2015.10.01
【必ず治すよ】難病・筋ジストロフィーを完治させた家族のはなし
父親の強い信念と家族の絆
難病に立ち向かった家族のドキュメンタリー
「約束」
難病克服支援センター著
突然降りかかった、難病・筋ジストロフィー
自分の子どもが、ある日突然難病にかかったら…。
そんなことを考えてみたことがありますか?
健康で生まれて元気に育っていく子ばかりではない、世の中にはたくさんの病気を抱えた子どもたちがいます。
本著は、そんな難病を抱えていた子と、その父親である戸田正樹さんの経験談をまとめたものです。
戸田さんの次女・結月(ゆづき)ちゃんは、5歳のときに難病・筋ジストロフィーを発症。
幼稚園の年長さんの運動会で、徒競走を走ったときに家族が異変に気がつきます。
躍動感にかける動き、スローモーションのようにゆっくりとした異様な体の動かし方…。
その後も、万歳ができなくなる、突然パタンと倒れるようにこけるなどの異変が続きます。
様々な検査の結果、彼女に下されたのは体の筋肉が少しずつ壊れ、萎縮していく難病「筋ジストロフィー」。
この病名が確定したのは、小学校1年生の夏でした。ここから、結月ちゃんと戸田家の、長い闘病生活が始まります。
必ず治してみせるという約束
この筋ジストロフィーは、日本には2500〜5000人程度の患者がいるとされ、発症時期や進行の早さなど、さまざまな違いがあるとされます。
西洋医学では治療法が確定しておらず、難病指定を受けている病気です。
そんな絶望的な状況にあって、父・正樹さんは約束します。「必ず治すよ」と。
現代医学ではお手上げな病気に対し、正樹さんが次女の主治医になると誓います。
そこからの正樹さんの行動力と、自分と家族を信じる力は素晴らしいものです。
大量の文献を読み漁り、これは効くのではないかと勘が働いた方法については試してみる。
毎日「触診」で筋肉の状態をチェックし、ときには軽くたたいて刺激を与える。
食事については、「溜まった毒を出す」「腸をきれいにする」「血流を良くする」という3点を徹底し、いろいろな制限をする。
体調が整ったところで、食事の本格的な改善・栄養補助サプリメントの摂取・リハビリ運動・アニマルセラピーなど、ありとあらゆることを実践していきました。
このような食事療法をはじめとする独自の生活改善で、徐々に結月ちゃんの体に変化が生まれます。
とにかく正樹さんの考えは、「原因がわからないのであれば、絶対に治る可能性があるはず!」ということ。
未病から発病、状態の悪化までのプロセスを逆に辿っていけば、必ずもとの健康体に戻れるという信念を持っていました。
小学校6年生の運動会で、結月ちゃんは徒競走を走ります。
あの異変を感じた幼稚園最後の運動会以来、はじめての運動会。
ゴールテープまで諦めず走った彼女は、5年間で病気の数値を正常に戻し、今では友だちとカラオケに行くのが楽しみな、元気なフツーの女の子です。
家族で立ち向かえば、怖くない
西洋医学では解明できない方法で、難病を克服した戸田家。
家族の中心である父親が、けっして諦めなかったことに、戸田家の強い絆があると思いました。
次女の病気にくわえ、子どもの母親である妻のがん疑惑が持ち上がったとき、ポジティブな正樹さんも、心が限界にきたことがあったそうです。
そこで正樹さんは、長女であるお姉ちゃんに「お父さん、無理かもしれない」とすべてを打ち明け、半分持ってもらうことにしたのです。
自分の子どもに恐れず弱音を吐き、助けてほしいと信じて頼れる父親は、なかなかいないのではないでしょうか。
長女は常に明るい、家庭のムードメーカー。
正樹さんは彼女に「今後何があっても笑っていてほしい」と頼み、戸田家を支えてもらいました。
家族に何かがあったとき、それぞれにきちんと役割があり、みんなで少しずつ分け合って支え合うことの素晴らしさを学んだ気がします。
戸田さんは自身の経験を生かし、難病と向き合う家族のため2014年に「難病克服支援センター」を立ち上げました。
病気に関して情報を得るほど迷いが生じ、迷いのなかでエネルギーを消耗して、何もできなくなってしまう。
そんな家族と難病患者に「良いと信じることを続ける」、「家族が団結して病気に立ち向かう」ことが何よりも大事だと伝える活動をしています。
戸田結月ちゃんが克服したのは筋ジストロフィーでしたが、アトピーやアレルギーで悩む子どもとママにも、戸田さんが実践した食事療法は役にたつのではないかと思います。
何か悪い症状が出たときに、「自分の体を守るためにSOSとして症状が出ているんだ」と捉え、その原因をひとつひとつ取り除いていく。
そして何より、自分の子どもの力を信じて、諦めずに病気に立ち向かっていく勇気を持ちたいと思いました。
子どもと病気について、私たちにもけっして他人事ではないと、深く考えさせられる一冊です。
《薦めてくれたワーママ》
1歳児の男の子を持つママ。高熱による熱性痙攣を2度起こし、入院した経験も。子どもが健康ですくすくと育ってくれることは、奇跡に近いくらい素晴らしいことなんだと日々実感しています。
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浦和ツナ子
ライター/編集