2015.10.03
働くママの強みって? 能力を最大限に生かすには?【ずばり!】ワーママ雇用の実情。経営者はこう考える!
「ママを雇うことにデメリットはない」という人材紹介会社『BNGパートナーズ』の蔵元二郎社長のインタビュー、後編です。
蔵元社長から見る働くママの強みは何でしょうか。そのママたちの持つ戦力をどうすればより生かせるのでしょうか。
ママを雇用するメリット
「時間当たりの生産性はママの方が圧倒的に高い」とスパッと言い切る蔵元社長。
「元々優秀な女性が子育てに取り組んで、家事育児のマネジメントに追い込まれる中で、更に能力が高まるのでしょうね」。
確かに家事育児は、同時並行で物事を進めたり、家族全体の予定ややるべきことを見渡して優先順位をつけてこなしていことの繰り返しです。
気になる「子どものいる女性を雇用する際に重視するポイント」については「素晴らしい経歴や実績があるに越したことはありませんが、何よりも人物重視です。これはママに限ったことではなく、新卒・中途を含めた全体的な採用ポイントですが」
採用面接の際には「子育てに付き合うような感覚で社員教育にも関わってほしい」と伝えているそうです。
同社のママ社員は30代後半~40代で若手社員の育成面にも携わっていますが、男性的なリーダーシップやパワーマネジメントの部分とはまた違った、どちらかというと女性的なきめこまやかなコミュニケーション力や見守る力を生かして根気よく取り組める人材を求めています。
社員を信じ、任せる力
子どもの病気などによる欠勤が生じがちなママを雇用する上で、組織に必要なことは何でしょうか。
「業務量や勤務時間数でしか評価できないのはダメ。社員は信じれば応えてくれます」。
ママ社員の1人木口さんは、7歳と3歳のお子さんがいます。4年前に入社し、下のお子さんを出産後に2年間の育休を取得しました。
「就業規則に準じれば、多くの企業と同じように育児休業期間は1年ですし、当然、育休手当(育児休業基本給付金など)が2年間分ずっと出るわけではありません。でも、社員としての籍はしっかり確保されていました」と木口さん。
「育休を2年間取りたい」と相談した時の蔵元社長の答えは「ちゃんと戻ってきてくれるならいいよ」だったそうです。
大手企業のような手厚い福利厚生や育休制度がなくても、社員との信頼関係の上にママの就業環境を確保できることがわかるエピソードです。
BNGパートナーズでも、子どもの体調不良などで早退・欠勤をした場合、基本的には在宅で消化することを目指しますが、実際には看病しながら業務をこなすことは不可能なことも多々あります。
穴埋めは就業時間内にするのが基本です。
「時間当たりの生産性はママの方が圧倒的に高い」という蔵元社長の言葉が再び聞こえたように感じました。
ママへの問い「報酬に何を求めますか?」
では、働くうえで、ママ側に求められることは何でしょうか? 蔵元社長は少し考えてから、「報酬というものをどういう形で選択するかではないでしょうか」と答えてくれました。
それは例えば、評価は金銭や地位の形で示されることもあるし、「自由度の高い働き方が認められる」という形で現れることもあるということ。
家族と仕事のバランス、働き方を長期的に捉える視点も大切なようです。
実はとても大切! 家族を含めた社員同士の交流
チームワークがよいだけでなく、家族を含めた交流もある社員同士の関係。
誰かが「子どもが熱を出して……」と言ったときに、会ったことがあり顔を知っている「あの子が熱を出した」と身近に感じることは、カバー体制を築く上でやはり大きいと蔵元社長は話します。
「会社とワ―ママは、夫婦のようなパートナーシップを築きたいと感じています。子育てにおいてはやはり、母親が得意とする部分、強い部分があり、その分、会社が仕事を回す努力をしっかりとしたい」。
ママの特性を生かしながらその能力を当たり前のこととして生かしているBNGパートナーズらしさが凝縮された、蔵元社長の言葉でした。
「馬鹿が日本を元気にする」を経営理念に掲げ、サービス領域を「日本を元気にする馬鹿」に専門特化したエグゼクティブサーチを展開しています。
千葉美奈子
ライター