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2023.08.09

子育てママが届ける、癒しと希望の音楽


(画像:姉Melody(左)と妹Christine(右)の音楽ユニット)

ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界的な物価高騰など、将来への不安を抱えている人は多いでしょう。

しかし、具体的に何がどうで、何をどうすればその不安が解消されるのかわからない。どうすべきがか見えていても動き出す勇気や時間、エネルギーがないという人もいるでは?

そんな状況の中、音楽で希望の光を灯したいと活動する姉妹ユニットがいます。
それぞれ3人、4人の子供を育てるママでもあるMelody&Christine。彼女たちが「今」活動する意味とは何なのでしょうか。

届けたいメッセージがある 誰かの都合に合わせる必要はない!

姉であるMelodyさんは以前ソロシンガーとして活動されていて、14年のブランクを経て活動再開。

数々のアーティストに楽曲提供しているコンポーザーの妹Christineとのユニットは10年以上前から温めていたプロジェクトだそうですが、今、動き出す背中を押したのは昨今の世界情勢でした。

 

Melody(以下M):ウクライナとロシアの戦争が始まった時に、「この時代でまだこんなことを始めるなんて」と衝撃でした。しかもメディアをはじめ世間で伝えられることがあまりに極端で。

上の人たちがコントロールしているようにも思えて、自分が見えているもの以外は絶対的に相手が間違っているといった方向に向かわされているとも感じました。何を信じていいかわからない状況ですよね。

でも、世界を宙(そら)から見たら、国と国の境なんか関係ないし、肌の色だって関係ないしみんな同じ。そんなことを歌詞にして伝えたかったんです。

 

Christine(以下C):戦争や紛争で家族が離れ離れになっている状況なども知って、心が苦しかったですが、絶対にPeaceなものが勝つし、また一緒になれる日が必ず来ると信じています。

そういったことも、メロディ、歌詞、アートワークで表現したかったです。

M:妹とユニットとしてデモを作り出してからは10年ほどになります。当初は元々所属していた事務所やレコード会社の方とリリースの相談などをしていたのですが、タイミングが合わなくて。

でもそうこうしているうちにテクノロジーが進んで、何でも自分たちでできるようになってきて、「なぜ誰かのタイミングに合わせようとしているの?待つ必要ってなくない?もうやっちゃおう!」と。

C:インディーズでもというか、インディーズだからこそ自分たちのタイミングで、自分たちのできる方法で自由にできると動き始めました。

心の奥底に触れるものはユニバーサルなもの


(画像:「In the End」7月7日にSpotify、Apple musicなど全てのデジタルプラットフォームで配信開始)

6月にリリースされた「In the End」のアートワークには、飛行船の窓のようなところから外を眺める少女と、そこに広がる荒野、そして大きな惑星が描かれています。

 

M:私たちのユニットのコンセプトでは、「地球が既に住めない状況になった数千年後のある惑星に住む2人の少女」が主役なんです。

曲もビジュアルも彼女たちが見る世界を表現しています。今ほどテクノロジーが進んでいなかった10年前から「これから音楽はどんどんデジタル化していくし、言葉も、どの国でリリースするかも関係なくなってくる」と思っていました。

また、自分たちが表に出るというよりは、キャラクターが表立った方が伝えたいことが明確に伝わるかなって。

 

C:音楽は「Universal Language」って言いますよね。実際、言葉を超えて心の奥底に触れて届くものがあると思います。

普段、他のアーティストやCM、映画の曲を作るときは与えられたテーマに沿って、ある意味職人的に作りますが、姉とのユニットは本当に自由に作らせてもらっているし、コンセプトの主役である少女たちの見ているもの=姉の描いている世界がとてもクリアなので、よりストレートに心に届いて、ユニバーサルなイメージを持ってもらえる音になっているかなと思いますね。

目指しているのは「Pop Healing Music」


(画像:Christineの自宅スタジオでレコーディングも)

明日への希望をメッセージとして歌う二人の作品ですが、リリースはCD販売ではなく配信の形をとり、アートワークはAIによるもの、曲もデジタルで作られているというように、テクノロジーを大いに活用する作品づくりをされているそう。

そんな中で意識していることがあるといいます。

 

M:既に各種プラットフォームから配信が開始されている「In the End」や前作「Halcyon」を聴いたリスナーから「癒された」とか「声も曲も、こんなのが今必要だった、ありがとう」といったコメントをもらえていて、そう思ってもらえることが私たちの活動意味なんだろうと思っています。

そのために、歌詞などのメッセージとは別に意識しているのが“音”の響き、“周波数”や“波動”といったものです。

 

C:人に心地よく聞こえる周波数というのがあるらしく、良い波動が感じられる音作りを目指しています。「Pop Healing Music」とでも言いますか。私自身大好きなエンヤをよりモダンにした感じですね。

実際、私が日頃聞いているものの中には、音が尖っていて聴いていて疲れる音もあります。作り手の精神状況も影響あると思いますが、テクニカルな面でもhealing(癒し)を意識しています。

荒れた親子関係から探し求めた“愛” たどり着いたHappyの形


(画像:ハワイ時代の姉妹)

“希望”を歌う根底には、お互いに理解し合う“愛”が込められています。そこに至るには、幼少期からのさまざまな経験が影響しています。

 

M:プロのドラマーとして日本でデビューもしていた父親と、シンガーを目指していた母親だったので、音楽に溢れた家庭で育ちました。

でも、父は家を出たり入ったりしていて、親子関係が歪だったというか、決して平穏な家庭ではなかったんです。

だからか、常に“愛されたい”と思っていて、“愛を探す”というのが人生のテーマになっていった気がします。

 

そんな中、歌の習い事の延長で行っていたライヴで喜んでくれる人々の姿を見て、“愛”をメッセージとして伝えて誰かをHappyにしたい、それを届けられるのは私の“声”だと思ったんです。それが仕事になればなおいいじゃないと。

怪我でバレリーナへの道を断念した私にとって、“歌”、“シンガーになること”は救いでもありました。

ただ、日本でデビューしてからは大人の事情やしがらみ、容姿が前に出過ぎることへの違和感などで、一時期「何のために歌っているのか」わからなくなった時もありました。

表の自分と本当の自分がどんどんかけ離れていくようで。ファンの人が聴きたいとわかっている曲も、「自分らしくない」と歌うことを躊躇したり。

 

でも、ある時ふと「お客さんが曲を気に入ってくれて、ライヴに来てニコニコとHappyになって癒されて帰ってくれる今の状況って、本当にありがたくて最高のことじゃない!」と気づいたんです。

そして「みんなをHappyにしたくて歌い始めたんだった!相手がHappyじゃないと私もHappyじゃない。人生やり直さないと!」と思いました。

 

支え、支えられ 家族ができて伝えられるもの


(画像:ギターリストのMIYAVIと3人の子どもたち。できる限り一緒に過ごす)

相手がHappyじゃないと自分もHappyになれないとは、裏を返せば自分がHappyでないと相手もHappyにできないということ。キャリアや人生において悶々とした時期を越えた先には、愛溢れる家族が待っていました。

Melodyさんは14歳を筆頭に12歳、2歳の3人、Christineさんは8歳を筆頭に6歳、3歳、1歳の4人の子どもを育てるママ。まだまだ手のかかるお子さんたちを相手にプロジェクトを進めるには、周囲のサポートが必須だと言います。

 

M:自分にとっての歌うことの意味を一時期見失い、ようやく取り戻した頃に夫のMIYAVIと仕事を通じて出会いました。

出会った瞬間から惹かれて、すぐ交際がスタートし、2ヶ月後には婚約していましたが、当時の業界は今ほど理解がなく、別れるか引退かという状況だったので、引退を選びました。

私にとって歌うことは人をHappyにすること。それであれば、別にメジャーにこだわることはないかなと。

むしろ、夫の夢が大きすぎて「それを支えたい」「彼の夢が自分の夢」と思うまでに時間はかかりませんでした。

 

ただ、伝えたいことが溢れ出して、今回のプロジェクトを始めるにあたっては、MIYAVIも全面的にサポートしてくれています。

長期に日本を離れることもあるので、彼の母である義母や、私の実母にも手伝ってもらっています。

 

(画像:4人の子どもに囲まれ笑顔あふれるChristineファミリー)

C:私の夫はIT関係の仕事なので、曲作りをする自宅スタジオのセッティングから何から動いてくれますし、もちろん子どもたちのお世話なんかもしっかりサポートしてくれています。

私も日本の芸能界でデビューする・しないで振り回された経験があって、夫はそれも見ていたので、自由に活動を始められることをとても喜んでくれているんです。

今では私以上に音楽に詳しくて、「これ何の曲だっけ?」と聞くと「これこれ」と返ってくるほど。WIKIみたい(笑)。2人での会話からお互いに学び・学ばれているのが心地いいし、刺激にもなっています。

 

仕事スイッチを入れようとしても、どうしても子どものことは頭から離れないし、まだまだ、仕事や作品づくりと、子どもたちや家庭の時間とのバランスを試行錯誤しながらとっている最中で、時には眠れないこともありますが、楽しくてしょうがなくて。

スタジオに子どもが入ってきて、作業が中断されることもありますが、ママが仕事している姿もしっかりと見せて、それが生活の一部となるようにしていきたいです。そんな中で、私の母が私の家に泊まりがけで手伝いにもよく来てくれます。

 

M:アメリカは家族単位で動くことが多いし、仕事場に家族を呼ぶことも珍しいことではありません。MIYAVIもライヴだけでなくレコーディングや撮影にも私たちを連れていってくれたりして。現場のスタッフは戸惑っているかもですが(笑)。

家族で作り上げてきたバランスを崩してまで活動を推し進めるのは違うと思うし、子育てだけでも特にママにはすごくプレッシャーがかかっていて、一人で抱えるのは絶対に無理だから、周囲のサポートを得ながら活動していきたいです。

C:状況的に難しいこともありますが、できるだけストレスフリーになる方法を見つけて曲作りをしているので、その雰囲気が伝わって、時間に追われてイラッとしちゃうママたちを癒せればいいかなと思います。

Melody&Christine Official
https://melodyandchristine.net/

<Profile>
Melody(メロディー)
ハワイ出身。4姉妹の長女。幼少期よりクラシックバレエやピアノ、発声トレーニングなどのレッスンを受ける。

高校在学中に小室哲哉氏がプロデューサーを務めるグローバルユニットのオーディションに合格。19歳で来日後、ソロアーティストとしてデビューし、デビューアルバムがいきなりオリコン3位を記録。

その後もラジオ・テレビのMC、声優、デザイナーなど活動の幅を広げていくも、2009年27歳でギタリストのMIYAVIと結婚し引退。2女1男を授かり、育児の真只中。

Christine(クリスティーン)
ハワイ出身。4姉妹の3女。8歳の時ギリシャ出身のアーティストYANNI(ヤニー)のライヴに衝撃を受けコンポーザーを目指して作曲を開始。19歳で姉Melodyを追って日本へ。

KURIS名義でCM・映画音楽、アーティストへの楽曲提供などを行う。東京で知り合ったアメリカ人と29歳の時に結婚。4人の子供に恵まれ、子育てに奮闘中。

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取材後記

恵まれた容姿に愛に溢れた家族。一見すると「違う世界の人」かもしれません。

しかし、家族愛を渇望し、その容姿ゆえにやりたいこととの乖離を乗り越えなければならなかった2人の生み出す言葉や音には、「いつかはきっとうまくいく、明日はきっと大丈夫」といった安心感があります。

彼女たちが目指すPop Healing Musicの言葉通り、一聴すると湧いてくる心地良い浮遊感と癒されていく感覚。家庭や仕事場といった身近なところだけでなく、世界レベルで心がざわめいてしまう昨今、私たちが求めていたものはこんな癒しなのかもしれません。

ライター/大倉 奈津子


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