2015.08.28
あなたは、子どもがいて幸せですか?
子どもがいて、幸せ?不幸せ?
のっけから何ですが、ワーママの皆さまは、「子どもがいて幸せ」ですか?
私自身は正直に言うと、「子どもがいたほうが幸せ」と自信をもって言い切れず、でもそれを口にするのもはばかられ、何となく悶々とする時があります。
子どもがいる現状を後悔しているわけではないのですが、かといって「子どもはいいよ~♪」とか、「早く第2子が欲しい~!!」と周囲に宣言できるほどのキャパもなく・・・。
イヤイヤ最盛期の走り回る2歳児の世話に加えて、平日はほぼ1人で仕事と家事を数分刻みでこなしていると、「幸せとは何か」を考えている暇もありません。
ほぼ毎日のように体を動かしながら頭の中では「1人でゆっくり買い物したい」、「買って読めずに積んである本をいっきに読んでみたい」と妄想して終わる日々です。
世間の価値観と、タブーな議論
そんな中で、テレビをつけると、生命保険、住宅、リゾート、車などあらゆるCMで楽しそうな親子や家族が映っていたり、ママをターゲットとしたファッシン誌などを読むと、素敵なママやパパが子どもと格好いいポーズを決めていたり・・・。
結婚して子どもを生んで、なんだか皆さん輝いてまぶしいです。
そういえば、少し前にベストセラーになった「負け犬の遠吠え」(酒井順子著)でも、「30代、既婚、子アリ=人生の勝ち組」と評されていましたね・・・(まあ多少皮肉られていましたが)。
他方で、「子を持つことの大変さ」「子がいることの不幸」について話をするのは何となくこれまでタブー視されてきたような気がします。そんなことを言うと、「母親になった自覚がない」、「何甘えたことを言っているんだ」という、根性論や自己責任論で片付けられそうな雰囲気と言いますか・・・。
でも、そんな私の気持ちを見透かしたかのような、面白い研究結果がドイツで発表されて話題になっているので、紹介したいと思います。
離婚・失業・配偶者の死よりも「不幸なこと」
今回取り上げるのは、マックス・プランクというドイツの研究所が行った研究です。分析には、「ドイツ社会・経済パネル調査(SOEP)」という、約2万世帯を対象に毎年行われるパネル調査(収入、健康、家族構成など幅広い分野を網羅)が用いられています。
その結果、「第1子誕生後の夫婦の幸福感の低下度」は平均-1.4ポイントで、離婚、失業、配偶者の死によって引き起こされる幸福感の低下度(それぞれ、-0.6、-1、-1)よりも大きいということが判明しました。
なお、第1子の誕生でも幸福感が低下しなかった夫婦は、わずか30%で、幸福感の低下を感じていた夫婦のほうが多いということも明らかになりました。
表1 幸福感の低下
出典: Max-Planck-Gesellschaft, München(2015)
出産への期待と現実
この研究結果からは、「第1子出産後に幸福度が大きく下がった夫婦ほど第2子を持たない傾向がある」ことも判明しています。
そのため「第2子以上をもつ夫婦をどれほど増やせるか」という観点で、「第1子出産後の親に対する支援策が重要なカギを握る」と結論づけています。
という研究の政策提言は横に置いておいて・・・私自身はこれを読んだ時、「なんだ、自分だけじゃなかったのね~!」と妙に安心した気持ちになりました。
また、研究者自らが、「これまでタブーとされてきた点に焦点を当てた」と述べているように、他国でも同じように「子どもを持つと幸福感が下がる」という話はあまり堂々と話すネタではないのだなと改めて思いました。
ところでこの研究結果ですが、個人的には、失業や配偶者の死より、子どもが生まれることのほうがネガティブインパクトは大きいのか・・・というのは、ピンと来ない点もあります。
でも何となく想像すると、子どもが生まれる前はイメージ先行で、可愛いベビー服を選んだり、周囲から祝福されたり、順調なら1カ月程前から「産休」とう名で堂々と仕事を休めたり・・・という意味で幸福感が増した分、誕生後1年の大変さによる現実の落差が激しくて、その分数値が大きく出てしまうのかしら、と思ったりもします。
何にせよ、ワーママの育児の大変さは笑って吹き飛ばすのが一番ですが、人によっては、こういう真面目な研究結果を見て、「な~んだ。自分だけじゃないんだ」と私のように安心するのもアリかなと思って、紹介してみました。
※英語ですが、こちらのサイトで研究結果の概要を発表していますのでご覧下さい。