2015.07.23
「ビリギャル」の母が、失敗だらけの子育てから学んだ「子どもに奇跡を起こす育て方」とは?
本が苦手なママが薦める「読んでよかった~」
『ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話』
ああちゃん/さやか(ビリギャル) 共著
絵本も眠くなる私が一気に読み終えた、ノンフィクション子育て本
普段は育児に仕事に忙しくて時間がない上、そもそも本自体そんなに熱心に読む方ではないんです。
絵本の読み聞かせでも眠くなってしまうくらい(笑)。そんな私でも、興味を持ってどんどん読み進められ、内容もスッと心に入ってきたのがこの本です。
そもそもの出合いは、主人の育児スタンスの変化がきっかけでした。
おっとりした息子に対し、何かあれば「馬鹿だな~」などと文句を言っていた主人が、ある日を境にやたら褒めるようになって。
慣れないその褒め方が不自然でおかしかったんですが、「なんなの、それ?」と聞いたら、『ビリギャル』で話題の塾講師・坪田先生の本を読んだ影響だったと分かりました。
育児に積極的でなかった主人の価値観を変えるほどの内容なら……と私もその本を探したのですが、見つかったのは坪田先生の本ではなく、新しく出版されたこちらの本。
主人には「俺が読んだのそれじゃないよ」と言われたのですが、「え! そうなの? でもいいや~」と読んでみることにしたのです。
「どんな時でも親が味方で一番の理解者」であることの大切さ
本著は、有村架純主演で映画化もされ話題になった『ビリギャル』の母親「ああちゃん」と本人「さやか」が共同執筆した本。
偏差値30から慶應義塾大学に現役合格した姉(さやか)、父親のスパルタ教育のせいで思春期に自暴自棄になってから立ち直った弟、不登校状態から上智大学に合格した妹……3人の子どもをああちゃんがどのように育て上げたのか、また離婚寸前だった夫婦と崩壊しかけた家族がどうやって再生したのかが綴られています。
読んでみると、専門家が上から目線で子育て論を述べるのではなく、著者が実際に子育てをした経験談が元になっているからなのか、共感できる点がたくさんありました。
特に、子育ての失敗談として、「姉妹に乱暴をする弟を叱って叩いてばかりいた」ということが書いてあるのですが、それがいかに子どもに傷を与えてしまうものなのか、またそれが蓄積され子どもの性格をねじ曲げてしまうものなのか、ということがこの本を通して実感できた気がします。
また、ああちゃんはこうした失敗を糧に、全く新しい子育てを開始するのですが、それは「子どもを絶対に叱らない・叩かない」「本人がワクワクすることだけをさせる」「子どもを信じ、絶対的な味方になる」というもの。
ゆえに、学年ビリでも、何度も学校から呼び出されても、子どもを守り、褒める子育てを貫きました。
これを実践するのは本当に難しいことだと思いますが、そうすることで子どもたちは心が満たされ、安心してそれぞれの才能を発揮し始めます。
そんな様子を読みながら、自分の子育てを振り返り、ハッとする気付きがたくさんあったのです。
読み終わると、子どもへの接し方も自然に変化
この本を読み終えた私は、いつも、妹である3歳の娘に対しては、どんなことでも「すごいね~」と褒めてあげられるのに、兄である9歳の息子に対しては、できることが当たり前になってしまい、できないことについ目がいき、そこばかり指摘してしまうことに気が付きました。
それからは、兄に対しても、できないと叱りつけたり、けなしたり、最初から無理だと決めつけたりすることをやめ、娘と同じように接することが少しずつできてきたように思います。
また、「冷え切った夫婦仲が子どもに与えた影響は大きい」、「夫婦が変わったことで間違いなく子どもたちも変わった」という内容も心に響き、我が家も気をつけなくてはと肝に銘じました。
奇しくも先ごろ主人の転勤が決まり、我が家は半年後、家族全員で海外へ引っ越すことに。
この本から学べたこと全てを実践するのは難しいと思いますが、少しでも心に留めておくことで、環境が変わっても皆がお互いを信頼し合い、困難な状況になっても家族皆で乗り越えていけると信じています。
<お薦めしてくれたワーママ>
もうすぐ10歳になる男の子、4歳になる女の子を育てるワーママ。自治体のデータを管理し、印刷・封入の代行をする企業で、契約社員として働く。休日は、「ヒップホップダンス」と「よさこい」で汗を流すアクティブ派。
<お薦めされた本>
『ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話 』
ああちゃん
さやか(ビリギャル) 共著
KADOKAWA
定価:本体価格1,500円+税
2015年2月27日刊行
ISBN:978-4-04-869153-6
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横山香織
ライター/編集者