読んで、妄想。

「東京ラブストーリー」を観て、また妄想(笑)。

漫画やドラマでオトナの恋愛をみるたびに、幼稚園の頃から「好きな男子」はいたけれど、それは「恋」と呼ぶには浅い気がずっとしていて。

それでも「好きな男子」が切れたことはなかったですが、本物のオトナっぽい恋ができる日を今か今か、と憧れを募らせながら待っていました。

で、12歳で初恋をして(初めて相手を想って涙が流れたのでこれは恋だと自分で認めました(笑))、また恋をして、恋をして、あれ? あれ? と思うわけです。

フィクションのラブストーリーみたいに上手くいかないな、と。あれ? 恋愛ほどに思い通りにいかないものってもしかして、ない? というヤバイ現実に子どもながらに気づきはじめる(笑)。

そして、私はわりと本気で、初めてセックスをした相手と結婚しようと思っていたのですが、一年間の遠距離恋愛を経てその彼に振られた18歳の夏に、思い知りました。

「恋愛」を人生の真ん中に置くことはものすごくキケンであると事実を体感したわけです。

すごく傷ついて、恋愛のヤバさを全身でクラッたわけです。

でも、それでもほんとうは常にド真ん中に置きたい。

愛する人と愛し合うこと以上に幸福なことなんて、この世にないですから。

なら、どうしようと思った時に、大学受験も頑張ってその後の仕事はもっともっと頑張って、経済的に自立しようと改めて心に決めました。

心底惚れた男がうっかり金がゼロでも自分に経済力があれば結婚できるし、と当時は18歳だったのでそう考えました(笑)。

経済的な基盤を自分でつくれない男性に魅力などないので今はそうは思いませんが(金そのものというよりも価値観が合わないわけで)、「結婚と恋愛は別」という考え方ではないのは、今も同じです

皮肉なことでもありますが、だからこそ「恋愛が抜けた結婚」というものを続けることができなかったので、そんな自分に対する罪悪感のようなものとは現在進行形で戦っています。

ただ、「恋愛」や「結婚」も含めて「自由な選択」の邪魔するのは「経済」だと、将来の「結婚」を考えた時に思った十代の自分にはその点では今も共感します。

そして、「恋愛」のリスクにビビって「経済的自立」の大事さを痛感していたが故に、生活するのに十分な金を稼ぐことができないのなら、「作家になるという夢」は諦める覚悟でいました

今考えると、そうやって自分自身を追い込んだことが、結果的に夢を叶えることにも繋がったと思います。

十代後半から、大学三年の就職活動が始まる前に、月に二十万円をライター業とMC業で稼げなかったら、就職しようと思っていて。

「夢」につくった〆切と、その「焦り」をガソリンに、猛烈な努力をすることができました

—お子さんが産まれてからは、何かしらお考えが変わりましたか?

経済的な自立は、「自由」の翼

母親になって、その事実を改めて痛感しています。

そして、「育児」って、愛する人と愛し合う特上の行為なんですよね。

自分が実際に育児を体験するまでわからなかった、その大変さも想像以上でしたが、子どもたちを想ってその愛おしさに涙するその感情の幸せレベルは、自分でもびっくりすることに「恋愛」以上。

と、いうか、愛情の種類がまったく違うんですよね。

感情(愛情)の見返りを期待しまくるのが私にとっての「恋愛」なら、「育児」は無償の愛情というか。

期待するまでもなく子どもたちの親への愛情というのは海より深いし、こちらもそうだし、相思相愛。

そして、子どもたちがそれぞれ彼らなりの素晴らしい人生をおくってくれることが、最大の見返りというか親孝行なわけで。

そんな奇跡のような存在と出会うことができてほんとうに嬉しく思います。

ママになれたこと。それは作家になれた喜びとは、比べるものでもないですがちょっと比にならないです。

書籍「Ninpu Talk」にも体験を書いていますが、私は今まで二度の流産を経験していて。

妊娠・出産も、恋愛と同じように自分の思い通りにコントロールなどできない神の領域です。だからこそ奇跡であり、感謝です。

ママになることが自分の最大の夢であった理由を、痛感する日々です。

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念願だったママになったLiLy。仕事と育児の両立は理想通りだったのでしょうか?

次回は「産んでからわかった、ワーママの大変さ」をお伝えします!

<LiLyのエッセイ(文庫判)発売中!>

「自分も本の中に入ってホンネで語り合っているみたい!」と女性たちを夢中にさせたセックストークエッセイ三部作が、連続文庫化。

年齢も仕事も価値観も違う女たちが、「恋愛」「セックス」「妊娠」についてのガールズトークを繰り広げる、新感覚エッセイ。

IN BED with LiLy

『IN BED with LiLy』  

LiLy著

角川書店

2015年9月24日発売

648円(税込)

ISBN 978-4-04-102584-0-C0195

SEX TALK with LiLy

  『SEX TALK with LiLy』

LiLy著

角川書店

2015年11月25日発売

691円(税込)

ISBN 978-4-04-102585-7-C0195

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『NINPU TALK with LiLy』

LiLy著

角川書店

2016年1月23日発売

864円(税込)

ISBN 978-4-04-102586-4-C0195 

撮影:森田真理  ヘア・メイク:伊藤有香

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